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15‐1

 シンシアは今の後継に危機感を抱いていた。


「何日経ちましたでしょうか?」

「分からない」

「はあ、せっかく会えたと思ったら」


 フィナ、そしてレナのささやかな会話。

 レナはあの男が天使に連れて行かれた日から、ずっとフィナの家にいた。というのも、フィナはレナを手元に置いておけばいつか彼が来ると信じていたからだ。だからむしろお願いする形でレナにずっと泊まってもらっている。

 あの男が創造主様と分かり、だからとフィナ、そしてレナの二人は彼への気持ちがなくなることはなく。

 むしろその気持ちは会えない日が増えるごとに徐々に増していく。

 何時かまた会えると信じて。

 二人は今日も黄昏ていた。


「いい加減、諦めましょう。お嬢様。あの男は」

「シンシア。なんて呼び方ですか。あのお方は創造主様ですよ? 知っているでしょう? 私たちごときがそんな呼び方をするなんて」

「もちろんご存知です。ですが、これは」

「今すぐ止めなさい」

「かしこまりました」


 それは一人の男性に対する恋でもあるが。

 神の上を行く存在に対する崇拝に近いものであった。


「あの方はどうして私たちの前に現れたのでしょうか」


 フィナはそんなことを呟く。

 その答えは誰も知らない。

 何か意味があるはずだ。

 あの男が創造主だと知った者たちは皆、そうだと考える。

 それは元聖女であるレナはもちろん、大聖女も。相手の存在が上であればあるほどその行動に意味がないはずがないという思い込みによるものである。


「シンシア様」


 ふいにフィナの部屋の扉をノックされた後。

 一人の使用人がシンシアを呼びに、入って来た。


「どうかしたか?」

「お嬢様にお会いにお客様がいらっしゃいました」

「どちらの方か、名前は名乗られたか?」

「名前は名乗っておられませんが、男と女です」

「分かった。私が対応しよう」


 シンシアはそう返事をして、部屋を出た。

 一瞬二人に視線を送るが、使用人にも気づいていないみたいだった。


「心配だ」


 そう呟きながら、シンシアは玄関へと出向く。

 扉は閉まっており、身だしなみが変でないか一度チェックした後、シンシアは扉をゆっくりと開けた。


「どちら様でしょうか?」

「やぁ、シンシアさん」


 そこに見知った男の姿があった。

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