5-1
フィナさん、シンシアさんとはちょっとお別れ。
俺はフィナさんと出会うことが怖くなった。
まあ、なんでかって?
シンシアさんは状況が理解出来ず、心が無に近かったが、もしもフィナさんの心を読んでしまったら。
いや、読まなければ良いだけだ。それぐらいの操作はできる。
でも、もしも見てしまったら。
どうなるのだろう。
尊敬?憧れ?好意?嫌悪?
どれにしても、フィナさんへの感情が変わってしまう。
だから俺は会わないことにした。
だから俺はフィナさんをシンシアさんに任せて出て行った。これが最善。
で、どうしよう?
「何をすれば良いんだ?」
相手の記憶もみることができる力だ。乱用は避けたい。
「金は無いし、いやでも」
作れるか?
作ってどうする?街のどこかの宿に泊まる?
ふーむ、どうしたものか。
静かに一歩ずつ、俺は街を歩く。少しでも、フィナさんの建物から遠く離れるために。
「というか、俺」
人殺したよな。
当たり前のように殺したよな。
気分が高揚していたからだけども、殺さないと決めて起きながら簡単に破った。
ははは。
どうしよう。
心にだいぶ来てる。
「久々に神様に会いたい気分だ」
そう呟いて、ふと体に違和感を覚えた。
足がうまく動かない。
どうして?
どうしたの俺の足。
気づけば、俺は倒れてしまった。
「…………大丈夫、ですか?」
知らない女性の声が聞こえた。




