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17-1

 俺が使える力は三つ。

 無から有を生み出す力。

 人の心を読む力。

 転移の力。

 この三つで、いや転移の力は使えない。だから二つか。一体どうやって、二つの力で海の神と戦えば良いのだろうか?

 無理に決まっている。


「うわっと!」


 海の神が放った魔法の水が俺の寸前をかすめる。

 それを説明するならば、水の槍。実在する槍は一切使わず、魔法のみで戦うつもりだ。水の槍は地面に突き刺さると水となって辺りを濡らす。


「遊んでる?」

「ああ。そうだとも」


 海の神はそう言って、槍を振り回す。

 瞬く間に展開される魔方陣。そこから無数の水の槍が俺目がけて飛び。

 そんな水の槍を俺は無から作り出した剣で応戦する。

 叩き切る。

 まるで水風船のようにはじけ飛ぶ水の槍は俺の服を床を徐々に濡らしていく。服が肌にへばりつく感触が襲ってくる。


「もしかして。水の魔法を使うやつにありがちな、この辺り一帯が水で濡れるのを待っている、とでも言うのか?」

「まさか」


 海の神はそう否定して、まるで今までの魔法はお遊びだと言わんばかりに巨大な魔方陣を展開した。

 次の瞬間。

 波が襲ってきた。

 それを咄嗟に、使えないはずの転移の力で避けようとして。転移の力が発動し、俺は上空に転移した。どうもこの空間の間ならば自由に転移は出来るらしい。

 空から落ちた俺はそのまま波によって浸食された水の床に落ちる。

 水の深さは腰ぐらいまでである。


「流石神ともなれば、このぐらいはたやすいのか」

「まだ準備運動のつもりなのだけれどもね」


 マジかよ。

 俺は少しずつ希望が無くなっていく。

 スライムとかただの人間とか。あんなのを相手にしたときにない力の差を感じる。勝利の道筋が見えない。初めてだ。

 今まで明るく前向きに頑張ってこれたというのに、今の俺は頑張ろうと思うことが出来ない。


「何か、新しい力でも目覚めれば良いのだけれども」


 俺はそう小さく呟く。

 そうだ。

 新しい力だ。

 今までみたいに新しい力に目覚めれば勝てるはずだ。

 でも何を。


「無理だね」


 海の神が呟く。

 俺はそんな海の神を見ながら、考える。

 神様はどんな力を使っていた?

 思い出せない。

 突如襲った水の槍を俺は避けることが出来ず、その衝撃で宙を飛んだ。ふいに思い出されるのはフィナさん、シンシアさん、レナちゃん。

 そうだ。

 思い出した。

 神様は俺の前で四つ力を見せていた。

 一つ目は心を読む力。

 二つ目は転移の力。

 三つ目は無から有を作る力。

 そして最後の一つは呪いの力。

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