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第8話 個と個が集れば、そこにどんな感情があろうと群れとなる。

【神城 美羽】



―――この世界は、隠し事や秘密で溢れている。



その人が何を言っても、証拠がなければ、それが本当だと証明する事は出来ない。それを私達は無意識にお互いを"信じる"と言う言葉で繋ぎ止め、それを友人や恋人と言って、その関係性を美徳とよんだ。


私はそれが嫌いではないし、文字通り美しいと感じる。映画なんかで友人と引き離された主人公がクライマックスで再開すれば涙が出るし、それが恋愛モノなら素敵だなとも感じる。しかし、今回の一件で、気づいたこともある。


――――信じる事をしなければ、裏切られる事もないのだ。


ならば、何が正しく、何が間違いなのだろうか?些細なきっかけで無くなるモノならば、初めから信じない方がいいのだろうか?


私は……それでも、人を信じたいと思ってしまう。人と一緒にいたいと思ってしまう。こんな私は、バカだろうか?救えないだろうか?


―――ただの悲劇のヒロインを気取った…かまってちゃんなのだろうか?



***



【七五三田 悠莉】



先生が、仁井園の話を俺にしてから約1週間。明日はいよいよ体験授業の日である。にしても、先生があんな話をしたからだろうか?無駄に仁井園を気にしている俺がいる…。いやもぅほんと、観察日記でもつけてんじゃねぇの?くらい意識して見ちゃってるから、なんなのこれ、まさか………


「恋……?」


俺がそう呟くと、たまたま俺の横を過ぎた女子に「は?きもっ」と言われた。なんなんだこの理不尽。世界に神様がいるのなら、俺の人生30手前くらいからビッグボーナス入らないと、わりに合わないんですけど…。ってあと15年近くもこんな事続けんのかよ俺、前世の俺は生まれてくる時に難易度ベリーハードにしてんじゃねぇよマジで。イージーにしとけば良かっただろうが、どんだけ自惚れてたの?前世の俺ってドMなの?残念ですが、今こんな感じですよ。そのような事を考えていると、隣から「ねぇ」と声が聞こえる、俺がそちらを向くと、神城がひそひそと俺に言ってくる。



「なんかさ、真理子最近一人が多くない? なんでかな?」


やはり、神城も気づいている。……まぁ、あからさまに1人が多いしな…最近。ってか、だからと言って木村達と話さないのかって言うと、そうでもないし…


「……わからん、が…明らかに状況変わってるよな、木村と原田があんま仁井園に近づかないし…仁井園は仁井園でそれを気にするような素振りもない…てか、神城は木村達になんか聞いてないのかよ?話は普通にするんだろ? まぁ内心お互いにあの一件を気にしてるだろうから、気ぃつかった感じの会話なんだろうけどな…フヒヒ」


俺がそう言うと、神城はあきれ顔で言う。


「……七五三田って、ホントひねくれてるよね…でもまぁ、たまに話たりはするよ! ただ、その…何て言うか…その話題には触れづらいじゃん? 『なんで真理子と話さないのー?』とか女子は簡単に聞けないんだよ…聞くためにはいろんな順序とか、その相手の好感度とか、いろいろあるの! 女の子は秘密がいっぱいなんだから!」


「…へぇ…そう言うもんかね…」


俺はそう言うと、もう一度仁井園の方に視線を向けた。すると、仁井園も此方を見ていたらしくバチンと視線と視線がごっつんこする。


(うわっやべっ、目あった!)


俺は慌てて視線をそらす。 それを見た神城も、俺につられて仁井園に視線を向ける。俺が神城をチラ見すると、少し困ったように笑顔を作っていたので、きっと神城も仁井園と目が合ったのだろう。



***



さぁ、更に翌日、俺達クラスは、体験授業に向かう為、バスに乗り込む。席は並んでいた者が二人づつ腰かけていく為、必然的に自分の前に並んでいたヤツか後ろに並んでたヤツのどちらかと隣同士になるわけだが…


「うわっ、マジ七五三田かよ…」


とぼやきながら座るのは、北川(きたがわ) 一樹(かずき)君である。基本的に強い相手には逆らわず、俺みたいなヤツをいじったり貶したりする事で自分のポジションを確保している人種である。また、ヒエラルキー的な位置が自分よりも俺は下だと思っている為、さきほどのような言動をとる。隣が俺でごめんねー(棒)とか思っていると、動線を挟んで逆側に神城が腰かける。その時、軽く俺の方に手をふる。すると、何故か北川君が笑顔でふりかえす。やべぇまじか神城、北川君に手ふったのかよ、俺にふったかと思っちゃったよ、つーか、振りかえしかけたんだけど…危ねぇ、危ねぇ。と反省していると、神城が


「七五三田」


と北川君を挟む感じで声をかけてきた。俺が


「なんだよ」


と言うと、神城は


「なんで手ふったのにシカトすんのっ!」


とか言い出す。いやだって北川君が振り返してたし…ってコレ言ったら、北川君が気まずい感じになるんじゃなかろうか?とか一瞬思ったので、俺はとりあえず神城に「めんごめんご」と謝る。そして心の中で、北川君ごめんねー☆神城、俺に手ふってたみたいっ!(テヘペロ)みたいにちょっとだけ調子にのって満足しておく事にする。


さて、それからバスは発車し、目的地へと向かう。その道中、珍しく北川君が声をかけてきた。黙って乗ってればいいのに…


「七五三田、おまえってさ…神城と付き合ってんの?」


何言ってんだコイツ。そんなわけないだろう。神城に申し訳ないとは思わないのか…? アイツだって選ぶ権利が……ってあれ?言ってて悲しくなってきたぞ…?目から98%が水分で弱いアルカリ性の勾玉が…ってそれ涙じゃん。でも、俺は強い子だから負けないんだっ!


