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12‐2

 さて困った。

 何に困ったのかと言うと、天使が何故か俺に仕えると言って効かない。

 いや、まあ。綺麗な天使が俺に絶対の服従を誓う点に関して言えば、男としてあんなことやそんなことができるだろうからうれしいのだけれども。

 何だろう。

 急な展開すぎて頭が追い付いていないみたいだ。

 どうして信仰を集めないといけないんだ。


「神様、どうしましょうか」


 天使がどこからともなくティーカップを取り出して、俺に差し出してくる。

 場所は俺が初めて神様と出会った天界。

 どうして天使がこの場所を知っているのかとか、どうして神様がいないのかとかいろいろと疑問はあるが、とりあえず俺は天使から紅茶の入ったティーカップを受け取り、一口飲む。

 うん、そこまで美味しくない。


「神様がいないから、なんかやる気がなくなったな」

「神様とはあなた様を後継者に選んだ創造主様のことでしょうか?」

「そう。その創造主のこと。俺は神様と呼んでる。毎回寝てるのに、呼んでも来ないからここにいないのかもしれないな」

「なるほど」

「とりあえず、フィナさんとレナちゃんと、あとシンシアさんもここに呼ぶとかどうだろうか」

「それはダメです。神様」

「どうして?」

「ここは神聖な場所です。ただの人間を連れてきて良い理由がございません」

「そうかな」


 俺は天使にティーカップを返す。


「そういえば、名前を聞いてなかったな」

「私でしょうか?」


 天使は自身に向けて指を向ける。

 俺が頷くと天使は考えるふりをして。


「残念ながら思い出せません」

「思い出せない?」

「記憶がないのです」


 それは初耳だ。


「ですので、わがままだと十分承知ですが、私に名前を頂けないでしょうか?」


 天使がそんなことを俺にお願いしてきた。

 名前か。名前がないと面倒この上ないからな。

 でも名前か。名づけの親の経験なんかないし。それにこの世界にあった名前の方が良い。いやでも天使だから、天使の名前らしく何とかエルにしないといけないのか?

 ミカエルとかガブリエルとか。

 うーむ。

 悩む俺のの隣で天使が希望の目を向けて来る。


「よし決めた」

「はい」

「君の名前はリリエルだ」


 超適当。

 なんとなく思いついた名前だ。

 ただ天使はこの上ない喜びと言わんばかりに喜びの表情を浮かべて。


「リリエル。リリエル。ありがとうございます! お名前を頂き」

「うん。どういたしまして」


 喜んでくれたのならよかった。よかった。


「では、神様。私リリエルが、あなた様の手足となり、あなた様の信仰を集めてきます。では」


 そう言って、リリエルは地上へと向けて飛び立った。

 俺はそんな光景を見ながら。

 どうして信仰を集めないといけないのかなという疑問を結局口に出せなかったことを思い出した。

 まあ、リリエルがやる気になってるから良いか。

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