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2日が経った。
気づけば2日だ。
なんて長く退屈な日だっただろうか。
天界とかいう割に、天使がいるわけでもなく、水と自然豊かな楽園というわけでもなく。
小さな建物が三つほど。周りは空。
良い加減、お腹が空きました。
能力を使おうと試した回数は数知れず。
使えた回数はゼロ。
お腹が空いて力が出ない。
「神様〜。お願いです。何でもしますから、何か飯をください」
とお願いしてみるも返答なし。
あのぐうたら神様め。本当に寝ているみたいだ。
くそ!
どうしたら良い⁉︎
このままじゃ、餓死しちまう。凍死の次は餓死とか、笑えない冗談だ。
とにかく一旦落ち着こう。
まず、大事なのは能力を使い、飯を出すこと。これが最重要項目だ。女なんかどうでも良い。
能力を使うには何が必要だ?
心の中で飯よ、出ろ〜なんて願っても出るわけじゃない。
何だ?
イメージが足りないのか?
そう思って、俺は大好きな料理をイメージする。
もやしと玉ねぎを炒めた簡単野菜炒め肉抜き。最高の料理だ。もやしと玉ねぎはどんなふうに食っても旨いものだ。
「うおおおおおお!」
気合いを入れて叫ぶ。
とにかく叫べ!
叫べば世の中何とかなるものだとどこかの誰か偉い人は言っていた。言ってないか。
そんなことはどうでも良い。
イメージしろ!
目の前にもやしと玉ねぎをイメージしろ!
質感を思い出せ!
匂いを思い出せ!
うおおおおおおお!
ポンッ。
と、何かが目の前に現れた。
ヒラリヒラリと落ちるそれ。
一言で言うと、もやしと玉ねぎの写真だった。
え?写真?
神様、それはないでしょう?
その後、俺はさらに2日を費やし、見事、もやしと玉ねぎを作り出すことに成功した。
コツを掴んだからか、他の食材もどんどん生成できる。まるで、錬金術の様に。
料理として完成したものを望めばそれが手に入る。
俺はついに、もやしと玉ねぎを食うことが出来た。
テッテレー!
無から有を生み出す力を手に入れた。
ここまで長かった。