表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/45

15

 机の上に銀紙で包まれたチョコレートの山。それを小さな袋に入れかわいいリボンで結ぶ。それが僕たちの仕事。


「なんで俺が誠の内職の手伝いをしなくちゃいけないんだよ!」


 ぶつぶつ文句を言いながら僕より綺麗にチョコのラッピングを完成させる。


「これだけ沢山作ったら余るんじゃないの?」


「まあね、でも当日に足らない事のほうが大問題。毎年数が多すぎて困った事なんて無いもの」


 袋にリボンをかけながら昔、私から友チョコをもらえなかったことが発端の小さな事件を思い出す。


 野球漬けの人生でバレンタインデーなんて関係ないと思われがちだが、誠は小さいときから天才野球少女としてちょくちょくTVに出ている。ただのクラスメートだけではなく、望まない学校の小さなアイドルという地位も付与されてきた。友チョコの数だけでも半端無いのである。

  

           *    *    *


 2月14日の放課後、校門前で女の子の列ができており昨日作ったチョコ袋があっという間に完売した。


 小さなチョコが大きな4つの紙袋一杯のチョコに替わる。荷物持ちよろしくと猛がそのチョコ袋を運ぶ。河川敷の球場に行くまでその紙袋の数はどんどん増える。


「いやー凄いよなこのチョコの数、どこぞのアイドルかよ」


 いつもより重い荷物を河川敷まで運ばされてむくれる。


「この荷物を僕のうちまで運ぶまでがバレンタインデーよ」


「うへーどうせこのチョコを部員に配るんだからこのまま部室に置いていけ」


 寒さで真っ赤になった手をさすりながら話す。


「もらった手紙は一応よまなくちゃいけないから」


 アイドルよろしくウインクする。


 練習後、仕方なく彼女の家までバレンタインデーの行事をともに遂行する。


「じゃあまた明日ね」


 アイドルを無事家り届けたマネージャーを労う。


 ラップに包んだチョコを彼に投げる。


「猛! チョコ一個余ったから♪」


 彼は慌てて受け取り真っ赤な顔になった。

お読み頂いてありがとう御座いました。


評価、感想、誤字脱字、など頂けましたら幸いです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