表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/81

第14話 男は、女の言葉に振り回されやすい。

「……あの、仁井園……?」


〔そうだけど?ってか、普通に一回目で出てよ、七五三田の癖に〕


いや、前も北川くんに言われて思ったけど、七五三田の癖にの癖ってなんなんだよ。つーか用事あんのおまえだろうが、なんなんだマジで。


「…いや、て言うかかけてきたのおまえだろ。つーかなんで俺の番号しってんの…?」


〔え?あー、アンタ同中に平山(ひらやま)っているっしょ?アイツ、あたしの事好きだから、わりと忠実に何でも言うこと聞いてくれんの。そいつに連絡網から探してもらった〕


えー……個人情報保護法っていったい…。つーか平山くんマジかよ、趣味悪すぎるよ、あと、簡単に元クラスメイト売ってんじゃねぇよ、あんまり話もしたことないけどさ、ビックリするだろうが。


「んで、仁井園がなんで俺にかけてきたの……?」


〔……は?用事あるからでしょ、普通わかるくない?〕


いや、だからその用事は何かと聞いているんですがね…なんなの?1~10説明しないと分からない感じなの?えっと…


「いや、その用事を聞いてるんだけど…ってか、それ家電(いえでん)?」


〔は?……そうだけど。だってアンタにスマホ知られるのは嫌じゃん〕


「……知らねぇよ。で、用事はなんなんだよ…?」


お?と言うか俺、電話だとキョドらずに普通に話せるな…これは発見である。


〔……その、何て言うか…相談…? 〕


「…相談?」


〔まぁその、何? 今あたし、元カレに会おうって言われてんだけど、ちょっとアイツオラついてて、若干あたしチキッてんのね?まぁ、午後からバイトだし、今はフロリダ中だからまだ時間あるんだけど、たぶん会ったらやばたにえんな感じだし、きっとリアルガチでメンブレすると思うんだわ〕


おぅけぃ、落ち着こう。コイツ何いってんの?マジなの?宇宙人と会話してんのかと思っちゃったよ。


「……悪いんだけど、日本語で頼みたい」


〔は?余裕で日本語っしょ。何?バカにしてんの?〕


「いや、そういう訳じゃないんだけど…」


まず、フロリダってなんだよ。君の元カレはアメリカにでもいってんの?午後から仕事なのに?あと"やばたにえん"ってなに?某お茶漬けとかの会社になんか言われそうなんですけど、それこそ"やばたにえん"なんじゃないの?ってなるほど、こんな感じで使うわけか。JKすげぇな。いや、まぁ俺も高校生なんだけどね。


(オラついてるやチキるは分からんでもないな…)


「あのさ、フロリダとメンブレってなに?」


〔は?"風呂に入るから離脱する"と"メンタルブレイク"、まぁ精神的に落ちたりするの略だけど?そんなんもしらないの?本当に七五三田って、ぼっちなんだね〕


いや、おまえの元カレは何から離脱したんだよ。あとぼっちは別にいいだろ。って言うか、なんで痴話喧嘩の相談をされなきゃならないんですかね?知らねぇよ、勝手にやればいいじゃん。


「……で、その元カレとおまえの問題になんで俺が関わんなきゃなんないの?」


〔え?だってあたし、アイツとより戻したくないもん〕


「じゃあ、会わなきゃいいんじゃないんですかね」


〔それはダメなんだよ……〕


「は?なんでだよ」


〔……アイツ、あたしの大事なキーホルダー持ってんの…だから、ちゃんと会って、取り返さないと…!〕


大事なキーホルダー?思い入れかなんかあるって事か?


「…なるほど、まぁ会う理由はわかったけど、なんで俺に電話までして、そんな話したの?」


〔……あたし、あんまりアイツがしつこいから、『アンタなんか最初からタイプじゃなかった、あたし、実は陰キャの方がタイプだから、それに、もう彼氏いるし』って言っちゃったんだよね…〕


陰キャは分かる。俺みたいなヤツ。


「てか、なんでそんなすぐわかるような嘘ついたんだよ」


〔それな! あたしも今めっちゃ後悔してるから…〕


「……で、まさかとは思うが…」


〔そう、元カレが証拠見せろって言うから、今日つれていく話になって、誰がいいか考えたときに、ピッタリなのいるなと思ったってわけ。あたしスゴくない?だから今日だけ彼女してあげてもいいけど?〕


なんで上からなんだよ…てか仁井園、おまえスゲェよ。何がすごいって、それがまかり通ると思ってることだよ…俺が断ったら全部終わりじゃねぇか。だけど、まぁ…神城の依頼(?)もあるしな…仁井園を知るにはいい機会か…。


「……で、何処にいけばいいの?」


〔……マジ? やってくれんの……?〕


「は?おまえが頼んだんだろうが」


〔……いや、…そ、そうだよね……いや…普通に断られると思ってたから…ありがと…〕


え?やめて急に汐らしくなるの。なんかドキッとしちゃうから。


「……で、何処にいきゃいいの?」


〔駅前のマック、元カレのバイト先の近くだから…そこにってなってる〕


「何時?」


〔……15時だけど……本当にいいの…?〕


「は?やるって言っただろ、15時な、わかった」


俺はそう言って電話を切ろうとすると、仁井園が〔あ〕と言った為、思い止まる。そして黙っていると仁井園が


〔……七五三田〕


「なんだよ」


〔今日1日彼女してあげるけど、エッチは無しだから〕


「………は?」


なにコイツ?マジ調子のってんな、イチミリも期待してねぇよ。ちょっと清楚で雰囲気可愛いからってマジ調子のんなよ?おまえの本性しってんだからな、クソが。ちょっと想像しちまっただろうがっ!うん、悪くないですね。むしろ黙っていればそれなりに可愛いから妄想は捗りますって、バカ!


「き、ききき、期待とかしてねぇよ!」


俺はそう言って電話を切った。そして、やはりドキッとすると電話でもキョドるらしい。おそらく、アイツは切れた電話の向こうで「キモッ」とでも呟いていることだろう。


(にしても、15時か…あと一時間くらいしかねぇな…)


俺は時間を確認したあと、すぐに支度をして駅前のマックへと向かった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