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能力について考えてみよう。
なんとなく、魔法が使えるか試して見たが、できなかった。
今出来ることは、食や服を生成すること。電子物は不可。魔法も不可。
ふむ、神様の言葉からだと、電子物や魔法も生成できると思う。でも出来ないのは構造を理解していないからではない気がしてきた。
神様は言った。鍛錬をすると、と。
鍛錬はどういう意味で使ったんだ?鍛錬は何をする事なんだ?
考えろ、俺!
「どうかなさったのですか?難しい顔をしています」
カロの街へ向かう俺とフィナさん。
フィナさんにそんな事を言われる。
「考え事をしてました。申し訳ないです」
「考え事ですか?もしよろしければ、相談相手になりましょうか?」
だったら、ご好意に甘えよう。
魔法の構造について聞こう。鍛錬の意味の理解よりも先に使えるようになる方が先だ。
と考えて。
よくよく考えると、服を作った力が魔法じゃないと言ってのと変わらない。
危ない危ない。
そこを突かれたら答えられない。
「危険なモンスターってどんなのですか?」
「危険なモンスターですか?基本モンスターはどれも危険です。ですが、しいてあげるなら」
フィナさんはそう言いかけて、口を閉じた。
そして、俺の裾を引っ張る。
どうしたのだろう?
指を道の先へ向ける。
それを一言で言うとスライムだった。
俺が培った無駄な知識の中から探すと、スライムが一番近い。見た目はうにょうにょと動く青い液体。可愛くない。むしろめちゃくちゃ気持ち悪い。
フィナさんが俺を引っ張る力が強くなり、草むらの陰へ連れて行かれる。そして息を潜めて、スライムが通りすぎるのを待つみたいだ。
女性と二人きりで草むらの中。
良いと思います。
何よりフィナさんに裾を引っ張られる時とか、まるで恋人のようで。しかも草むらの中は密着してるから、柔らかい感触が。トドメをさすように良い香りも。
素晴らしい。役得ですな。はっはっはっ。
まあ、そんなことはどうでもよく。
スライムが俺たちの前をのそのそと通っていく。
近くで見ると、目や口がないことに気づく。液体の中に脳のような物体が見える。
五感はあるのか?
でも無かったら、隠れないだろうし。そもそも五感がない生物は、生物として不完全すぎるし。
でも、五感の中のいくつかはないはありえるから。
「行きましたね」
フィナは安心したように呟く。本当に怖かったみたいだ。
はっ⁉︎
吊り橋効果が狙えるのでは⁉︎
じゃなくて。
「あれは」
「あれはスライムです。この地上を支配するモンスターです」
なん、だと。
スライムは最弱モンスター筆頭じゃないのか?この世界はスライムがドラゴンに勝つのか?何それすごい。
「行きましょう。日が暮れる前に」
「そうだね」
そう会話をした矢先。
目の前にスライムが現れた。
あれ、何このデジャブ感。