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10-4

 おもてなしとは何なのだろうか。

 一体何をされるのだろうかと思いながら、俺はよく分からない部屋へと連れていかれた。

 その部屋を一言で言うと、普通の寝室だ。ベッドがあり、テーブルと椅子があり、ソファがあり。良い物を使っているのは何となくわかる、そんな少し豪勢な部屋。

 そんな部屋の椅子に座らされ、俺の周りに可愛い聖女たちが立ち並び。

 俺の頭はさらにこんがらがる。

 何でベッドがあるのでしょうか。


「何でもお申し付けください」


 ルルと呼ばれた聖女が俺にそんなことを言ってきた。


「なんでも?」

「はい。私たちは神に仕える身ですから」

「でも、それは太陽の神であって俺じゃないだろ?別にそこまでする必要は」

「確かに私たちは太陽の神に仕えております。ですが、だからと他の神を蔑ろにすることはできません。全ての神は兄弟なのですから」


 兄弟?

 この世界にいる神たちは皆兄弟なのか?

 でもそれは、多分。俺は違うと思う。俺はその神の家族の一員じゃない。

 だけども、それを言えば面倒な事になりそうだ。ここはご厚意に甘えるべきだろう。


「分かった。じゃあ」


 ふと、おもてなしの言葉を思い出す。

 どれぐらいのことまでお申し付けできるのだろうか?

 飯を持ってこい、ぐらい?


「どのぐらいのことまで」

「可能な限りです。それこそこの身をご自由にお使いください」


 この身を自由にお使いください?

 だからベッドがあるのか?

 あれ、俺が望んだ夢じゃないか?

(そのような不誠実な行い、身近の方にバレたら蔑まされることになります。お辞めになった方がいい)

 俺の中の天使が言った。

(大丈夫。バレやしないよ。なぁに少しだけすれば良いさ)

 俺の中の悪魔が言った。


「あの、?」

「ちょっと待って。今心の中で天使と悪魔が戦ってるから」


 一旦気持ちを整理しよう。

 正直に話せば手を出してみたい。

 しかし手を出したらアウトだ。

(欲望に忠実になろうぜ)

(いいえ。欲望をコントロールしないのは猿も同然です。抑えなさい)

 ええい!

 何で俺の心には天使と悪魔がいるんだ!悪魔だけでよかったのに。

(そう思うなら手を出せよ)

 なんか悪魔が呆れてる。天使が悲しんでいる。


「ふふ!」


 するとルルちゃんが笑い出した。ルルちゃんの笑顔は初めてみた。


「面白い方ですね。ここまで悩まれるとは思いもしませんでした。あ」


 そう言って、口に手を当てる。しまったと言った様子だ。

 そんなルルちゃんに笑いかける。


「良いよ。むしろそっちの方が気が楽だから。暇だから一緒に話そう」

「はい!」


 ルルちゃんはそう安堵したように答えてくれた。

ヒロインズがまた空気になりました。

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