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第48話 あらぬ誤解を受けたときは、直ぐに訂正しないと後々面倒。

「神城、ちとトイレかしてくれ」


「あ、うん、でね――――」


「――――そうなの!?」


神城と菜衣子が夢中でお喋りをするなか、俺はとりあえずその場を離れる。だってほら、間はさんで話されるのってなんかあれじゃない?気まずいと言うか邪魔なんじゃないかな?みたいになるじゃない?


まぁ、そう言うことでとりあえずトイレでもいくかと離れたわけである。


「さて……」


ようをたし、洗った手をふきながら戻ろうか?なんて考えていると、隣に部屋の扉が開く。


「あら」


そこからは美魔女な神城のばあちゃんが出てきたのだった。


「ふふ、七五三田くん、美羽は学校じゃどうかしら?」


「え…?」


突然の話題にとっさの返事ができず、少しだけ固まる。それからちょっとだけ考えて


「えっと……普通? ですかね」


「あら、そう? ならよかった! あのね、あの子ほら、両親があまり家にいないでしょ? だから非行に走ったりしないかと思って、ちょっと心配してたのよ」


その話を聞いて、俺は即答する。


「いや、それはないですよ。神城……お孫さんは非行とかには走らないと思いますよ、わりとしっかりしてるし、ぽやぽやしてるようで芯が強いと言うか、間違ったことや、自分が違うと思ったことは素直に意見いったりしますし…それに、悩みはしたりしてますけど、流されるタイプではないと思うので…」


最後の方は話していて、仁井園との一悶着を思い出していた。それに…


「もし、神城さんがそう言うことを万が一にでもやるようなら、俺が全力で止めます」


話を聞いた神城のばあちゃんは


「ふふ、ふふふ…七五三田くんは、美羽の事をちゃんと見てくれてるのね、安心したわ」


と言ってにこやかに笑う。なんだかその笑顔をみていると照れ臭くなってしまう…。そんな事を考えて俺が可愛らしく頬を少し染めたりなんかしていると、神城のばあちゃんは


「良かった、こんな子があの子の"彼氏"でっ!」


と言い出した。………ん? いや、違うね。俺はたぶん、友人(まだ思ったり口に出したりするのは恥ずかしい)だとは思うが、断じて恋仲などではない。ましてや彼氏とか……そう考えると、いつかは神城にも、仁井園にも好きな人ができて、そんな人ができたならきっと俺なんかとは話したりできなくってしまうのだろう……。やがてはこの関係も終わりが来る。当たり前だが、そう思うと、ちょっとだけ胸の奥が苦しくなった。


***


【神城 美羽】


なえちゃんとお話をしてから、私は料理に取りかかる。今日のメニューはハンバーグである。七五三田は男の子だし、なえちゃんが前に「なに食べたい?」と聞いたら「肉!」とアバウトな返事が返ってきた為、今回はこのメニューを選んでみました。


(そういや、さっきから七五三田はどこにいったのかな? トイレにしちゃ長いような……お腹くだしたりしてるのかな?大丈夫かな?)


そう思い、なんとなく廊下の方へ向かう。すると、


『―――間違ったことや、自分が違うと思ったことは素直に意見いったりしますし…それに、悩みはしたりしてますけど、流されるタイプではないと思うので』


なんの話だろ?


『―――万が一……の時は、俺が……止めます』


七五三田の声が聞こえ、私はドアを開く。すると、おばあちゃんが


「良かった、こんな子があの子の彼氏でっ!」


ここだけは、バッチリ聞こえた。


(……し、七五三田は何て言うのかな…?)


聞き耳をたてながらこっそりと二人の様子を伺い続ける。と、


ピー、ピーっと電子音がなる。私のバカ! 冷蔵庫がしっかりとしまっていなかとたらしい。当然、その音に二人がこちらを見る。


「あら、美羽なにしてるの?」


おばあちゃんに言われ、咄嗟に


「べ、別に? なにもないよ!」


と言うが、七五三田は直ぐに私が盗み聞きしていたのに気づいた様子だった。……妙なとこするどい…。しかしそこは彼だ、何事もなかったかのように


「………んじゃ、戻りますね」


とうちのおばあちゃんに言うと、リビングへ向かおうとする。その時、何かおばあちゃんに耳打ちをされ


「い、いや、そんなんじゃないっすから!」


と、少し慌てているのが可愛く見えた。


***


【七五三田 悠莉】


神城のばあちゃんと少しだけ話してリビングへと戻る。てか、絶対神城は俺とばあちゃんの話聞いてただろ……。俺なんかが彼氏と思われて嫌じゃなかっただろうか? てか、直ぐに否定できないあたり、ちょっと自分が情けなく思う……ま、あとで誤解は解いとくか…。にしても、去り際に『まだ若いんだから、避妊はちゃんとしてね♪』と言われてしまった……。いや、まあ身内だからそう言った心配をするのは当たり前だし、もし俺が彼氏だと思われているならわりと普通に言われることかもしれないが、その言葉に俺は妙に"大人"を感じてしまった。いや、しかも俺彼氏じゃないしね……そんな事を言われたものだから、慌ててキッチンへとかけていく神城に視線を向ける。


「すごい揺れてる」


どこから現れたのか、菜衣子の言葉に


「マジでな」


と何気なく返す。するとおとなえさんは


「………悠莉くんの変態」


いや、それは酷いんじゃないんですかね?話をふってきたのそっちでしょ?しかも実際揺れてたじゃない!いいですか?男性と言う生き物は生物学的に揺れてるモノには視線がいきがちなんですよ、それは何故かと言うと、過去に狩りをしていた名残であって………とかワケわかんない言い訳を頭でしていると、神城が料理も一段落したらしくこちらへやってくると「んーっ!」と目の前で伸びをしてから



「さて! 下ごしらえも終わったし、一緒にお風呂入ろっか?」


と笑顔で言ってきた。なにこれ、新婚夫婦かな?

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