序章~其処までに至る回想~4
うあ。はれ、ここは、ああ。そうだった、思い出してたん、・・
あれ、何か記憶が、欠落、してる、よね。なんでだろ。
うーん。
まあ、思い出せない、ものに時間を掛け、ても無駄だし、続きを 、始めよう、かな。
えと、そうだ。うん。そうか。
で、港を出てから少しすると三隻の船に囲まれました。
警戒する必要はありませんでしたけど。
だって、島内警備員が僕達を護衛と称して属島まで付いてきたんだから。
どうして島内警備なのに船を所有しているのかの疑問は誰でも思うでしょう。
なので、後々聞いたところによると、
『あれは緊急事態に備えた一つだよ。それはね、いくら島内警備と言っても緊急事態にそんな事を言っていたら動きようもないからね、だからその時のためにああいう物が必要になってくるんだよ。』
あまり理解は出来なかった。
そんなに信用できなかったのかな。
そういえば、これまで、僕達は属島に入っていますけど、あの人達は入島してないですね。どうしてだろう。
まあ、その内聞いてみようかな。覚えていたらだけど。
そうだ。この時正確には属島ではなくて検問専用の島に滞在を余儀なくされたんでした。
ああ。それで何故か敵意が漲る視線を浴びていましたね。どうしてだろう。
これは詰所やその島に入ってからずっとでした。
今でもその理由は分かりませんけど。
「ほっほう。なんだ。全方から敵意剥き出しとはな。少しは隠すとか、ああ。出来ないのか」
「矛先は云わずもがな。ですかね。』
その真意を深く考えずに何も思わずにいたんでしたかね。
この辺りは自分で記憶補填していますから正確性は欠けますけどね。
「で、我々の宿泊場所は何処なのでしょうか。」
「きへ、きへへへへ。そう、だねえ。我らを一ヶ所に留める事は出来ないねえ。」
案の定、僕達はそれぞれ別々の宿泊場所を充てがわれました。
それでも結局は1つの施設に集まってましたけど。
その日は、疲れは有りませんでしたけど翌日からの事を考えて出来るだけ早く眠ることに全員が一致して、充てがわれた施設へと向かいました。
何であの状況で平然としてられたのかな。
変だと思うのが普通なんだろうけど、誰も気にしませんでした。
それで充てがわれた施設の更に与えられた部屋は個室でした。
監視と言って見知らぬ人と同部屋になるんじゃないかな。とか思っていましたから正直な感想は拍子抜けしてました。
現状やり過ぎな感もありましたけどまあ、仕方無いですね。
充てがわれた部屋の鍵は特注らしく。それでいて簡単には破れないように施されていました。
そうして僕は部屋の鍵を掛けてからベッドに死んだように眠りに就きました。
そうして。
そう、です。
そうして夢か現実か曖昧な状態で耳に意識に届く音。
音は僕の夢に影響を与え、夢の内容が変わっていく。
僕は気にせずそのまま眠りに就こうとしたんだけど。
結局は、建物を揺らす振動に夢から引き戻され、目を覚ますと廊下から慌ただしい足音や声が聴こえてきました。
半分夢の中なので足取りも危なかったと思います。
それで、扉を開けると在ったはずの壁や窓は無くなっていて、燃え盛る森林と逃げ惑う人達。
「ああ。あれですか。夢、と、思いたいですけど。違いますよねえ。」
と独り言を呟いていると逃げていた人の中で僕の前で派手にを転んだ少女が。
逃げていて足元を見ている暇もない大人達の足蹴にされていく少女を見ながら僕は溜め息をしてから、無視してそのまま部屋に戻りました。
取り合えず、荷物を持って扉に机や椅子を置いて、窓を壊して外に出ました。
僕に用意された部屋は二階で、屋根伝いに慎重に且つ急いで隅に向かいました。
屋根から見える光景は地獄の様相を呈していて、そこかしこに倒れている人。
それでも全員の息はあって、僕は屋根から荷物を落とすと同時に自分も飛び降りて着地。その足で皆さんと合流しました。
先に言っておくと騒動がありました。この時起こっている騒動とは別にですけど。
難なく皆さんと合流して元船長の指示を仰ぎました。
僕だけの力じゃ何も出来ないと解っていたから大人である皆さんの力を頼ったのです。
まあ、本当にこの選択は当たっていました。的確な指示で軽傷者を集めて幾つかの班に分けて島内の重傷者から比較的壊されていない建物に収容しました。
それは短時間で終わりました。
「で襲撃者は」
「どうも混乱に乗じて紛れたようで」
