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フィナと名乗った女性。
まあ、綺麗。神様にな劣るけども、日本なら充分女優を狙えそうだ。長い茶髪と、大人びた整った顔。神様と違って人間らしさがある綺麗さだ。そう思うと神様は整いすぎて浮世離れしてたからな。
そんなことはどうでも良くて。
フィナさんは俺の目的を聞いてきたため、俺は素直に答えた。
「なるほど、村を目指しているのですか?」
「そうです。村を目指しているんです」
「奇遇ですね。私もそうなのです」
「そうだったんですか?いやあ、奇遇ですねえ」
言われた言葉を繰り返すのが、何となくそれっぽく会話するコツだ。俺はコミュニケーション能力がないからな。
フィナさんは俺の言葉に少し怪訝そうな表情をしたが、すぐに真面目な表情になり。
「あの、押し付けがましいのですが、お願いがあります。一緒に村を目指しませんか?」
「目指す?」
こんなお願いをされた。
何だ?
まるで森の中は危険のような言い方だ。
「大丈夫です。はい」
まあ、いつか分かるだろう。
そんな感じで村を目指す俺とフィナさん。その間はフィナさんから質問責めされた。
「そう言えば、どこの街出身なのですか?」
「日本村です」
「ニホン村ですか?聞いたことがないですね。この国の方ではありませんよね?」
「日本国出身です」
「ニホン国?それにニホン村?なるほど。失礼ですが、嘘ですよね?あ、もしかして、言いたくないことでしたか?」
「いや、村は嘘ですが、出身は日本国です。はい」
「そうなのですか。ニホン国。聞いたことが無いです。あなたは、その国で相当優秀な魔法使いなのでしょうね」
フィナさんはそんなことを言った。
魔法使い?厨二病?じゃないよな。見たことない服着てるし。ここ異世界だし。なるほど、魔法と剣とモンスターが支配する世界か。
剣とモンスターは見てないけども、こういう世界にはお約束だ。多分。
「先ほど、拝見させていただきました。無から服を作る姿は見事でした」
「そうです。魔法使いです。優秀じゃありませんが」
というよりも、優秀じゃないから魔法使いになりそうだったとも言い換えれる。
「初めて見ました。あんな魔法は。どういう原理なのですか?どうして魔法陣を必要としないのですか?」
「願いを叶えるからです」
「願いを叶える?もしかして、体内に魔方陣を描き、魔方陣を必要とせずに使う魔法のことですか?一見すると何もしていないのに、魔法が使える点から、願いの魔法とも呼ばれている。発展途中の技術ですよね?そこまで実用化されているとは、優れた国なのでしょうね。そのニホン国は」
「そうです」
可笑しい。会話が成立している。1を伝え10を知る、改め-1を伝え10を知るだな。
フィナさんの話し方は丁寧だし、良いところのお嬢さんなんだろう。だから教養があって、俺の適当な返答でも問題なく会話が出来ている。俺とは住む世界が違うな。
「ああそうだ。名前を聞いていませんでした。お名前を教えていただけると嬉しいのですが」
「名前ですか?俺の名前は」