7-4
鐘の音が鳴り響く。
それは程なくして終わる。
次の瞬間。
街の人々が恐怖に慄き、逃げ始めた。
なんだ。
何が起きたんだ?
意味がわからんぞ。
俺の隣でレナちゃんも震え始める。俺の服の裾を引っ張る。
「なあ、レナちゃん。この鐘の音は何?」
「スライムが街を襲う時に鳴る音」
「スライムが?スライムは街を襲うのか?」
「極たまに。神様の加護の途切れた一瞬の合間に。でも、こんな日に」
こんな日に起こるはずがない。
俺もそう思う。
でも、少し考えると、これが神様の仕業だとすぐに思う。
無理にでも、神様の後継者として育てるつもりだ。あの神様は。
「とにかく逃げよう。街の人々はどこに逃げているんだ?」
「神殿」
「神殿に逃げたら救われるのか?」
「ううん。神様に祈り、そしてスライムが街を襲うのが終わるのをただ待つだけ」
「うん?」
どういうことだ。
「スライムが街を襲い始めたら、もう私たち人間は助からない。だから祈るしかないの」
祈ることしかできない。
そういうことか。
「なら街の外に」
「逃げても」
無理か。
逃げる街の人々。
その先は皆同じで、その反対から少しずつスライムの姿が見えてくる。
「よし!レナちゃん」
「ん?」
「俺がこのスライムたちを蹴散らそう」
レナちゃんが不思議そうな表情をする。
一匹のスライムが俺たちに気づく。
レナちゃんが俺の後ろに隠れる。
瞬間。
俺は魔法を唱えた。
魔方陣を思い描く。無限の魔力を持ってすれば、スライムなど敵ではない。
火と風を融合した魔法。
その魔法がスライムの体内で爆発する。飛び散ったスライムの破片は風の魔法ではじきかえす。
その光景にレナちゃんはただただ驚いた表情をした。
「レナちゃんを守ろう。この命に代えて」




