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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
終章
108/111

終章~譲渡~

軽い伸びをして平和の中での朝日を浴びながら噛み締める。

数年間にさ、世界を駆け回っていたような感覚は夢のようでいて現実だと思い知らされた。

何故なら。


世界に溢れる情報は蓄積して消えることはない。それを証明するように連日連夜、同じ事が繰り返し耳目に入ってくる。


内容は世界を巻き込んだとされる事件。

世界極地紛争。

通称『属島(暴落)事件』又は『局地殲滅戦争』。と呼ばれるこの事象は最終的にたった一人の首謀者に対する世界に向けた公開処刑という形で幕を閉じました。ですがその影響は思われている以上に大きく首謀者とされる者の命1つで終れるものではないのが実状です。

と解説者は言っている。続けて。

どうしてか。

その場へ至るまでには数々の尊い命が失われていったのだと。後に公表された資料や裏付けるような画像や動画。それだけではなく、それまで鳴りを潜めていた属島反対派という勢力が台頭してきたことにもこの戦争が一因とされています。

その拡大は止まる事を壊したかのように知留まらず世界へと伝播していったのです。

その影響は世界の勢力図を一部塗り替える程ですこの救ままだと救済という名目の極地戦争が勃発するでしょう。

現状はまだ先の話でありますが。

と締めくくり複数の質問に丁寧に答え、最後は綺麗に纏めて次の話題へと移行していった。


さて世界に様々な影響を与えた謎の集団。唯一の特徴とされるのは全てが仮面を着けており、その首謀者は最後まで仮面を外すことはなかったー残りの幹部と目される者達は忽然と姿を消したとされ行方は現在も進行形で判っていないー。

この事から処刑時に執行されたのは仮面を使ってのすり替えだと言われているがその真相は誰も知らない事。


そうした色々な憶測や陰謀論等々が拡がり始める少し前の話。

件の反対派閥が表へ進出するかどうかの瀬戸際でのせめぎ合いの最中。とは関係ないであろう場所にて。

二人がとある島の端で雑談していた。

二人の間には獸と機械。

話している内容も有っているようで無い。他愛もない話を長々としていた。

「ふぁ話し尽くしたと思うがな、これからどうなるのよ君。」

「さあ、 どうなるのかは、あの二柱が終るまで判らないですね。処遇もどうなるのか。楽しみかと問われたらどうでも良いよそんなもの。と答えるね。そういう貴方はどうするのかな、様々な事柄が完了したら。」

「うん。何がどうなるかはその時かな。まあ命の時間は無いのだけどさ。」

「そうですか、長い時間を生きてきたのは契約したからだし、それが無くなったとするなら道は二つですかね。」

「そうだなぁ、そのまま素直に世界へと別れを告げる。それとも別の器を用意して乗り換える。」

「まあそうなりますかね。」

「もう1つあるけどそれは二つ目と殆ど似たようなものだな。可能であるならだが。」

「ん。可能ですよ。まあ後悔が無いならだけど。」

「それを聞いて少し、安心した。さてとまだ時間が掛かるようだしどうだろう。場所を移さないか。」

「場所の移動は推奨しかねるね。ほらコレを固定してるから簡単に外す事はできない時間が要るね。」

「そうかい、そんじゃ待とう。」

「待とう。と言いますが諦め。はないのですか。」

「ないな。」

「即答ですか。はは仕方なし。」

固定していた物を外していく。

「手伝うか。」

「いえ、全くもっていらないです。」

「ならどれ程掛かるかな。」

「もう終わりましたよ。それじゃ行きますか。」

時間を要するとは何だったのか。

口に出そうとして止めておいた。

機械を仕舞い、二人はその場で大きく飛び姿を消した。

そう()()だけが消した。

風が吹く眠り続ける獣を撫でるように。


桟橋の真ん中で二人が姿を現したら丁度、腐っていたのか接触と同時に桟橋を踏み抜いて落ちて狭間へと入っていった。


着水する前に飛ばされたのは何もない空間。の中で不釣り合いな存在感を放つもの。の側に合っているような簡素な建物。の中にある1つの部屋に二人は立っていて、同時に傾げながら笑った。