「ひいひひひひ。管理データも細工されていて現在の人数と一致したよう。」
「それとだ。現在常時している警備員にも可笑しな点はなかったぞ。」
「だそうで、これからどうしますか君。無理に出ると門前払いされるのは目に見えていますし。」
そう、この状況で属島に向かえば門前払い。下手すればその場で死体が5つつ。
海の藻屑に成り果てるでしょう。
「で、どうしますか。元主よ。この状況は非常にして異常ですよ。打開策は有りますか。」
「んん。有るけど無いですね今は。先に重傷者から出来るだけ応急処置していって。まあ、全部が終わった時にでも改めて」
「ほう。で、誰が」
「任せましたよ黒眼鏡のお兄さん」
「ふふ、何故私なのかを聞いても」
「必要ないでしょ。」
爽やかに涼やかな笑顔で返答しました。
黒眼鏡のお兄さん、後に先生は小さく笑ってから側に置いていたトランクを持って重傷者を収容していた一画へと行きました。
「で、ボウズ結局誰なんだいあの兄さんは。」
「さあ、僕も知らないんですけど。何かな。僕の何処かであの人は信用しても良いと訴えてます。」
「君、それは勘、のようなものかな」
「そうです、ね。でも言えるのはあの人は僕達の妨害を何時でも出来たのにしなかった。ならば、信用を勝ち取った後で嵌めるとかもあり得ますけど、それならもっと上手に立ち回りますよ多分。あの紹介状も元船長が証明してくれましたよね。」
「くく。ちげえねえ。」
それでこの話はおわりました。
まあこの時、重傷者区画では凄惨な絶叫が建物内に響いていましたけど。
悲鳴や苦痛を伴う絶叫が室内を突き破って廊下まで響いていたのは、仕方ないことですかね。
一応の応急処置を終えた黒眼鏡のお兄さんは、全身に夥しい返り血を浴びていました。
それでも表情は不気味なほどに穏やかでした。
一応、うん。警戒するために交代で番をしました。
でもですね、事は簡単に起こりました。
次の日の事でした。
僕が目を覚まして軽く伸びをしてから建物から出ると、周囲を囲む殺意滾る人や獣が正気を失った瞳でその手に獲物を持って構えていました。
「あ、ああ。うん。はあ。やれやれ。休まりませんねえ。」
「それは、主に心が、ですか。元主。」
そうだ。独り言に返答されて、少し驚いて振り返ると三人が戦闘態勢に入っていましたっけ。
ははは。ものの、短時間でその場を鎮圧して、それで、
「で、判りましたか。」
「滞りなく。完了している。」
「無茶をさせるのも程々にしてほしのだが。」
「だが、これも契約の内だろうが。諦めな」
「きへ、ひへ、きへへへ。大元と統べられた者共は把握済みだ。何時でも行ける。」
そうして朝陽が水平線の向こうから昇りかけたとき僕達は、その島、この時は属島ではありませんでしたけど、世界中に建造された島等、内情の一端を垣間見ることになったのです。
汚れも目立たず、息も切らせず僕達は少し高くなった太陽光を背に浴びながら沿岸に立っていました。
まあ、その足下には僕達を襲った人、獣が地に伏していました。
その光景は、死屍累々。
と言った感じでしょうか。
客観的に見ても大量殺人と云われても反論できないでしょうね普通は。
衣服を正して埃を払い端末を出して何時もの所に連絡を入れて空を見上げました。
自然と溜め息が漏れて、残りが無いかを確認した後に移動しました。
現状、あの人達は操られていたに過ぎず、大元を潰さなければ疲弊して僕達が潰されるのは目に見えていました。
なので、対処している合間合間に五人とも其々の異なる方法で探索していました。
この結果、ある一点で一致して、僕達は向かいました。
聳え立つ断崖。突き立つ幹の太い木々が拒むように乱立していました。
あの島での事後処理は島員に全て押し付けてから埠頭に停泊させていた船とは別の船に乗り込んで主犯の隠れ家に向かいました。
それが、自然島。
この世界が時間を掛けて造り出した本物の島。
世界府庁が公表した自然島分布図には確かに、この辺りに存在していることを知っている人もいますが、大多数がそれを知らないのです。
正確には知ったところでどうにもならないと理解していました。
その理由が、人工島に住んでいる人は基本的には島外に出る事もなく、本島に居る人も特殊な事が無い限り現在の海に出ることはありません。
なのでこの公表は時間も経たずに記憶から消えていきました。
話が反れました。
