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「誠ちゃん元の位置から投げてもいい?」
「だめだよ城田君、150キロの速球を打つ練習をしているんだから」
「打たれても癪なんだけどファールばかりだとスカッとしないんだよね」
この会話を城田は何度もしているのに楽しみを覚えている。
「見送っていないから他の選手より効率いいじゃない」
次の打者に交代する球数を打ち終え木製バットをケースにしまう。彼に替わってバッティング投手をする。
彼女が投げ出すと部員は彼女のほうに並び出す。
隣で投げている石田君が
「四軍とはいえエースピッチャーに失礼だろう」
誠の列に並ぶ部員に怒った仕草をする。
カキーンという金属音が神奈川第三グランドに鳴り響く
彼女は一人一人の弱点を器用に投げ分けアドバイスする。調子を落とした部員を気持ちよく打たせたり選手にとってはありがたい存在。しかも136キロの速球と変化球も投げ分けられるので、フリーバッティングの投手ランキングがあれば全国トップ10に入るだろう。
今日も神奈川第三グランドで球児達は暑さをもろともせず白球を追いかける。
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