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17-3

「何だこれは」


 海の神が呟く。

 呪いの力。

 それは海の神のありとあらゆる力へ及んだ。

 魔法への呪いにより、魔法の使用が不可となり。

 神の力への呪いにより、神の力の使用が不可となり。

 体の自由への呪いにより、体を動かすことが困難となり。

 まるで、それまで与えたダメージがすべて跳ね返って来たかのように、海の神のありとあらゆるものが呪われていき、使えなくなっていく。

 それは足のつま先から徐々に黒くなっていき。


 その男は傷んだ体を無理やり起こし、笑って見せた。


「やっとで発動した」

「何をした」

「呪った」

「なるほど」


 その一言で海の神は理解する。

 呪いの力。

 あの創造主が使っていたことを思い出す。

 そういうことか。そういうことかと海の神は何度もつぶやき、その対抗策を考える。そして考えた結果不可能だと理解する。

 海の神の力は創造主の力には及ばない。

 創造主の呪いを解除することができるのは創造主だけである。

 それでもなお、海の神が創造主の後継者である目の前の男に勝てる自信があったのはまだ日が浅く、力のすべてを使えないからであったが。

 この力を使われては勝てる可能性はなくなってしまう。


「予想外の反撃だ」

「そりゃどうも」


 少しずつ、男の体が治っていく。

 創造主が与えた力が発動したのだろう。

 傷を負えば超回復し、死ねば時間が巻き戻る。この二つの力で創造主は後継者である彼を遠くから支え続けていた。

 それを知っていた海の神はだからこそ短時間による死を考えたのだから。


「まさか負けるとは思わなかった。すぐに全力を出し、倒すべきだった。慢心が敗因とは」

「よくあることだから、そんな気にするな」


 海の神を侵食する呪いは、下半身をすべて黒に染め、やがて上半身におよび。それと同時に海の神の思考さえも呪い始める。


「最後は、せめて呪い以外の方法で殺してほしいのだが」

「ああ」


 海の神の要望に、男は再び手を向けた。

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