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15-5

「茶番なんか良いから。早く出発しよう。海の神に気づかれる前に」

「脱獄してからだいぶ経ったから、もう気づかれていても可笑しくないと思うけども」

「海の神の神殿はあちこちの海に点々としているから。次、私がいた神殿に来るのは、これまでの経験からすると、もうそろそろかな」

「そうなのか」

「気づかれたら、百パー連れ戻しに来るからね。まだ来ないのはそういうこと。そして来た時のため、そうちゃんと一緒にいないと」


 海の神にもいろいろとあるんだな。


「あの」


 するとレナちゃんが聞いてきた。


「何を話しているの?」

「ああ、海の女神は神殿から脱獄してきたみたいなんだ」

「そうなの?」


 レナちゃんは不思議そうな表情をする。

 海の女神が神殿から脱獄するなんて、何があったのか不思議なのは無理もない。


「あれ?」


 そんな俺とレナちゃんの会話に海の女神が割り込んできた。海の女神がレナちゃんを初めて見たのだろう。

 海の女神はレナちゃんの両肩を掴み、頭のてっぺんから足のつま先までじっくりと見た後レナちゃんの顔を見つめ。


「何この子。可愛い。お名前は?」

「レナ、です」

「レナちゃんだね。可愛い。すごくかわいい。決めた。私この子、私専属の天使にする」


 海の女神はとんでもないことをほざいた。


「ちょっと待て」

「こんな可愛い子、あんたには勿体ない。そこの、えっと。良く分からないお嬢様差し上げるから、私はこの子を貰うね」

「いや、フィナさんはいらん」

「え!?」


 俺のいらんという発言にフィナさんが驚いた表情をする。


「あなた様、いらないとはどういうことですか?」

「いや、別にいらないわけでは。ただ、その。うん。まあ。はい」

「そうですか。分かりました」


 フィナさんが俺に詰め寄って来た。


「旅に出るのですよね?」

「そうだけども」

「でしたら、私はあなた様の専属の使用人として着いていきます」

「はい?」


 今度はフィナさんがそんなことをほざいた。


「いや、それはダメだろう。危険だぞ。スライムと沢山遭遇するぞ」

「あなた様ならスライムごとき大丈夫でしょう?」

「いや、そうだけども」

「良いんじゃないかな。私はこの子連れて行くつもりだし」


 海の女神はレナちゃんを抱きかかえる形で了承した。


「海の女神が了承しましたし、これからよろしくお願いしますね。あなた様」


 そういうわけで、旅のメンバーが決まった。

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