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全ての人間。
全てのスライム。
種関係なく、誰もが空を見ていた。
人間はその光景に喜びを。
スライムはその光景に恐怖を。
天使を覆う翼がゆっくりと開かれる。本来熾天使は人間の前で顔と体を見せてはいけない。だからこそ六枚ある翼の内二つを使い顔を隠し、二つを使い体を隠す。そして残りの二つを使い熾天使は空を飛ぶ。
しかし、それは今言っていられる状況ではない。熾天使は武器を構えた。
込められる魔法が槍を輝かし。
それは光の矢となって降り注いだ。
「我が神のために」
それはスライムのみを殺す力。
多くを占める下級スライム、そして少しの中級スライムをただ一方的に射抜き、殺す。
天から降り注ぐ希望の矢。
それを上級スライムはさも気にした様子なく、進行を始めた。
同胞を殺されて怒りを覚えるのは人間だけではない。スライムも同様である。
熾天使は上級スライムに対して、数百を超える矢を向けた。
が、それらは上級スライムの体を貫通する間にどこかへと消えていく。
天使はスライムと悪魔に対して絶対的な魔法の力を持つ。
悪魔はスライムと天使に対して絶対的な魔法の力を持つ。
それはスライムも同じ。
全ての種を殺すために生まれたスライムが本来負けることはあり得ないのだ。
「魔法か」
下級と中級、その違いは同胞を新しく生み出せるか否かである。同胞を新しく生み出すためには一定の大きさが必要となり、中級スライムは下級よりも大きい個体が多い。ここが分かりやすい点である。
対して、中級と上級の違いは見た目には分かりにくい。それはこの二つの違いが魔法が使えるか否かだからである。
真っ白な魔方陣が上級スライムの前方に組み込まれ始めた。
刹那、熾天使が使った魔法と同じ光の矢が熾天使に向かう。
熾天使は避けない。
いや避けることが出来なかった。
それは熾天使の翼を貫通した。
説明をしたいときに三人称を使ってます。