意味はない。

笑い合いながら肩を叩きながら1つの理解を得た。

「疲れないね。」

「疲れる気配がない。」

次いでに空腹すらない。

二人は結論を出した。

あれと似たような空間か。

「そうなんだけど。何か懐かしいなぁと。」

「知っているのか。」

「さあ、わかんね。」

「おいおい、それらしい事を言っていたら最後までそれなら力を失くす。」

「ん、そうですか。覚えていたら気を付けよかな。」

何もしない事は選択肢に入っていない。

だから行動を起した。

二人は同時に前方へ時間差もなく放った。

そして少しのずれで音を伴って壁が壊れた。

「君が近いですね。」

「そうですかね。それじゃ貴方とは少し外して行きましょう。と邪魔ですよ。」

「ぐえっ。」

驚くと同時に二人以外の存在が蹴り飛ばされ天井を貫いてから床に叩きつけられた。

「あ、加減を間違えたかな。」

「ぐはかかかかかっ心配いらねえ。そいつは偵察を任せた新人だからよ、直ぐに回収させて治療しますぜ。」

「ん。」

振り向くとそこには一人の男が立っていた。

いつの間にか周囲を人の壁で満たされていた。

「あ、なんだ貴方でしたか。」

「おいおい。驚きはないなか「ちょっと待ってくれよ。」お前さんかよ。驚くのは。」

「な、何ですか。これはっ。ふ、二人は顔見知、り。」

「おうよ。」

「んん。」

「おいおい、雇い主が俺を、嫌、俺達を忘れたのかよ。てか最初の言動はなんだったて話にならあ。」

「忘れ、た。んんん。はて何処で会ったかな。」

「おいおい本気か。去年に一度会ってるだろうが。」

「さぁ、どうだったかなぁ。」

仕方ねぇ。といって二人は壁を造っていた人達が拘束して外へと連れ出された。

騒ぎたいが何となく二人は無駄と理解していた。

そうしてくれ。連れ出されたのは。

「お、おお。そうか。家主です「ちげえよ。今は貴方が家主で俺達の雇い主すよ。」ねふぁっ。」

不意打ちの言葉で理解が砕けていた。

「え、何を。」

「ほれ。これが先代の言葉でさぁ。今は貴方が絶望の光であり希望の闇ですよ。」

差し出されたのは貴重な紙を使った便箋。

受け取って内容を読み進めて表情が消えていく。

「ど、どうしたのですか。」

「なぁ、これを知識無しで読んだらどうするかな。」

受け取ってから読み進めると同じ以上に表情が千差万別百面して返した。

「はは。嫌だね。」

二人は脱力した。

「で、これで何か俺に用ですか。」

「あや、それは俺が聞きたい。どうしてこの休憩区画に来ているんですか。」

「さあ。知りませんね気づいたらほら、この建物に入ってたんで。」

指し示したのは一部分が抉れた崩落寸前の建物。簡素であるがゆえに脆く少しの衝撃で崩れるだろうから。直後に建物は崩落した。

「おいおい、大事にしてくだせぇ。修復にも時間と手間が掛かるんですから。」

「ふむ、という事はあの大きな建物は。」

「へい。我々の職場です。」

「何て云いましたかね。」

「お忘れですか。」

「夢とも思ってたからね。」

「では、改めて。」

名前を告げて、納得した言葉を短く吐き出してから二人は店の中へと通された。

が実際は納得していない。 何の因果も因縁もないと思っているから。


通されたのは大食堂。

出入り口からも受け取り口からも窓からも等間隔に遠い位置で二人は並ばされて座らされ。反対には男。部下の三人が後ろの席で監視するように二人を見ている。

「な、なんか全身が痛いような。」

「痒いような。」

掻き毟たい感情が沸いているが我慢した。

「それで先ほどの話ですけど、どうして俺なんですか。あ、違いますねこの人でしょ。」

「あ、何を言ってんですか。確かにアンタですぜ。何せ、ほれ最後の署名を呼んでくだせい。」

指で示された最後の一文に目をやると。

「はて、この名前がなんですか。知らないなですね。これが俺と何の関係があるんですかね。」

「おいおい、マジかよ。アンタ、本気で言ってんですかい。」

