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上級スライムにとって、脅威は神ぐらいなものである。
たかだか、神の使い、それが例え最上位であったとしても所詮は神の使いとして上級スライムは考えを終わらせる。
無意味だからだ。全ての種にとって考える時間はこと戦いにおいて酷く不要で、無意味である。
この無意味に上級スライムは敏感に反応を示すのである。
スライムとは本来考えず、その生き方に依存する生物である。
上級スライムは熾天使の方を見た。
そしてゆっくりと隣の男の方を見る。
神の使い、いや神の後継者。この男を相手にすることは無意味である。
それは、完全なる意味で殺すことができないからである。
それは神の後継者として。
それは神に愛された存在として。
それは神として。
男を殺したとしても、元に戻るだけである。
だからこそ、殺す手段が必要となる。
その上級スライム自身に殺す手段はない。しかしさらに上位になれば殺す手段がある。
だから、今、上級スライムが行うべきことは、少しでも多く人間を殺し、そして神殿を破壊することである。
そう。
そもそもその男に殺されること自体はすでに考え終わらせていた。
その殺されるまでに、何をするかである。
上級スライムは体を引きずり、ゆっくりと進行を開始する。
「魔力?」
男が呟いた。
「お前には無限の魔力があるのだろう?」
「そうだけども」
「ならば、私に魔力を渡してくれ」
「どうやって?」
「手を差し出せ」
男が渋々と言った様子で熾天使に手を差し出した。それに上級スライムは反応を見せる。
危険だ。
魔力残量が現時点では上級スライムの方が多く。故に上級スライムは熾天使に負けることはなかった。
だが、仮に熾天使に魔力が渡れば、上級スライムは熾天使に負ける可能性が出てくる。
ならば、熾天使だけでも殺すべきだ。
上級スライムはそう判断した。
上級スライムは熾天使に進行を向けた。
そして。
巨大な体にモノを言わせた体当たり。そして酸による消滅。それを狙うが、熾天使と男が何処かへと消える形で避けられる。
巨大な魔方陣がこちらへ向けられる。
それに注ぎ込まれる魔力がその魔法の危険性を物語っている。
刹那。
この上ない殺意と悪意に満ち溢れた魔法が解き放たれた。
それに対して上級スライムはあえて直撃を選んだ。体を貫通する光の矢。それが体の至る箇所を消滅させていく。
転移魔法を使えば上級スライムはすぐにでも神殿の破壊を行うことが出来た。
それをしなかったのは残りの魔力による点が大きい。上級スライムの体全ての転移には多くの魔力が必要なのである。
だからこそ、体が小さくなれば。転移魔法に使う魔力は極端に減る。
そこまでしてするべきことなのか。
それは上級スライムの最後の意地に近いものであった。
しかし。
「チェックメイトだ。スライム」
その男は転移先の上級スライムの前にいた。
向けられる手。
それが何を意味するのか。
久々に上級スライムは考えを巡らせた。




