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 ストライクゾーンを九マスに置き換えながら投球練習。当たり前に出来るようでそれをいつでも確実に投げ分けするのは難しい。しかし、毎日投球練習をすると目に見えてコントロールが良くなってくるので意外とはまりやすい。ただコントロールばかり意識し出すとボールが生きてこないというジレンマが襲う。


 猛もようやくこのジレンマを感じ取れるようになってきた。そこで彼を座らせて僕が16マスの投げ分けを実践すると自分の持っているジレンマの小ささに涙を流す。数年間でこれを完成させようとは思わない。底辺でさえこれぐらいの芸当が出来ることを知ってもらいたかった。


 僕の新品だったキャッチャーミットもようやく手になじむようになってきた頃、猛がついにいつ魔球を教えてくれるんだという、お母さん子供はどこから生まれてくるのと同じ質問を僕にぶつけてきた。魔球はねコウノトリさんが運んできてくれるんだという答えは信じてくれないだろう。


 僕の中であと三ヶ月は土台を作っておきたかったが、これ以上我慢させるのも彼の成長にとって良くない可能性も否めなかった。


 僕は彼の手を取り縫い目に四本指をかけさせ軽く投げるように指示する。


 猛は小さな身体から軽く足を上げボールを投げる。


「うがっ!!」


 僕はボールを胸にうけ地面にうずくまる。


「大丈夫かーーーッ」


 猛は僕のところまで全速で走ってきた


「ハァ~息が詰まったよッッッ! でもこの痛さは一生忘れない」


 僕は真っ青な顔をして笑った。


「これが俺のボール……誠ありがとう」


 彼の大きな指で手を捕まれるとさっきまで青かった顔が真っ赤になった。


「感動するのはこれからだよ、僕道具を借りてくるからちょっと待っててね」


 僕はそういうと走ってキャッチャー防具セットを取りに行った。


一時間後……僕は一球も猛の球を捕ることは出来なかった。

お読み頂いてありがとう御座いました。


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