表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/92

14‐5 神様の独り言5

「まずいわね」


 神様はその境目で、無の神が現れたことに対して言った。

 無の神。

 その存在は神様が生んだものではない。


「太陽の神、月の神ならまだ計画に問題はなかった。でもあの子が出るとなると話は変わってくるわね。あの子は私の制御の外にいるから」


 あちらの世界の神はすでに帰っている。

 だから独りぼっちで。

 神様は自身の髪をかきあげる。


「仮に私に名前を付けるとするならば、私は有の神。この世にすべてを与える存在。でもその子は違う。私の対極の存在。この世からすべてを取る存在」


 ふいに。

 無の神がこちらを見た。

 誰にも気づかれないはずの千里眼が彼女に気づかれたわけである。


「人の心を読むのはいけないこと、ね。それはもしかして私にも言っているのかしら?」


 無の神は神様と違い、神たちと友好関係を気づいている。

 だから厄介だ。


「ねぇ、無の神」


 神様は続ける。


「私たちはかつて一つだった。でも何時か、私たちは離れ離れになってしまった。私たちがそれぞれの手でこの世をより良くするために。でもうまくいかなかった」


 神様は静かに涙を落とし。


「私はもうこの座にいたくない。私はもう傷つきたくない。あなたもそれは同じでしょう? それなのにまた私の邪魔をするの? どうして? 一体私が何をしたというの? どうして私は我が子たちから嫌われなくちゃいけないの?」


 神様は膝を抱える。


「この世界は腐っている。だから滅ぼさなくてはいけない。そして新しく世界を作り上げなくてはいけない。そのために、私は後継者を必要とした。そしてこれはあなたも望むはず。それなのにどうして邪魔をするの?」


 無の神はその神様の言葉に反応し、千里眼で見る神様の目をしっかりと見て口を開いた。


 それは私の仕事です。


 そう無の神は話した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