「勿体ぶっても時間の無駄ですから誰なのか言ってください。」

「ははは、は。浮かばれねぇなあの人も。まだ生存してるならな。はぁそうだな。この人はな。アンタにとって。」

聞かされた事を反芻しながら口にして、何度か聞き返して尚も腕を組んで悩む。

「そう、か。俺の。それでも会った事もないのにいきなりていうのはちょっと困るな。」

「お、昔、何度か会ったことがあるとか言っていたが知らないのか。」

「昔。何度か。といわれても。一体何れだけの人と会ってきたのか。何度も会ったのもどれ程か判らないし。」

「はははっ、名乗らなかったのか、そう言えば無粋すぎるとかいってたか。」

「ふうん。無粋ね。」

「あのう。話に割り込むようで恐縮、とは思わんのですが、聞いているとこの店、かな。それの主に成ったということなんですか。」

「おう、そう言うことだな。」

「私が。」

「お、なんだ。お前さんも権利を主張するのかい。なら此を持てるよな。おい。」

と後ろに立っていた一人が薄い箱を出してきた。

「これは。まあ譲渡を証明するための簡易儀式だよ。ほれ持ってみな。」

促され箱を開けると薄い板が一枚。

「ん。あのなんですか、これは。」

「どうした。早く持ってみろ。」

「いや、持ってみろと言われても。これはどうすれば。」

「なんでえい、持たないのか。」

「いやこれをどうしろというのか。」

「なあ、何をそんなに動揺してんのかな。ほら、これだろ。」

「え、あれ。なんで。さっきまで無かったのに。」

「ほう。兄さん。あんたには何も見えてなかったのかい。そうか。なら所有権以前の話だ。兄さん、あんた謀ったな。」

「んん。はは、は。どういう仕掛けかは存じませんが、面白いですね。誰の作ですか。」

「それは守秘でな。簡単には教えられんよ。あんたには特に。」

「とかはないので、知らんのでしょ。本当は。」

「おいおい。引き伸ばそうとか考えないのか。」

「いえ、引き伸ばすも何もないですよ。単純な話この人が暇だから間に割って入っただけです他意はないと思うよ。それにこの箱は、ははは何か懐かしさというか哀れみというのか、感傷に浸りたくなるね。何でだろう。」

「それを私に振ろうとしないで。知りませんよそんなの。答えようがない。」

「そうだな。さて、これで正式に譲渡は終わった。と考えていいのかな。」

「いや今回は簡易で正式な譲渡はまた改めてという事で。お願いしたい。」

「そうか。まさか、その間に利権等々を移し変えたりなんかして、正式な手順後には中身はない箱だけ。とかはないよね。それで気づいた時には遅く、高笑いしながら追い出して権力を持って裏から支配。なぁんてのがあった日にはもう吐き出す程に笑い転げてやるよ。」

「ほう、どうしてそう予測する。」

「さあ、なんか、そんな気がしたまで。」

「信頼はしてもらえないと。」

「信頼の前に俺は貴殿方を詳しく知らないし、この店の方針とかも知らないから、何とも言えないね。」

「かははは。安心してくだせい。アンタのお陰で潜んでいた輩は全て排除したんで。」

「俺、なんかしたかな。」

「そうだな。まあ、とある繋がりを断裁してくれたので俺達も後処理が楽に成りましたよ。」

「ふうん。そうなんだ。まあ、そうなら良いですよ。今は軽く信用しましょう。さて、どう出ましょうか。」

「は、いや出口を知っているのだろう。」

「さあ、正直、この場所に来たのは約一年ぶりだし、どう出たのかなんて忘れた。」

「ふふ。慌てなさんな。お兄さん。主「ああ、その主ていうの止めてもらえませんか。この場所の主であるけど、店長とかに成ったのではないからね。そうですね。なら面倒なので名前の敬称略で願いたい。」ほう。良いんですかい。それは対外的に可笑しくなりますが。」

「ええ。それで、まあ無理にとは云わないでおきます。好きな呼び方をして下さい。まああるじとぬしは同じなで、後は近しい言葉も同様に、それ以外をお願いしたい。というか指令です。」

