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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
終章
111/111

終章~終~the INFINITE soul

積み上げられた紙。

幾つも積み上げられ、1個の建造物群のようである。

それら全てに空白なく記述された文字列は常人に理解できず、されず。これら全てがたった一人の人間が書き出していったとは誰も思わないし考えられないのだ。

考えられないというより何が記されたのかているのかも解らないのである。正確には読めない。という方が正しいのだろう。

だからこそか。人一人が導きだした式とは思えず誰もが拒絶し忌み嫌うように恐怖した。

人とは不理解領域には踏み出したくない。そう現状を維持するとこを常とする虚しき生物。

だからこそ繁栄してきたのだろう。

だが中には権威ある学者達もそれらを解読しようとしたが最終的に投げ出してしまうという悲しい貴重な体験をする結果となった。

だからかその人。書き記した人物の没後にその資料は全て紛失した。

何者かの手によってか。偶然が重なったのか。

資料は長い間に忘れ去られ知っている存在はなくなっていった。


没後数百年。

世界は転換点へと到達しようとしていた。

世界各地にて起こった災害は星を滅ぼす程の穴をいくつも作り出し、それは同時に人口減少をも引き起こして世界のとある側面での危機は脱したが穴を塞ぐという方法は見つからず。幾年かが無駄に過ぎていった。

それは何の予兆もなく。

消失していた件の資料が日の目を見る機会を得たのだ。

何者かは知らないがそれでもその資料に付随している説明を読み、穴を塞ぐ方法が確立させていったが、論理的な面を考慮し表向きは代替素材を繋ぎとして運用が開始された。

それが現在に至るまでの一時しのぎ。という事を知っているものは現在は皆無。

そして穴を塞いでいるが、何れ亀裂が走り拡大し穴が出現するだろう。

それは予言めいていたが現在は亀裂どころか欠ける事もなく塞がり続けている。

その原因は誰も知らず忘れ消され当たり前として世界は動いていた。


1つ小さな何かが別れて。

そして何かの手によって加えられ記録と記憶から抹消された。


様々な感情知り過去現在の知識を得ながら其々が成長していく。

中には無関心も含みながら。


数日して成長は緩やかに推移し外へ出る準備が整った。

常人の凡そ半分の一般的な知識を備えた常態での排出は、しかし失敗に終わった。原因を調査すると意外な事が判明した。

外気に対して極端に脆弱だと。

設計図面を見直していると幾つかの数値が外気に対して低く設定されていた事に気づいた。

だからといって数値を上げて良いという訳でもなく。

再び図面を見ているとある数値を変えることにしたのだが、なんと余計に失敗してしまった。

それは失敗を重ね、幾度もの命を散らせて数十年。

漸く、成功個体が完成間近。という所で何者かに強奪され、研究所も証拠さえ無くなるほどに消された。

これは秘匿のために一般では知られていない。


さらに途方もない時間が過ぎ去って穴を塞ぐ手立てが確立した。方法は無限に力が涌き出る鉱物を核とした殼燃料。それらは各地に空いた穴を塞ぐために分配され現在は安定して完全に塞ぐ方法を発見されるまでの応急処置として稼働している。


現在より十四年前まで遡る。

それは一つの存在が裏切りと絶望と少しの希望を残して幽閉という形の触媒とされた事件。

『カルファマスの粛清』と呼ばれる連合研究組織壊滅事件である。

1つの核を用いた実験だったが、何時の世であっても倫理に反する輩は出てくるもの。

匿名の情報から極秘の調査を経て本部及び支部全てが粛清の対象とされ記録すら処分された。

過去の再現とも謂わしめた徹底的な蹂躙と強奪。

カルファマスとは成功献体の1つに冠されていた名でありそれを中心として伝播するように組み込まれた電子病原体を抽入し蔓延させ研究者共々処分。

後々にて虚実を混ぜ合わせた囮話が公開された。


その存在は物心ついた頃には自分の中に別の存在を認識していた。

それは長く誰にも相談出来なかったが一番に信頼していた人物に話を打ち明けた。

それが失敗の始まりであり後悔と憎悪と悲哀と憐憫を理解する出来事である。

後に誰かは名付けた。

『感情破棄の触媒実験』と。



これは長く希望を手にして後に世界を破滅へと向かわせる一つの存在が秘密裏に完遂させた1つの物語であろうか。


とある日。それは何かを告げるように始まった。

世界に散らばる緻密構造体。ヴェルメンブルド。通称『穴』は前触れもなく安定していた力が臨界線を一気に越えて蓋を破壊した。

前日には何もなく静かなものだったために油断、していたのか、嫌しかし油断はなかったはずだ。

穴に関しては全ての研究者が緊張の糸を限界まで磨り減らしても足りない程に警戒を怠っていないのだ。

証明するように記録も改竄される事を防ぐよう多重の障壁を設けて年中監視の目を緩めることなく研究と同時進行していたのだ。

だから予兆もなく安定の均衡が崩れる。ということは本来ならあり得ないことであった。だからこそ全てが後手に回ってしまった。

研究者の一人が幾つかの対策を発案したが利権に絡められた上に全てを却下され四面楚歌の様相になっていく。

穴から吹き出る膨大莫大の力は全て枯れ果てるまでもって数日と短く、全てが同時に解放された。という事で過去の出来事と同様に例外なく全ての命が終えていくことを予見したが。不思議な事に不可解に誰も信じる者はいなかった。

