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13‐1

「何これ」

「勉強です」

「いや、それは分かるけども」


 その日。

 目の前に出されたのは様々な本だった。

 地理や歴史から、神学について。様々な本が山積みされている。


「あなた様は神様としての自覚がないみたいですので、まずはそこから変えていこうかと私は思いました」

「なあ」

「何でしょう」

「リリエルは本当に俺に忠誠誓ってるの? 忠誠誓う相手に勉強しろは可笑しいだろ?」

「あなた様が嫌だと強く抗議するようでしたら、もちろん止めます。ですが私は熾天使としてあなた様に忠誠を誓い、あなた様への深い愛を形にし。あなた様をより良い神の姿へと導きたいのです」

「そう来たか」


 そう言われたら反論できない。

 俺は仕方なく本を手に取った。

 日本にいた頃は勉強なんか大っ嫌いだったが、今はそうでもない。異世界を知るとはそういうものだ。

 まあ出来ることなら能力ですべての知識を手に入れたりとかしたいけども。

 あいにくとそういうことはまだできない。


「ではまず、地理から学びましょう」

「それよりも先に良いか?」

「何でしょう」

「その俺のことあなた様と呼ぶの止めようぜ」


 フィナさんと被る。

 その言葉にリリエルが不思議そうな表情をした。


「そこまで変ですか?」

「変というか、何というか」

「あなた様がそうおっしゃられるのでしたら聞きますが」

「そう、だったら」


 なんて呼ばせよう。

 あなた様。旦那様。神様。創造主様。ダーリン。お前。貴様。

 困った。

 思いつかない。


「思いつかない」

「では」


 リリエルが妙案を考えたと言わんばかり。


「ご主人様とこれから呼びますね」

「あ、はい」


 そんなこんなでご主人様呼びになった。

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