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16‐3

 フィナさんとレナちゃんは疲れからか、街の外だと言うのに熟睡を始めた。

 スライムなどのモンスターに襲われない、あるいは襲われても大丈夫だと、そう安心しきっているみたいで。可愛らしい寝息が聞こえる。

 俺と海の女神はどこか眠れなかった。


「私はこの辺りの見回りをする」


 そう言い残して、シンシアさんは俺と海の女神から逃げるようにして、どこかへと消えていった。

 見回りをする必要なんかない。だから、どうしてシンシアさんが見回りにいったのか俺には分からなかった。

 というよりも、気まずい。

 今、海の女神と二人っきりにしないでほしい。

 俺は仕方なく、火が燃える中、俺は海の女神と向かい合う形で座る。


「ねぇ」

「はい!」


 海の女神が聞いてくる。


「そうちゃんは創造主になる前はどんな生活をしてたの? どこにいたの?」

「日本という国にいました」

「二ホン?」

「ああ、えっと。なんていえば良いのかな。違う世界だ」

「違う世界?」

「そう違う世界」


 海の女神は俺たちを信用してか、すべて話してくれた。

 だから今度は俺が話すべきだろうと、ずっと隠していたことを話すことにした。

 創造主になる前はどんな生活をしていたのか。天界に始めてきた時のこと。その後、どんな経路をたどり、海の女神に出会えたのかを。


「多分その人生はあらかじめ決まったものなのね」


 その話を真剣に聞いた海の女神が最後にたどり着いた答えはそんなものだった。

 俺もそう思っている。


「良いなぁ。創造主に守られて。私なんて過保護なのかそうでないのか良く分からない海の神よ?」

「守られているのか? 何も教えてくれないぞ。後継者だと言うのに、何一つ重要なことは教えてくれないし。もしも力がうまく使えなくて死んでしまったら元も子もないと言うのに。いや、それはないのか」

「そうちゃんは普通に死ぬよ」


 俺の言葉に海の女神が否定してきた。


「でも、そうちゃんは死なない。絶対に」

「どういうことだ?」

「後継者だから」

「ちょっと待て」


 ふと海の女神も怖くなる。


「何でそんなこと知ってるんだ? お前、創造主のこと知らなかっただろ」

「お前と呼ばないで」

「悪かった。でも、どうして?」

「無の神が少しだけ教えてくれた」


 ああ、と納得する。

 あいつか。確かにあいつは何でも知っていそうだ。


「どうして死ねないんだ?」

「どうしてだと思う?」

「一番可能性としてありそうなのは、創造主は死さえも操れるから、とか?」


 創造主、もとい神様ならこれぐらいできそうだ。


「それもあるかもね」

「違うのか?」

「どうして私はそうちゃんは死ぬと言ったと思う?」

「…………?」


 確かにそうだ。

 どうしてだ?

 分からなくなってきたぞ。


「それは俺が教えようか?」


 俺の人生は決まっている。

 だからこれもきっと、神様の試練である。

 一人の男が俺の後ろに立っていた。

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