表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
終章
104/111

終章~さてと。終わらそ。~

誰も動けない。

息すら忘れさせる。

「何者だ・・。」

声が僅かに掠れているのか最後まで聞き取れなかった。

だけども無関係。

「愚かなル事。油断してこの有リ様とは笑えるル。」

意識としては何か行動を起こすべきだと理解しているが思考に反論するように僅かな動作すら出来ない。

視線を外すことすら。

「隠し。なラどの状況状態条理であろうと先を打つことが解っていよう。なのにだこの体たラく。嘆いたとして無価値。」

踏みしめる。

「理解していルがしようと考えない。考えたとしてし無駄と思い至ル。思慮深いなく。滑稽よっ。」

踏みしめ震わせる。

「さぁ返答を、聞こうか。」

『ヴォルグァアアアアアアアっ』

塊と一緒に黒い炎に焼かれた。

「よ、よく」

『えウっ。』

誉めようとしてその首根元から先は綺麗になく。

『「強かに軽やかに狡猾さと弱さを見せて狙う。そレは良い作業だった。なぁ。相手を見誤リなけレば。だ。我と彼の存在との対話を邪魔した報いと理解せよ。」』

その頭の上には獸。首から上がある。

意味ない。

一滴の赤すら。

その目に光なく。

命が途絶えている証明。

絶望と殺意が肉体を動かす。

が同様の結果。

いや似て異なる事。

頭部と同時に臓物を突き抜かれていた。

見えなかった。速度の話ではない。

過程を飛ばして結果だけを体験させられたような。

「なんだ。ただの損ないか。つまラぬな。」

踏んで踏んで踏んで踏み壊すように続ける。

「でお前と貴様は何を、いや何もしないのか。親しき何かが目の前で無惨な姿を晒していても。」

二つの柱は動いていなかった。確実に。一人と一匹を相手に遊んでいても気配を察知していた。

「何を言っているのかね。」

という言葉に対して意味を見いだせず。二つの柱が其々持っている物を見て瞬で理解した。

「くかか神というものを自称していルだけあルぁう。」

視点が下がる塊が視界全てを満たすと衝突して側に落ちた。

俯せの常態から転がされ仰向けにされた。

「これを見て何を思う。」

「ふくくくく。勝てルとは思うまい。しかしだ。そレを返却願いたいな。」

「何故かな。」

「解ラないか、では後悔して滅びをぶふうっ。」

二つの柱の瞳に宿る悦。

灯火のように揺らめいて消えた。

「面白くないですね。何者か知りませんが、終わりましょうか。」

「止めよ。この場を離れて静観する。」

「何を、てああ。そういう。しかし、遅かったかも、ですね。」

「何をて。そうかこれは元々、遊びであったな。そうか最初から織り込んでいたか。」

二つの柱は塊へ視線を向けると。

腕と足が生えていた。

「ヒョエっ。」

「おうっ。」

驚きと呆れ。

ただ。生えるだけで終わらない。軽く飛ぶと四肢に力を込めて長距離へ伸ばす。

伸ばして戻し。

「《『(ふむ。勢いに任せてみたけど正直面白味もない。な、そう思えよなウェイトゥルース。お前は何を目的に不可視の領域との境目を壊してまで入ってきた。役目の後は自由にしても構わないと。そう言ったよな。)』》」