「……いや…そんなわけないだろ、どうした急に」


俺がそう言うと、北川君は笑顔で俺の背中を叩きながら


「だよなっ! いや、おまえら最近仲良さげだから噂になってたんだよっ! そうだよな、おまえと神城じゃ釣り合わねぇよなっ!」


痛い痛い、ってか隣に神城いるの忘れてないですか?貴方。俺は背中を叩かれた衝撃で軽くムセながら、神城の様子を見る。すると彼女は、イヤホンをして何かしら音楽を聞いているような様子だった。良かったね北川君。とか思いながら、俺は彼に問い直す。


「ところで、なんでそんな事聞いたんだ…?」


「なんだ?七五三田、気になんのかよ? それはだな…俺、実は神城の事気になってんだよね…可愛くね? あと胸もデケェじゃん?俺巨乳好きなんだよね」


……確かに可愛い。俺はチラリと神城の胸元を盗み見る。胸も大きい認めよう…しかし……


「神城にも、選ぶ権利があると思うぞ」


やべ、本音出た。


「あ? てめぇ七五三田の癖に今なんつった?」


いや、"七五三田の癖に"の癖ってなんですかね?おおっ…!?胸ぐら捕まれたっ!こえぇ、こえぇよっ!暴力反対っ!そんな事をやっていると、隣の神城がそれに気づき、


「ちょっ、二人ともなにやってんの!?」


と言ってイヤホンを外し、北川を止めようとする。するとそれに気づいた北川は、俺から手を離し舌打ちをして、ムスッとしながら椅子の背もたれにボスっと背中を預け、前を向いた。それ以来、北川が俺に話しかける事はなかった。


現場に到着すると、さっそく神城が俺の袖をつかみ、ちょいちょいとひっぱって、先程の件について聞いてくる。


「ねぇ、なんで七五三田は北川に胸ぐら捕まれてたの?」


「知らん、別に対した話じゃねぇよ」


「どうせ七五三田が、なんか言われて、ひねくれた事言ったんでしょ?」


いや、今回に限ってはひねくれどころか、ストレートのど直球を投げ込みました。そしたら、思いの外彼のハートにデッドボールだったらしくですね、それはもぅ激おこでした。まぁ、でも間違った事は…。


「言ってねぇし…」


そんな話をしていると、先生から集合がかかる。それから皆して歴史博物館へと入館した。そこには縄文時代の生活風景を再現したジオラマや、ここら辺の土地の過去を描いた模型なんかが展示されていた。


***


そしていよいよ、勾玉作りである。俺達は、製作場所へと移動する。そして気づく…机が、明らかに1人1人ではなく、何個かのグループにならないと使用できないタイプであると言うことに…。係員の人が準備をしている中、うちの教師達はあのおぞましいほどに独りを意識させる言葉を口にする。


「机が足りないようだから、適当な奴等でグループ作ってくれ」


「「はーい」」


と言ってクラスメイト達は、「一緒にやろー」とか「とりあえずイツメン集めてくるわ」とか言いながらどんどんと群れを形成していく。こう言う奴等はきっと、上手に人生を生きていくのだろう。だが、俺は言いたい。孤独にも耐える心がないと、コレから先いろんな所で挫折とか寂しさを知る事になる。ならば、今それを体感している俺は、この周りの人間よりも早めにそれに対する経験を積んでいると言うことになる、だとするならば、俺はコイツ等よりも先を生きていると言っても過言ではないはずだ。そう、言わばゲームで言うところの攻略組である。ソードでアートなオンラインとかの強い奴等と堂々なのだ。どうだ、まいったか!


「ふん!」


とか満足げに思っていた結果………


「それじゃあ、七五三田、神城、仁井園はこの机をつかってくれ」


と言って、四月一日先生は俺達(余ってしまっていた3人)に一つの机を指差し座るように促す…。そして、去り際に俺をみて眼鏡をいつもみたいにクイッとあげて光らせると、その場から離れた。


とりあえず、俺達はその指示された机に座る。それから、俺は軽く二人の様子を伺う…正直、二人はかなり気まずいはずだ…。


――チラリ…


やはり、神城は見るからに気まずそうだし、仁井園は興味無さげに自分の爪ばっかり見ている。って言うか、なんでコイツら俺をはさむ形で座ったんだよ……結論を言おう。



…………空気最悪でござる。










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