えと、僕達が乗った船はあの島に常備されていた一隻で見つけた地図の位置は当初、何もない海。
そのあと調べて前述のようなことを知りました。
それで操舵を元船長に任せて出発。時間にして五分も無かったと思いますが、例のごとく、襲撃がありました。
全員を熨して何時ものように隅に放置してからその島の断崖へと近づきました。
油断しているのかわざとなのか、この時は知りませんでしたけど僕達はその崖を登り、島に侵入しました。
妨害もなく簡単に島の内側に辿り着いて周囲を確認しましたけど人の気配は無く、当たりを付けた所まで移動となりました。
最初の目的地点に到着しても反応は有りませんでした。けど、この時には罠に掛かっていたらしいのです。
僕達は周囲に気を張りながら次の地点へと移動しました。
そこには変な形の岩が鎮座していたので取り合えず邪魔と思って粉砕しました。
後で罵られました。何故か僕だけが。
岩の、もうこの時は小石ほどの大きさしか無かったと思うけど。
先へ進んでいくと水溜まりが点々とした荒れ地に出ました。
ここも、問答無用で壊して先へと進み、例えようもなく拭いさる事もできない空気がその場を支配していました。
それを完全に無視して壊したんですけど。
それからは、目につく物、邪魔な物を手当たり次第に壊していきました。
そうやって繰り返してかなりの時間が経っていたと思いますが、どうなんでしょうねえ。
多分、最後の罠か仕掛けだろう機械仕掛けの不可思議な物体を修復も、修理も出来ないように粉微塵にして僕達は偽装された建物の内部へと入りました。
ある程度の広さは確保されていたらしく。それでも所々自然的な箇所が見受けられました、まあ、大部分は人工的に加工されていましたけどね。
それで、僕達は手当たり次第に、目についた部分を全て壊しながら進んでいって最奥まで辿り着きました。
実際のところ一人を除いてある罠に掛かっていました。
この時は、着いた場所は裳抜けの空で、気配らしい気配は感じませんでした。
僕は迷うことなく物色して、手懸かりになる物が無いかを探したんですけど見つからず。なのでその場所も徹底的に破壊していきました。
無論、修復不能になるまで。
僕以外は完全に憂さ晴らしにしか見えませんでしたけど。
「で、これからどうします。何も手懸かりが無いのであれば無駄足になりますが」
「ふむ。これだけやれば何か反応が有るものと思ったのですが、意外に出ないものですね。」
「きゅひへはは。それはそれで面白い。」
「で、どうするボウズ。」
「取り合えず、ですけど」
皆さんの視線が僕に向けられました。
「寝ましょうか。」
「そうだな。」
「同意します」
「きへへへへ。異議無し」
「それじゃあ、適当に寝るか。」
この時、皆さんの本気の寝息が聞こえていました。
本当に疲れていましたし、島でもろくに眠れずあの島まで来ましたから。
だから、油断してくれました。
『あはははは。こうも簡単に眠るなんて少しは警戒するものなのに』
『それを言ったら自分達も最初はそうだったじゃない』
『う、うるさい。良いの過去は過去。今を生きるアタシ達には忘れ去った事象よ。気にしない気にしない』
『何か言葉の使い処間違っている気もするけど』
『まあ、後で説教は聞くから、さ。こいつらを踏ん縛って使えるものは頂戴しましょ』
瞬時に切り替えて僕達を縛っていく。
手際が良いな。と正直感心してしまいました。
慣れてるんだろうとも思いましたけど。
で、僕達をまさぐって、端末を取られました。
『で、どうするこいつら。』
『何時ものようにあの人に任せて私らは退散しましょ。目的の物は手に入ったし。』
『それもそうね。でも、』
『なに、』
『全然金目のモンを持ってなかったわね。情報じゃ相当金になる。とか聴いていたのに。ガッカリだわ』
『まあ、でも、この装置も特殊な品みたいだから高くは売れるわよ』
『ううん。でもなあ』
『なに。未練は即断しないと尾を引くわよ』
『判ってるわよ。ううん。よし、しゃーない。行こ』
『そうね、じゃあ、行きましょう』
気配が遠ざかっていき、長く短い静寂の後、複数の気配が僕達を取り囲んで浮遊感を伴うと何処かへと連れていかれました。
なんか、丁重に卸されたのが一人で、あとはかなり雑に卸されてました。
それで、
『は、もう良いですよばれてますから。』
