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第47話 男子が一番好きな女子の匂いは、香水でもボディークリームの匂いでもなく、石鹸と柔軟剤(キツくないヤツ)である。

さて、それからとりあえず俺も菜衣子にならって挨拶をする。いや、だってほら、挨拶しないのって感じ悪い感じしちゃうじゃない?だからそこはとりあえず挨拶しとく。


「あ、こんにちわ」


「ふふふ♪ こんにちわ♪ 貴方が七五三田くんね?」


神城の祖母はそう言うとニコッと微笑んだ。


「あ、はい。 えと……はい」


やべぇ何言ったらいいか全然わかんない! いきなり神城のばあちゃんとか現れたけど見た目ばあちゃんじゃないじゃん! 美魔女じゃん! あとなんかすごい緊張すんのはなんなの? ここにきてコミュ症が炸裂してしまう。


「えっと……」


俺が見事なコミュ症を発症していると、神城が


「もう、おばあちゃんそこにいたら七五三田はいれないじゃん!」


と言って退くように促す。すると神城の祖母は「あらあら、ごめんなさいね」といって道を開けた。なんかすみません。


いやぁ、マジびびった。ほんと、世の中すごい人がいるもんだとか思いながら俺はとりあえずリビングにいき、ソファーにすわる。あ、机の花変わってる。そんな事を思った俺は、後ろから続いて入ってきた神城に声をかける。


「……花、変えたんだな」


「へ?」


神城は一瞬なんの事かわからないと言うようすだったが、すぐに俺の言ったことを理解して、


「あー、机の? ふふ、可愛いでしょ? あれニリンソウなんだよ?」


「へー……え、でもニリンソウって春じゃねぇの?」


「うん、普通はそうなんだけど、おばあちゃんが買ってきたんだよね」


そう言って神城は一度離れて台所へと向かう。てかこいつ、いつもそこにいる気がするわ……。何て言うか、喫茶店のマスターじゃないけど、常に持て成そうとしていると言うか……あんま気使わなくていいんだけどな。そんな風に考えていると、菜衣子がやってくる。


「悠莉くん! 悠莉くん!」


「どうした小さいの」


いてっ、肩パンされました。


「んふふふふふ♪ 悠莉くん、みうちゃんの部屋みたことある?」


何故か得意気にマイシスターがそんな事を言ってくる。……が、まぁ確かに、この家にはちょいちょい来るが、神城の部屋は入ったことがない。むしろ見たことすらなかった……いや、何て言うか、コイツが普段からキッチンにいるせいか、そこがしっくりきすぎていて、なんも思ったりしなかったと言うか……


「で、神城の部屋がどうかしたのかよ……てか、おまえ人の家に来て勝手にプライベートルームはいんなよ、お兄ちゃんおまえのマナーの無さにちょっと驚いたぞ」


「え? 失礼な! 前からみうちゃんに許可もらってたもん! 今日私は、みうちゃんの部屋に泊まるから荷物おいてきたの! だいたい、私がそんな事するはずないじゃん!」


………まぁ、確かにそうか。コイツならちゃんと一言聞いて、更にはお世話になるからって手土産渡しそうだもんな……。


「それにポッキーおいてきたもん! お世話になるからって!」


ほらね。さすがおとなえさん。そう言うの大事ですよ、お隣さんとかご近所さんとかによくして貰うためには、日頃からの積み重ねが大事ってうちの母がいっていたからね。


「あー、悪かったな…で、部屋がどうかしたのか」


「ふ・ふ・ふ……よくぞ聞いてくれました! みうちゃんの部屋……」


「お、おう…」


――――ごくり。


「ぬいぐるみがたくさんありましたー!」


「……お、おう……」


え……だからなに? こいつ何が言いたいの? 女子だしそんなもんじゃないの?


「もうすごいんだよ!」


何故か興奮して話す菜衣子の話をとりあえず聞いていると、飲み物を持った神城が戻ってくる。


「はい、どうぞ」


そう言って一つ一つコーヒーとカフェオレ(甘口らしい)を俺と菜衣子の前に置いていく。カフェオレは菜衣子用である。そういや神城のばあちゃんの姿が先程から見えないが……部屋だろうか?


飲み物をおき終わると、神城は俺のとなりに腰を下ろした。


「なんの話してたの?」


「あぁ、おまえの部屋…」


俺が答えようとすると、菜衣子がそれを遮るようにして


「みうちゃんの下着事情!」


と言い出した。


「うぇ?! ちょ、な、なんの話してるの!?」


「いや、神城…そんな話」


「おもに水色が多いよね!」


「ちょっ……! なえちゃんなんで知ってるの!? もう、見ちゃダメだよぉ…」


ほーん…水色が多いんですね。いや、想像してないし、全然妄想とかしてないし?でも不思議、何故か視線が神城の胸へと持っていかれる……ッ!


「……七五三田…?」


そして例によってゆっくりと神城さんの顔に視線を戻すと、久しぶりのジト目での抗議を受けることとなる。


「……見すぎだから、えっち」


「は、は?! バッ…ちげぇし! なんかこう、あれだよ!」


どれだよ。自分で思わず突っ込んじゃうくらい言い訳が思い付かない!


「悠莉くんて、ほんとムッツリだよね…女子に嫌われちゃうよ?」


いや、元はと言えばですね、菜衣子さん?貴女が男子の夢を膨らませるような話をしだしたから……なんて思う俺をよそ目に、俺を挟む形で話を始める菜衣子と神城。


「そう言えば、みうちゃんの部屋って石鹸みたいな匂いするよね!」


「え? そうかな? 自分じゃわかんないや」


「え、するよー! なんかね、ちょっと甘めの優しい匂い!」


「えー、えへへ、ほんとかなぁ?」


「ほんとだよー」


……なにこれ。急に俺空気なんだけど、間に挟まれてんのに空気なんだけど。てか女子の会話って転回はやくね? おいてけぼりなんですけど……。





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