「ほう、願いではないのですかい。」

「そうですね願いは頼み。断る事もできるので。先手を打っておこうかと。」

「まあ指令なら仕方ねぇ。」

「今度、何時来るかは未定だけど、従業員等々に徹底して貰いたい。」

「了承したよ。では次に来るまでには何と呼ぶかを決めておこう。」

「で、何の話でしたか。」

「ん。おお。話を折ってくれたな。さて改めてだ兄さん。慌てなさんなソチラの者がこの建物の持ち主となった事で簡単に出入りすることが可能となった。ほれ適当にそれを振ってみな。」

「ん、こうかな。」

持ってた板が消え変わりに見たことのあるものが現れた。

「これって。門。」

「そう。」

「これって良いのかな盗用じゃないの。」

「ああ、もしかしなくとも通ったことあるのかい。心配しなさんな。これはこの店が保有する技術ですぜ。それを昔に誰かが表に売り込んだのでさぁ。お陰で諸々の手続で数年費やしたな。まあ先代とその弟子が奔走して見返りを幾つか包んで貰ってるがね。ではこれで一時の別れでさぁ。」

手を振りながら見送る。

通る前に何かの時に拾った歪な物を放って渡した。

「ん。なんですか。」

「判んないけど、懐に入ってたから預かっといて。何かの役に、たつのかな。」

「だから知らないよ私に聞かないで。」

「ふむ。そうだな。まあなんかの役には立つと思うがね。鑑定してみないことにゃ判らんね。さて、一応はぼっちゃんと呼ばせてもらうが。結果は報告した方がいいですか。」

「そうですね。今度、来たときにでも纏めてお願いしますよ。諸々を含めて、では、これで。」

「おうっ、また会える日に。」

二人は門を通って帰っていった。

残されたのは男と配下。

「くく。先を読む力はあらあな。まあ其処までか。おいコイツを保管しとけ鑑定の後でだ。」

「はい、では手続きはこのまま進めても。」

「おう、進めろ。これで晴れて自由を謳歌できる。くく。」

「ん。」

「どうした。」

「いえ、なにか、え。」

「なんだ。」

「これを。」

「んん。なんだ。記録媒体か。おい俺の端末は。」

「あ、はい。此方に。」

受け取って端末に接続すると勝手に端末が起動し画面に何かが表示される。

読み上げる男の表情は徐々に変貌し険しく成っていくと脱力して。

「お、い。手続きは中止だ。今まで処理してた物、も。くあっ。どうして。」

「な、何があったんですか。」

無言で端末を見せる。

「なっ。まさか、これは。」

「く、くくかくくくく。喰えないとは云うがこれは、恐ろしさより気持ち悪さが込み上げるな。くく。かはははは。面白い、あの人が指名しただけある。」

「では先方にはなんと。」

「包み隠さず、洗いざらいだ。納得はしないだろうな。八割は進んでたし、まあ全部、今の所有者に投げよう。」

「怒りますよ絶対。」

「そこはこれ、これで黙らせる。」

「ぼっちゃん怒りますよ。」

「だからこれよ。ぐははは。」

「はぁ後悔しても知りませんよ。」

雑談は続く。


門が開いたのは。見知らぬ場所。

海が見えるが音は聞こえない。

殺風景で何もない部屋。何時でも出ることは可能であるが状況が今一読めない。

誰も居ない。生物の息吹すら感じられない。

居るのは二人だけ。戻ろうにも門は出ると同時に消えているので戻れない。

振っても開くことはない。

しかし慌てるような事はなく。

「好都合。というか、なあ。」

「ええ。ソイッ」

踏み込み突き出しで部屋の様々な場所から小さな爆発。

「何となく想定どおりだと悲しいな逆に。」

「そうですか。私的には踊りますね。」

「止めろ。こんな場所でそれは洒落にならない。」

「くく。そうですね。では繋げましょう。」

「まだあるよ。どっっせぇぇぇぇいっ。」

足下を踏み潰すと小さい声が複数響いてきた。

「まだまだ、壊すぜえ。」

とその後、時間をかけて破壊衝動のままに壊していった。

二人の回りには残骸の成れの果て。粒の山が幾つもできていた。

