4-4
シンシアは特別だった。
魔法なく、誰にも負けない強さがあった。弱いスライムの一匹や二匹なら、同時に相手しても問題なかった。もちろん、あくまで弱いスライムまでであり、その次となるとそうはいかないが。
その強さは、おそらくこの街に勝てる人間はいない程。
だから、負けない自信があった。
シンシアは顔をしかめた。
一体何人殺せば良いのか。
殺しても殺しても、出てくる団員。
良い加減疲れが溜まり。
「くっ!」
そして、たまに出てくる、他の団員とは違う男たち。
明らかにただの雑魚と違う。大広間でシンシアは三人同時に相手にすることになる。
「すごいな、この女」
「俺たち三人を相手にして」
「気をぬくなお前ら」
シンシアが飛ぶ。
細い剣を男に突き刺そうとするが、寸前の所で回避される。その隙を二人の男が攻撃をしてくる。
それを空に飛び回避した。
回転するように、シンシアは一人の男を斬った。よろめく男。他の男たちはまた武器を構え、次の攻撃を始める。
空中で回避は出来ない。
鈍い音が響く。
「くっ!」
遠くへ飛ばされたシンシアはすぐに起き上がる。すぐ目の前へ迫っていた男たちの攻撃を回避し、距離を取った。
何より厄介なのは、連携だった。
そして、死を恐れぬ心。
少しずつ敗北の目が現れ、そして死を考え始める。それが決定的になったのは、その直後。
「お前たち、まだ倒せないのか?」
一人の男が大広間に入ってきた。
その男の肩にあの男の姿があったからだ。
「シンシアさん。申し訳ない。捕まりやした」
軽い声で、あの男が謝ってくる。
「期待はしてなかった。でも、そこまで弱いとは。お嬢様は幻覚を見ていたようだ」
シンシアは剣を構えた。
死を覚悟した。
それでも、抵抗なく死ぬつもりはない。せめて最後に、一人でも多く殺して。
そう思った時、あの男が小さく呟いた。
「なるほど、これが魔法か」
現時点で6-4まで書き終わっています。
リヴァイアサンの方に力を入れすぎたのか、全然進んでないです。
次でフィナ、シンシア編が終わります。そして長いレナ(新しいヒロイン)編に突入します。




