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第65話 女の戦いと言うヤツは、始まる前には、もう始まっている。

さて、それからやっと家に到着する。


玄関を開き「ただいま」を言うと、いつも通り、マイシスターが……


「おかえりー」


「おかえりなさい」


「遅いんだけどっ」


……え? いや、いやいやいや、なんで二人がここにいんの?あれ?俺家間違った?ここ俺ん家だよね?


「…………」


俺がフリーズしていると、奥からうちの絶対神(ははおや)がやってくる。そして、


「悠莉、アンタね、女の子を外で待たせ続けるってどういうつもりなのっ!? もう今の時期は冷えるし、暗くなるのも早いのよっ!? この子達に何かあったらどうするのっ!!!」


「いや、こいつら…」


「うるさいっ!! 言い訳はあとで聞く。とりあえず早く着替えてご飯食べなさい。 美羽ちゃんと真理子ちゃんが手伝ってくれたから今日は楽できちゃった♪ ありがとね♪」


そう言うとうちの絶対神はリビングへと消える。


「……えっと…」


俺が二人から話を聞こうとすると、菜衣子が言う。


「さっきね、お母さんと買い物から帰ってきたら美羽ちゃんと真理子ちゃんが家の前にいたんだ、だから私は察したのです。あ、これ悠莉くんがなんかしらやらかしたパターンのヤツだって、だから適当にお母さんごまかして、それを察した二人が話し合わせてくれて、とりあえず悠莉くんの部屋で、来月行われる文化祭の話し合いすることになってるから♪」


「………マジか…」


てか文化祭来月だっけ? いや、まあそれはともかく。さすがおとなえさん……当たり障りないとこついて行動してらっしゃる…。


そんなことを思っていると、奥から「ほら、早くきなさーい」と声がして3人はリビングへと消える。俺はとりあえず部屋で着替えてから合流した。


ちなみにメニューはグラタンとシチューであり、主食はパンとごはんが選べる形である。まぁ、私はもっぱらごはん派なので、すぐにごはんをよそい席につく。


すると、それを見た仁井園が


「アンタシチューでごはん食べるの?」


「………そうだけど」


「…いや、まぁいいんだけどさ…」


「なんだよ、おまえあれか? お好み焼きでごはんとかありえない軍の一員か」


「だ、誰もそんなこと言ってないでしょ!」


「だいたいおまえもな、たまにサラダにヨーグルトぶっかけるだろ」


「あ、あれはああいう食べ方が美容にいいみたいなの雑誌に書いてあったから…!」


そんなやりとりを見て、家の母親が


「アンタ達仲良いのねぇ」


みたいに言う。それから


「美羽ちゃんはあれね、結構お嬢様でしょ?」


と言い出す。すると神城が


「へ…? いや、そ、そんなことないですよ! 普通、普通です!」


「うそーだってこう、食事の取り方がなんかこう、綺麗って言うか…? 所作が穏やかよね、美羽ちゃん」


「そ、そうですかね~? えへへ」


少し嬉しいのか神城が何故かテーブルの下に隠れた手でガッツポーズをとる。と、それを見た仁井園が急になんか「あわあわ」としだして、コホン、と咳払いをすると近くにあったお茶のペットボトルに手を伸ばし、それを持つと、うちの母親の近くに行き、「どうぞ」と、わざわざコップへとそそぐ。


………それ身を乗り出してついだ方が早くない?とか思わなくもないないが、うちの母親はご満悦そうに


「あら、真理子ちゃんは気が利くのね~…ありがと♪」


とか言っている。そして菜衣子はそのやり取りを見て、超絶ニヤニヤしている…。その菜衣子に俺は小声で聞いてみる。


「(なぁ、こいつら急にどうしたの…?)」


すると菜衣子は


「(悠莉くん、これはね、ボクシングなんだよ…)」


「(は? ボクシング?なにいってんの?)」


「(これから長い、ながーい闘いになるだろうからね……だから二人は今ジャブを打ち合っているのです)」


「(………? よくわからんが…まぁ、ほっといて大丈夫なんだな)」


「(まぁ、そうだね、今は傍観の時なのだよ、ベルトくん)」


いや、こいつマジでなにいってんの?全然分かんなかったわ…。まぁ、ほっといていいならいっか……。


そんな感じで夕食を終え、みんなで俺の部屋へ。


つか、さすがに四人いると狭く感じるな…。俺は机の椅子へ、女子二人はベッド、菜衣子は床の座椅子に座っている。


ともかく、


「なんだ……まぁ、あれだな、仁井園……その、良かったな」


神城にはどのくらい話しているのかわからない為、ちょっと言葉にしづらい。すると、神城が


「ほんとだよ! なんで真理子、私にも相談してくれなかったの!?」


と、発言したので、ある程度は話をしたのではないかと思う。


「いや、だって……アンタ…女子だし…相手が相手だから……その、うん」


「でも七五三田にはしてたんでしょ?」


「それは……成り行きと言うか……ねぇ?」


そこで俺にふるのかよ…!


「いや、まぁ、そうだな、たまたま知るきっかけがあったと言うか……そんな感じだ」


俺がそう言うと、神城は菜衣子に


「なえちゃん、どう思う? 二人は本当のこといってる?」


「………たぶん大丈夫だよ、瞬きの回数も上がってないし、視線も普段と変わらない…口元も……」


いや、菜衣子どこみてんのこわっ!? こいつメンタリストなの?マジで怖いんですけど…


とか思っていると、最後に小声で(まぁ、なにか隠してる感じはあるけど)と呟いたのが聞こえ、俺は鳥肌がたつ。ってかおとなえさんまじパネェんですけど。こいつ小5だよね? こいつ実はなんか異世界から転生とかしてないよね? 修羅場くぐってきてないよね!?


「ふーん、なえちゃんがそう言うなら大丈夫か…」


いやいや、神城さん貴女はうちの妹信じすぎですよ。


二人の尋問を掻い潜り、とりあえず何故二人が一緒にいたのかを聞くと、二人とも何故か家に来て鉢合わせたらしい。


神城は俺を心配してくれて。


仁井園は俺に御礼といろいろ報告しようとして。


「なるほど……そんで話をしてたら菜衣子と母親にあったわけか」


「そう」


「そんな感じ」


それから、仁井園が俺に聞く。


「ところで七五三田…」


「なんだ?」


「……あそこにいった時、……その、いた…の? アイツら」


「ああ…いたな…」


「アイツらって?」


神城にいわれ、仁井園を助けにいった時、そこに橘 伯李と九十九 つぐみがいたことを伝える。


「そうなんだ…でも、どうして二人はいたの?」


神城に問われ、仁井園が


「なんか、七五三田に用があるって…」


なるほど、前の一件があるから、仁井園の第一声が『大丈夫なわけ!?』だったのか…。


………ふむ、二人には、話さなきゃならないだろう。


橘 伯李と言う人物の詳細と………




―――――白野 咲来の存在を。














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