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2-3

「無事着きましたね」


門番の男性から承認を貰い、俺とフィナさんは村の中に入る。

到着した村は木造建物がほとんどの小さな村だった。畑の中に高い塀で囲まれた村。住んでいる人も老人が多い。


「そう言えば聞いていませんでした。この村にどのようなご用件があったのですか?」


ご用件?よくよく考えたら、退屈だったからだからな。どうしよう。秘密にでもしておこう。国から派遣された極秘ミッションを遂行する人みたいな。


「秘密です。フィナさんは?」


聞き返すとフィナさんはこんなことを言った。


「私は家に帰るために、まず逸れた付き人の方達と合流します」

「付き人?」

「私の旅を護衛なさってくれていた方達です」

「へえ」


付き人が雇えれる人なのか。めちゃくちゃ金持ち じゃないか。


「ですが、付き人たちはカロの街に向かっています。そこへどうにかして向かわないと」

「歩いて行ける距離なら、歩いて向かえば」


と言ったら、フィナさんは驚いたような表情をする。


「確かに歩いて行ける距離ですが、そんなの危険すぎます。失礼ですが、あなたは世間を知らなさすぎじゃありませんか?」


いや、まあ、そうです。はい。

だってまだこの世界に来て5日目だし。もっと言うなら、天界を出た初日だし。


「何が危険なのですか?」

「モンスターに決まっています」


聞いてみると、予想通りの返答。

やっぱこの世界にモンスターはいるみたいだ。魔法があり、モンスターがいて。

なんだそれ。


「取り敢えず、この村の行商人の方に会いましょう」

「行商人?」

「村と村、街と街を行き来する方達です。危険な時間帯、場所をご存知ですので。旅に困ったらまず彼らに頼れと、昔から言われています。運が良ければ、彼らの移動に同行させてくれるかもしれません」

「なるほど。でもお金が」

「大丈夫です。お金はあります」


そう言って、フィナさんは裾の中からお金が入った袋を取り出した。ジャラジャラと音が鳴っている。沢山入っているみたいだ。


「では、村の方達に聞きましょう。行商人の方はどこにいるのか」


なんて会話をしていたが、これには大きな問題があった。

誰に聞いても、行商人はいないと答えたからだ。

そう、前提として、行商人がいるがそもそも間違っていた。まあよくよく考えたら、こんな小さな村で物を売っても儲けが少ないからな。いなくてもおかしくは無い。


「どうしましょう」


フィナさんが目に見えて落ち込んでいる。

しかたがない。


「フィナさん、俺がそのカラの街」

「カロの街です」

「そのカロの街まで送ります。護衛します。俺も大きな街に行きたいので」

「失礼ですが、あなたが?」


いやまあ、そうですな。逆の立場なら引き受けないな。

なんて思っていると、ふふふとフィナさんは笑った。


「冗談です。短い時間でしたが、あなたが誠実な方なのは分かりました。森の中で二人きりは、襲われてもおかしくありませんでしたから。着ぐるみ剥がされて無一物だったかもしれません」


いや、まあ。

考えなかったかと聞かれたら、考えましたけども。

でも俺にそんな度胸はないから。神様から手が出せない呪いもかけられていますし。手を出したらどうなるのか気になったけども、結局諦めました。

全然誠実じゃなくて申し訳ないです。心の中で謝っておこう。


「だから、私からお願いする形にしたいです。同行してくれませんか?」

「もちろんです」


そんな形で、俺とフィナさんはカロの街を目指すことになった。

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