利権に絡められたとしても全てが職員がだ。

星の命は消費していく。


手立てもなく迎えた最後の日。

世界完全消滅の日。

どうにかして手懸かりを手にして研究者は原因を突き止め、一人その原因場所へと向かい、到着と同時に理解して膝を折り()()()()()を見てるしかった。


ああ嗤っている。この存在にとっての今が最良だと。

そして遅すぎたと。

これがどの様な感情を元にしていようと星の消滅という世界の破滅が最高の結果なのだろう。そしてまた理解した。全てが仕組まれていた。人々の思考にまで影響させる程の仕組みを構築し、そして実行させ成功させた。ならどうして自分は、自分だけはこれに填まらなかったのだろう。なんで。

ふと嗤っていた子の目線の様な感覚が向いている気がした。


お、気づいたねぇ。

うんうん。どうして填まらないのか。それはね楽しいから。全部が全員、違和感なく過ごすなんて詰まらないだろ。

だから無作為に選んだんだよ。一種の試練的なものかな。でも看破する手立てを見つけられないなんて。沢山ある塵なだけだったね。あ、そろそろ終わるかな。ねえ最後に聞きたいけどさ。どうだった。全てが無駄な徒労として終わる気分は。どれ程の努力も研鑽も繋がりさえも無意味に無価値に無駄だったね。

あれ黙っちゃった。もう言葉も残せない程に絶望したかな。ならばボクの勝ちだね。はは、は。本当に成功するとか。ねえ。本当に何も言葉は出ないのかな。ねえねぇ。


全身から脱力していくことを理解しながら心が沈んでいく。


研究者の瞳に光はなく。心が終わりかけている。


自然と気分が上がっていく。


うんうん。大が幾つあっても足りないくらい満足だよ。

≦ん、なあ。≧

さてさて。終わる瞬間は絶対に高いところから直接見ないとね。

≦なあ。≧

えと。確か。これで昇れるよね。うん、ヨシッ。

≦なあ。てよ。≧

さて設定は終わったし数分したら表に用意した人形へ移れるよね。お、始まるね。

≦なあ聞いてるか。俺の言葉を。てか聞こえてるのか。これ。≧

え。

≦ん。どうした。≧


気づくと研究者。の終わりかけて終わっているはずの瞳に軽い困惑と混乱と強固の内、困惑と混乱は鳴りを潜めるというより消え失せ強固にして強靭な意志が宿り存在を迷うことなく正眼していた。


≦此処が何処かは知らんけど。お前は何だよ。ん。声変わりは過ぎてたよな。なんだ。ん。ん。お、誰かの身体に入ってるか。て、えぇ。まあ、良いかなこの場合は。でだ、なあ何なんだお前とかこの状況とかよ。知ってるなら教えてくれねぇかな。≧

な、なななんだよお前こそ。誰なんだ。今までだって。

≦おいおい、質問は此方がしてるんだが質問をし返すなよ。≧

ふ、ふん。説明する義理はないね。

≦ん。そうかい。なら勝手に理解するよ。さて、そうか。何処かの何かの先か。後は、おぉそうか世界の終焉かよ。なぁるほろなるほろ理解した。なあ聞くけどよ。計画を立てて予定通りにいって楽しかったか。あり得ないくらいに上手く行きすぎだと思うのよな。その辺りを気にしなかったのかね。幾つもの妨害工作があるはずよな。なのに、だ。全ての感情を統一してこの入れ物を例外とした。だのに、統一されるまでには途方もない時間を要するよなぁ。なのに、何も障害障壁害意もないとは甚だ、不可解よな。どう思うよ。一個で全てを完遂なぞ、あり得ないよな。ああ。≧

に、に、にににににいいいぃぃぃ。

≦ふはっそうか。では、おめでとうそして、おめでとうさらに、おめでとう最後に、おめでとう。それで無価値な称賛を贈ろう。≧

にぃぎゃああぁぁぁぁ。


これまで同様以上に成功していた。のに最後の説明できない何かが割って入ってきた。いや混入してきたのか。反論しようとして設定時間で昇ることになり絶叫しかできず。最後に見たのは倒れ消えていく研究者。その顔に何かが着いてるように見えたのは一瞬で。

最後の最後で意味の解らない何かの邪魔で気分の良いものじゃ無かった。

入れ物の目を通して見る星の消滅という解放の宴を見ながらでも心に残る凝り固まりだけが残されて星と共に消えていった。


幾つ目かは解らない夢という現実を経験という体験をして終わった。

でも、しかし、これは。なんでしょうか。はて幾つもの夢を伝って全部が成功して満足しながら消えていく。というのが何時もの至高にして最高の到達点が常。

だのに。何だろう最後に出てきたあの不明能者は。

仕掛けとして贄のように用意した道具はすべてが絶望して命を消していって、そのまま。

それでも今まであんな理解不能な何かが現れるなんてなかったのに。

まさかあの研究者が咄嗟に造り出した人格なのでしょうか。

ふふ。それでも今回の夢も同様に最後には成功しているから満足、するはず。だけど何か嫌だなぁ。でもこれはこれで楽しいから良いとしよう。さてまた。次の夢という現実でも見ようかな。

どんな最後が相応しいのか。


意識を落としていく。現実から精神の先へと。

そうして数えきれない暇潰しという夢を見続ける。世界を破滅させるための計画を実行するための余興であり予行であり準備であっても。

全てが最後は成功で終わり満足している。


次も絶対に完遂するよね。



ひ、ひひひひ。ひはははは。

はひゃひやひやひゃ。

うひっふひひかはがはひ。

ちきゃきやきゃきゃ。

ふぉうほううおおお。

ぎっききききかか、ひひ。

意味のない笑いはよせ。

ういっ。



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