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4-5

「へい、そこのあなた」

「黙れ。お前はただの人質だ」

「いや、俺にその価値はないからさ。それでつかぬ事をお聞きしますが、あなたは魔法が使えますか?」


ボスは人質の男の発言に怒りを見せた。

何より、何故恐怖を見せないのか、それが不思議で仕方なかった。

その質問に答えず、部下たちがあの女を殺すことを待つ。

はずだった。


「なるほど、これが魔法か。やっとで魔法がわかったぞ。なるほど、魔法が使える人間はこの世界に少ないのか。魔法が使える者と使えないな者はだいぶ差があると」


瞬間、ボスの体に大きな風穴が空いた。


一つの疑問があった。

無から有を作る力は、目の前に壁がある状態で、巨大な物を作った時どうなるのか。

それの答えは何も起きないだった。

無から有を作る力はあくまで無から有を作るだけ。有を無に出来ないため、何も起きないのだ。

だからこそ、一定の空間を必要とする。

仮にそれが出来れば、風穴を空ける事は容易だった。

それが出来ないから、だからこそ、人対人で勝つ自信がなかった。

でも今は違う。

倒れたボスの腕から出ると、男は周りを見て。


「魔法って便利だな。理解すれば、なんでもできる気がする。というか、シンシアさんが優秀だった。シンシアさんの知識量が素晴らしい」

「…………何が起きて」


男の一人が理解できず、呟く。

魔法が使えても、体に風穴を開けることがどれほど難しいことか。

この結果は、男が無から魔力を無限に作れるからこそ出来たに他ない。


三人の男は、相手を変えた。

今殺すべき相手が分かったからだ。

だからこそ、死ぬのは定めだった。

三人の遺体が床に転がると、男はシンシアの元へ近づいた。


「やあ、シンシアさん」

「お前、何をして?」

「魔法を使った」


魔法とは、魔方陣と魔力が組み合わさった結果として 生まれるものである。

決して、魔方陣を介さずに使うことは出来ないはずなのだ。

それなのに、何故男が魔方陣なく魔法を使ったのか。それが理解出来なかった。


「少なくともお嬢様は、幻覚を見ていたわけでは無かったのか」

「俺への評価改めた?」

「ああ」


そう言うと、男は笑った。

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