6-1 フィナの愚痴
「可笑しいです」
私は呟きました。
未だに忘れないでいました。あの方のことを。
気づけば3日が経ち、私は手始めにこの街を、次に隣町と至る所で彼を探しましたが結局見つかりませんでした。
日に日に彼に対する気持ちが増すばかり。それと同時に悲しい気持ちが溢れていきます。恋心とはこれほど面倒なものだとは思いもしませんでした。
「お嬢様、もう彼のことは忘れましょう」
「どうしてあなたは彼がどこかに行くのを止めなかったのよ」
「私はまだ反対です」
シンシアは頑固として彼のことを認めようとしません。どうしてでしょうか?あの方のどこに不満があるのでしょう。
「そう言えば、彼は自身のこと神様とか言ってましたね。もしかしたら、本当に神様だったのかも」
彼との最初の出会いを思い出して、私はふと思います。
「そう言えば、まだルルの街で探していませんでしたね」
「ルルの街ですか?」
「あの街には昔から太陽の神へ生贄を捧げる神殿がありましたよね?もしかしたら、あの街にいるのかもしれません」
「あの男は自身を神と名乗ったからルルの街にいるは安易すぎます」
「でも、可能性はあります」
私はそう言って立ち上がります。
そうです!ルルの街に彼はいるに違いありません。
「シンシア。すぐに準備を始めましょう。今すぐルルの街に向かいますよ」
「わかりました。お嬢様」
シンシアはこういう時はしっかりということを聞いてくれます。
嫌いな彼を探すのも全力でしてくれます。本当はもう一度会って、言いそびれたお礼を言いたいのかもしれません。
「お嬢様、また迷子にならないでくださいよ」
「わかってます」
シンシアはまだ私のあの失敗を引っ張ります。
まあ、あれは私が悪いのですが。




