17-4
「ふう、しんど」
飛び散る血。
海の神を殺した俺は両腕をあげて横になった。
疲れた。
非常に疲れた。
負っていた傷はどういうわけか少しずつ治っている。傷どころか服さえも直っている。多分神様の仕業だろう。
「もしかして、地上に降り立った時から、いやそれよりも前からずっと神様は俺のことを見ていたのか?」
だったら今も。
この光景は神様にとって予想外だっただろうか。
それとも予想内だったのか。
「さてと、そろそろ帰るか」
敵は何とか倒した。
だからもう安心だ。
そう思って俺はふと上半身を起こし、辺りを見渡して気づく。
海の神が使った力。この暗闇の世界はいつになったら崩壊するのだろうか。転移の力が使えないならここから出ることは出来ない。
それにどうして消えない。
海の神は倒したと言うのに。
その考えにたどり着いた時。
俺はすぐに警戒するべきだった。
その時、海の神が地の底から表れたのだから。
海の神は俺の足を掴むとそのまま顔を乗り出して。
「死んだと思ったか。俺があの程度で死ぬと思ったか」
「良く生きていたな」
「もう君に呪いの力は使わせない」
至る所から不思議な光の剣が現れ、俺の両腕を貫いた。
油断していたのは俺の方だった。
海の神の言葉通り、俺の力は使えなくなる。貫かれたというのに痛くない。封印するために存在する力なのだろう。
「終わった。俺の負けだ」
「そうだ。君の負けだ」
「最後はせめて痛くないようお願いするよ」
諦めた俺はそのまま身をゆだねることにした。
そんな時。
「大丈夫、死なないから」
そんな言葉が聞こえた。




