16-1
「仕度できた?」
「はい」
フィナさんの仕度が終わるのを合図に旅が始まった。
レナちゃん、シンシアさんはフィナさんと比べてすぐに終わった。というか、シンシアさんはフィナさんが着いてくる気になった時点で仕度を始めていた。自身のお嬢様から離れるつもりはないらしい。
逆にだが、リリエルが旅から離脱した。
というのも天界を留守にするわけにはいかないかららしい。
そして、無の神もどこかへと消えていなくなった。
「無の神はどうしたんだ?」
「ああ。あの子は、いつものことだから。多分また何時かやってくるよ。どこからともなく」
海の女神はそう言って、深くは教えてくれなかった。
無の神がいない方が個人的にはうれしいけども。なんだかなぁ。
なんか、面倒な厄介ごとに巻き込まれそうで。
「そう言えば、どうして歩くんだ? 転移魔法とか使えば」
「私は使えないし、それにそれは旅の面白さ半減でしょ? 旅は旅の過程を楽しむものであって、一瞬んでいろんな街を訪ねることが出来ても楽しくなんかないよ」
「まあ、そうだけどもさ」
「良いよね。人間は隣街に行くだけでも神経をすり減らすのに、私たちは気軽な気分で旅ができるのだから」
海の女神がそんなことを呟く。
そうかもしれないけども。
「どこを目指すのですか?」
フィナさんが海の女神に聞いた。
「まずは故郷」
「…………?」
「私の故郷」
「海の女神様の故郷?」
「それはどこに?」
俺が聞くと海の女神はずっと遠くを指さした。
その先は森、山。
「あっちの方学だとだけ分かる。どれぐらいの距離が離れているのかは分からないけども」
「何で、まず故郷なんだ?」
「だって仕方ないでしょ。久々に故郷に帰りたくなったんだから。帰ったら、私をバカにしたやつらに対して、私は海の神の妻になりましたけども、あなたたち一体どんな男の妻になったの? てバカにするんだから」
「お前のそういうところ好きだわ」
俺がそう言うと、海の女神は不思議そうな表情をする。
「そうちゃん。あの子みたいなこと言うのね」
「あの子?」
「無の神」
「ちょっと待ってください!」
そんな俺たち二人の会話にフィナさんが入ってくる。
「え? あなた様。海の女神様のことが好きなのですか?」
「友人として」
「私も友人としてそうちゃんのこと好きよ。異性としてはないけども」
「俺もないな」
「やっぱり私たち気が合うね」
「はっはっは」
笑いあう俺たち。
「なら、良いですけども」
フィナさんはそう小さく呟いた。
太陽の神と戦わせて終わらせようとか思っていましたけども
海の神と戦って終わります
多分