屈伸しながら跳び跳ねて首回りを解して。

「さてどうするかな。お。」

「はぁはぁはぁ。たかっく。くはっ、ど、どうしてそんなに平然としていられる。かはっ。」

「んん。体力ないなぁ。これまで何もしてなかったなら仕方なし。というのか。同期してたなら体力に限度はないだろ。」

「そ、そうかもしれないのだが、切れているのか続かない。」

「余裕がないほど局面は最終段階かな。此方も終ったし。それでどうするか。だけど時間を掛けすぎたか。」

「動くな怪しき者共。何を目的に我等が聖地を犯した。事と次第ではこの場で処罰されると心得よ。」

「ま、た。面倒なはは。なんだろうな。平和とは程遠い地点だな。お、終わったの。」

唐突に二人が忽然と姿を焼失し消失させた。

どよめく包囲していた者達。

「狼狽えるな。近辺を捜索と同時に中を調査せよ。」

隊長らしきものが的確に指示を出して静めた。

「しかし何者だあれは。報告書と一緒に上げておくか。」

部隊が散って調査していく。

それらが全て上に報告されるのは纏まってからなので時間を開けて上げられた。


「んおっ、と終わったのか。」

椅子二つ、机1つ、書類の山が沢山。

その全てが調印されていた。

「で、どうなった。終わったから呼んだんだろ。」

「ん。そうでない危険と判断し呼び寄せたまで。それと最後の一手、をうぬしに委ねたい。」

「え、嫌に決まってるよと良いよと言うのとどう賭けた。」

「ななな。見破ったか。く。判った判りましたよ。全てに従いましょう。私は譲渡しますよっ。」

「ふふ賢明な判断だろう。がえ。」

「何を納得してる。勝手に対象にして終らせてるなよな。たくっよう。」

「おいおい。我等は神だぞ。簡単に手をぐけっ」

「お前も同罪。反省しろ。で聞いてるとジジイ頭に糞便付けて挙げようか。勝ったんだろ。それで権利は譲り渡されたんだろ。合ってるよな。」

「そうじゃよ。」

「死にたいのかッこの駒風情がっ。」

「おいおい。何を怒ってる。」

「そうだ。ずっと我々の事を認識していて敬う欠片すらない。翁の契約者ならばかしずいて連なる私も敬え。」

「ああっ、壊すぞっ無能。なんで信奉してない対象を敬う。笑うことすら卑下する。」

「この。」

「止めよ。敵わぬよ絶対な。さて理解しておるだろう。こうして我等の契約は成された。全ての権利はうぬしに委ねたのでな好きにするといい。」

「何を血迷ってる呆けに速くはないが、断るよ普通なら。内容を話せ偽りありなら潰す。」

諦めて全てを話し、た。

「そうかよ。まあ納得しないが納得させようする努力は認めよう。」

胸を撫で下ろして。

「でもな、偽りだけにあらずだ。何時まで付いて回る偽りはお前達含めて全てを対象と覚えていろよ。違えた場合は存在諸ともに、だ。」

動かない。

「二つは戦慄と畏怖を覚えてまだ抗うかな。」

「くはっ、そうかな。だがもし我々の「止めておけ後で話す」しかし翁よこの不神論者は「よいよい。だから後で話すでな。抑えよ。」

その無表情を含む顔は返答を容赦せず有無を消して膝を着かせるに十二分だった。

「わ、解った。もう歯向かうことを止めよう。「とは思わんよな隙あらば寝首をかこうと考えるんだろなぁ赤を付随する神たる存在、よ。」ひっ。」

叫びと嘆きを放った。


振るえる手を紙に添える。

三人は納得してから其々に持つこととなり現実へと帰還する。

一人は静観していた。何も云うまいと誓っていた。無駄な言葉と行動は存在に対して失礼だと思えたから。

『かははは、そんな事思えたら良かったよな。まあ収拾着かなくなるから諦めよう。』

と放棄していた。

さて現実への帰還である。


「ふぃぃぃ。疲れた。」

光魔は部屋に。

一時的に用意された個室という独房に近い部屋にて全身の疲労で動けないでいた。

嘆きはない。

無いのだが、戻りたいな。という無意識の言葉が漏れて無表情に瞬になったが戻った。