その言葉に素直に従って瞼を開けたら見たこともない、知らない怪しげな風貌の人達が僕の前に整列してました。
『始めましてと云うべきかな。』
誰が言っているのかは検討もつかず、なので
「うえ、誰ですかあなた方は。ここは何処ですか。何で僕がこんなところに居るんですか。」
困惑したように状況を確認してみました。でも、
『無駄です。何故なら君の事は調べ尽くしてますから。その表現も心底からの言葉ではない。そうでしょう。総主。』
『そうだな。が、今はどうでもいい。何故我らの邪魔をするのかの理由をお聞きしたい。その返答如何によってはやむなしだ。』
『だ、そうだが、どうする。素直に答えた方が身のためだと思うがね』
「質問は受け付けないでしょうね」
『此方が質問しているのでね。答える義務はない』
「そうですか」
一息吐いて、僕は全てを素直に答えました。
何でってそれは。
事が終われば呆気ない。僕達の足下には死屍累々が転がっていました。
素直に彼らの質問全てに答えて、最後は何処かに連れていって研究材料にする。とか宣ったので拘束していたロープを力任せに千切ろうと思ったのですが、中々、切れず。四苦八苦していると、四人が拘束していたロープを各自で解いて全員を倒してしまいました。
阿鼻叫喚の地獄絵図、とはいかないまでもかなり酷かったですね。
「さて、あなた方の事に関しての詮索は正直論外なのでする気はありません。ですが、答えて頂きたい。」
ロープを解かれて総主とか云う人に質問しました。
「ガフッ。ぬあにぃおどだ」
「簡単です。情報元と発端を知りたいだけですから。教えてくれるなら以降、僕の仲間として加わってもらいます。悪いようにはしません。誓ってね。」
涼やかな笑顔を向けると毒気を抜かれたかの様に全てを話してくれました。
そうだ。と言ってあることを言ってから僕達はその場を去りました。
目的は僕達から。正確には僕から奪った端末を返して貰うこと。
実は端末は僕だけの物を奪って後の人達からはどうしてか奪わなかった。それは今でも判らない。
それで、この後は適当な場所に止めていた船に乗り込んで僕は眠りました。何せ体力が限界を越えていましたから。
船に乗った瞬間に甲板で倒れて心配したのか皆さんが僕に駆け寄って眠っている事を確認して船室で寝かせてくれてました。
起きると検閲専用の島に戻っていました。
その後は、どうしたかな。
ははは。歳かな。思い出せないや。
はしょりたい。正直省きたい。
でも、思いだそう。
んんん。と、奪われた端末は時間を措かずに取り返しました。
じゃあ奪い返すまでの経緯を。
起き抜けに誰かの端末を借り受けてある操作をしました。
操作をし終え返すと、着ていた服を着替えて軽く準備をして島を出ました。
時間的には昼近くだったかな。
それでも足の速い船を用意してもらって次の目的の場所まで向かったのですが、途中で妨害に逢いました。
その妨害が厄介と云えばそうなんでしょうけど、それでも僕達には。もとい、僕を除いた四人には虫の息も無いに等しい行為だったんだと改めて思い知らされました。
何でこんな人達に僕は勝てたのだろうか。
甚だ疑問が浮かびました。
「それで、君の意見は」
「うん。そうですね。何かに利用できそうですから、このまま連れていきましよう。無理なら管理所にでも引き渡せば良いだけですから。僕は困りませんし、この先、食料事情を考えると大所帯も大変ですから。それでも一応は戦力にはなるでしょうね」
「そうですか。元主。ではその方向でこの者達を説得してみましょう。」
「あ、それてと大きな成果を出した人には報酬を差し上げます。」
嘘は言っていません。
本当に働きに応じて報酬を支払いましたから。
「そうだ、命までは取りません。と初めに言っておきますね。」
相談を終えて拘束した集団に向くと僕は確認をしました。
簡単な話。
その
「お姉さん達の統率者を教えて下さい。あ、先程も言いましたけど命とかではなくて、単純に僕やこの人達を信用していないでしょうから、この先の作戦なんかの伝達やそれ以外をその人に任せようかとおもいまして。素直に答えてくれたら僕は嬉しいですね。」
心から言った言葉からなのか正直にその集団の統率者を教えてくれました。
僕はそれを確認してお馴染みの所に連絡をしてから船を目的の場所。
中楊連士所属91番・通称パエオニヒビス属島シロリネスに着いたのです。
ふう。疲れたかも。