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要約すると。
もう神様疲れた。どこかにちょうど良い人間いないかな。ああ、違う世界の神様、こんにちは。え?そっちの世界で死んだ人間をこっちの世界に送る?仕方がないな。私とあなたの仲じゃない。別に良いよ。
その人間が俺でした。
以上。
「つまり、俺は神様に選ばれたのか?」
神様に聞くと神様は頷いて。
「まあ、そう捉えても良いと思うよ」
と言った。
なるほど。つまり俺は選ばれた人間というわけか。あるいは、幸運の男。
どちらにしろ、俺は神様になれるということになる。神様に?あの神様に?
「やったぜ!」
神様に選ばれたということは、楽しい楽しい神様ライフが待っているということ。
沢山の美女とあんなことや、そんなこともできるはず。何せ神様だからな。
「それは残念ながら出来ないわね」
「何だって」
「だって、私がそれを許さないから」
私がそれを許さないから、頂きました。
聞き方によっては俺の事が好きな美女が俺を誰にも取られたくないように言っているみたい。
良いと思う。素晴らしい。
「いや、そういう意味じゃないのだけれども」
神様の忠告。
知ってた。
というよりも。
「良い加減、俺の心の声を聞かないでくれ。てか、神様はそんなこと出来るんだな」
「神様だからね。あなたが思っている以上に何でも出来るよ」
「つまり、後継者になる俺も同様の事が出来るのか?」
「それは分からないわね。鍛錬あるのみよ」
鍛錬?
え?何?努力が必要なのか?
俺、努力嫌いだぞ。だてにF欄の大学に入学していないぞ。
「神様になるのは大変なのよ。私も苦しんだのだから、あなたも苦しみなさい」
「はあ」
日本らしい、苦しみを代々伝えるとはこれいかに。何でも出来るなら、パッと能力を渡せそうだけども、出来ないのか?
「出来ないわね」
「だからさらっと心の声に応えないでくれ。ちなみにだが、あんたが俺にかけた呪いを解くことは?」
「呪い?美女に手が出せないこと?それも出来ないわね。だって、あなたが持っている力は元々は私のものだったわけだから」
「つまり、俺よりも神様の力の方が強いと」
「平たく言うとそうね」
何だそれ。
じゃあ、何か。俺は神様にも手が出せないのか?
神様の力を使って、その力をくれた神様をあんなことやそんなことするのも良いと思った自分がいたのに。
「あなた、そんなことを考えていたの?」
神様が恐怖でか身震いをする。
いけない、いけない。こんなことを妄想したらダメだ。もっと紳士に行こう。
「遅いけどもね。それと、神様の力は既に授けているわ。あとは頑張りなさい。私は眠るから」
「眠る?ちょっと待て。まだ色々と確認したいことがあるのだが」
その言葉虚しく、神様は気づいたらいなかった。
こうして、俺の神様ライフが始まった。
ねえ。
神様は何をするのか教えてもらってないのだけれども?
あと、力の使い方も?
ねえ、神様。
都合よく、心の声を読むのを止めないで!