何をもっての事なのかは知らないのに殺意だけが沸いていた。

沸いていた殺意は時間とともに消え失せるように鳴りを潜めていった。が消えたのではないとも解っていた。

それと同時に自身の(存在)もないということも。

時間は限られている。何を残すのか残さないのか。それは自分の意識と意思のみだとも判っていた。

その翌日。学園最高機関の要請に終わるような心で返答した。

借金を盾にされ断ることが出来ず更に心は終りに近づいていく。

涙すら流せない。

やる気は無くなっていたが何とか奮い起たせて書類を準備してから部屋を出る。とその前に扉を少し押した状態で振り返ると背後で嫌な切断音。背に複数の汗が流れ、目の前の窓に目掛けて飛び出した。

落ちて行きながら地面が近付くのは当たり前だが背後で罵声が聞こえて着地した。

そしてそのまま逃げた。


扉を前に息を軽く吸い、衣服の乱れを整えて吐き出した。

扉を叩くと返答があり入室の許可を得てから入った。

静かに閉めて正面を向くと只ならない空気を醸す面々が疲労を隠さず睨んでいた。

「ええと、提出する書類一式を持ってきたんですが、どうしました。凄いお疲れのようですが。」

「ほうっ、君には心当たりがないのかな。」

「はてさて、心当たり。と申されても。んん。在りすぎてどれを指しているのか検討もつかないのですが。」

「その全てだよ。ねぇ。素直に答えてくれないかな。」

「あ、それならほら、この様に書類として用意したので読んで下さい。まあこれで進級できるか微妙ですが。」

「書類だと。その記録媒体がか。」

「ええ。そうですよ。勿論、簡単に閲覧できないように多重の鍵と暗号を施してますから。あ、そうそう、安全に見なかったら全部を巻き込んで消えるように細工してるので、指定の装置で読み上げる様にしてください。では、これにでぅえっ。」

帰ろうとして扉に触れる前に襟首を引っ張られ引き戻され奥の椅子に座らされた。

「何を終った感を出して帰ろうとしている。」

「ええ、なんで怒っているんですか。渡すものも渡したし必要な事は伝えたし、後は貴殿方で見てくださいよ。てか早く休みたいんですよ。」

「休みたいなら詳細と閲覧するための装置の場所を教えなさい。」

「え、知らないんですか。可笑しいな。こういった事に関しては現在、一括で管理している。て連絡もらってたんだけど。到着早々に結構な改修したとか何とか。」

「まさか。それは。」

「そうですよ新設された情報管理局。その中でも取り分け秘匿性のある情報に関したものを扱う部署。話しは通しているので其所の所長に渡してください。そうすれば中を見ることも出来ますから。ではこれで。くへっ、まだ何か。」

立ち上がろうとして肩を強引に押さえつけられる。

「我々は、その場所を知らされていないんだけど。」

「そうですか。でも簡単に教えられませんよ僕からはね。だって《秘匿》ですから。」

「なぁ殴って解らせて良いかっ。」

「だめです。彼に対する効力は戻ってますから。何かあった場合の事を考えなさい。」

「なあ、もう一度言いますよ。僕からは教えられませんよ《秘匿》してますから。ではこれで、戻らせてもらいます。色々と手続しないといけないので。あと休みたいので。」

椅子から立ち。部屋を出ようとする間に並々ならない渦巻く感情が向けられているが、それら全てを無視して部屋を出ていった。

部屋を出てから一歩も行かない内に叫びが聞こえてきた。

その叫びは暫く続いていたがやがて静まって勢い良く開かれて全員が追い抜いて何処かへと向かって行った。


事の顛末はどうにかして、というより(わざ)となのかと疑いたくなるほどに時間が掛かり、通知を受け取る前日に《秘匿》された場所まで辿り着いて内容を精査した結果は学園や島にとっての有益しかなく。

晴れて進級と相成った。

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