「《『(ぐふふ何を仰る。私としての存在を確定した上に固定した貴方が我を見放すつもりか。)』》」

「《『(いんや、自由だから後の考えは否定しない。世界の何処で、何を、しようとしても自由に保証されている。いるからこそなのだけども。)』》」

「《『(なればこの行動は貴方の範囲外でしょう。)』》」

「《『(そうだな。1つの可能性としては有り得たよね。でも面白くないから笑ってあげよう。)』》」

問答する声。二つの柱ではない。

聞こえるは塊。

封じの末に絡めた相手。呼吸。動作。思考。を強制停止させたはずを普通に話していた。

「おいおいと。言うのかね、それとも。驚く事柄か事象かと云うのが適切か。さて止まっていても進まない。解放と行くけどさ。簡単には行かないよな。」

そう。言葉に具現化すると。楔。網。張り付け。縫い付け。抑え。貫き。停止。抗体。

穿ち払い消去去勢調教思想愚鈍加速千変万化。施し執行して間へと完全に封ずるはずだった。

「なぁあ。面白くあって欲しいというのは勝手すぎるかな。んな願望は個々人の自由。ならそう仕向けたいよな。壊したい。壊したくて仕方ない。」

塊から生えていた腕。

境目から剥がれ落ちて人が露出していく。

「「判断するなら見たという状況より早くに行動に移そうか。だからこそ()()()()()()()()()()()()()。」」

二柱の視線はさ迷う。

「現実逃避はいけないよな。なあ神。いや。創造なる者共。消える前に問いに答えろ。」

塊が剥がれ一人の存在が現れる。伸びた手足は戻っていた。

1つの。一人である存在。

州環光魔。

全裸であり恥を知らないのか胸を張って睨む。

創造たる存在を。

「ひえぇ。下を晒すて恥ずかしいな思ったより。」

我慢をしようとして堪えられなかった。

突き出した指を四分の一回して出現させた大きな布を纏い再び睨んだ。

「さすがっ神たる自称。怯むことは後退と同義か。で質問するけどさ。」

質問に答えた。

「お、素直だな。なら消えることを了承したと受け取ろう。反論等全て拒絶する。」

二柱は塵となって失せた。

「でどうして破壊してまで入った。」

「いえ、報告が必要かと思い。」

「思い。で必要か。てまぁ客観視点では補正が入るのか。」

「必要。無いのか。」

「無いというより無意味な事よな。」

「そうか。謝罪必要か。」

「いらね。」

「そうか。壊すかこの無能を。」

「意味なら忌みないぞ。」

「止めておく。」

「懸命だな。」

二人の前に残った一人。

負を表出させて向ける目には命の存命を維持した意思を見いだした。

なあと始め。

「それ程の意識は、何を始めとした。様々な色々な悉くは始まりが、あるよな。ならあるだろその。始まりを。」

「俺、は何で、生きている。あの時もそうだった。」

回想

「語るなら終わってからにしてくんね。」

に突入させない。

「お、お前ぇはあぁ促してそれかあぁっ。」

「無下にするだろうが。面白くもない暗くて沈む事が確定した過去話を永遠と聞かされ付き合わされる身にもなってみろよ。帰りたいわっ。」

暴論にもならない個人的な感情で話を断った。

「そ、それでも、流れで聞くだろう普通。」

「普通て何を指すのかな。常識あっての非常識。では常識とは何かな。と話が逸れそうだな。閑話休題。話を進展させようか。」

「聞きたい。」

「何を。」

「待っていルのか。」

「何を、待つ。」

「なら何もしないのか。」

「何かを期待しているのか。このまま終わらないと。」

「終わルと。素直に喜ぶか。」

「ないな。うん。ない。でお前はどうするよ。人として世に戻るか。それとも。」

「其くらいにしておいてくれないか。異常性存在。」

「云い得て妙かの。」

「当たらずとも何とやらとも云いますがね。」

「そんな、消えたんじゃ。」

「消える。そんな普通の事をして何が楽しいのか。消えたんじゃなく分解して再構築したまで。混ざってたしな。色々と。」

気付くと宙に何かが漂っていた。

声は聞こえないが喚いていることは確かである。

「なんだ。こレは。」

「異物。」

手を伸ばして翳す。指を折り曲げ同調するように囲んでいた物が収縮していく。

叩く速度は上がり悲観の表情。

助けを求めている。

笑いを薄く向ける。

見た全員が本当に恐怖した。

握り締めると同時に浮遊していた者も物と一緒に消えた。

「異物とはなんだ。答えよ。」

「紛れ物。と云えば伝わるかな。」

振られた。

「伝播した狂って壊れた者達。ただ1つの目的という目標を達成させるためなら自身の存在すら捧げる盲目な愚者。というのかね。まあどの時代であれそういう輩は出るよな。良し悪しは別として。だけども、紛れ物は色々な組織に気づけば入り込んで内から外から手法を凝らして世界を盤上にする。その目的が無意味だと知らずに行われる愚行だよな。」

「よもやあの者達は。」

「おう。あぶり出して一掃したんだけど。まあ一部だけだったし。まさか肉体を捨ててまで世界に関わりたいかね。いや思想に囚われるというのは恐いねえ。」

感嘆するような言い方だが目には侮蔑が籠っていた。

「翁。どういうことですか。説明して欲しいですね。」

「我らとは無関係。ではないのだろう。なあ。」

「さぁその辺りは知らない。某かの関係は在るかもしれない。無いかもしれない。」

「嫌に歯切れ悪いな。何を隠している。」

「隠すとは酷い言い方。確信が持てないだけだよ。付かず離れず、近づかず遠からず。気配は在りながら霧散して拡散する。だから掴みきれない。」

哀愁を漂わす。

「んでだ。どうするこのまま続けるかい。それともお開きとするかな。続けるなら構わないよ。時間は無限。老いもせず空腹もなく常時最大だから飽きるまで続けられるだろうな。」

「なら1つしか無かろうて。」

「ですね。」

「あえ、ちょちょちょっと何を言っておられるのですか。」

「なんですか。君はこの何もない空間で永遠と闘い続ける気ですか。そんな滑稽なこと私は願い下げたいですね。」

「ですけど。もしこいつが、それすら織り込み積みだった場合はどうするのですか。」

「ほほ。確かに。のう少年たる小僧。貴様は何を考え、行動しておる。」

「無計画杜撰行き当たりばったり。てな具合な感じか、それか無意識による計画かもな。さぁ考える猶予は与えても無駄と理解した方が身の安全を確実に保証出来ると思いはするけど。どうするよ。」

「ふははっ正当を与えずですか。何を狙うか知りも知りたくないですが此でも君は闘争を選択しますか。」

「あ、当たり前だ。これはぼ、僕の存在としての尊厳とか色々な事が関係しているんだ。だぁから。」

「そうか。なら闘い続けるという選択で良いぞ。じゃぁ構えて貰うぞ永遠に続く顛末なき殺意を。なあ。」

手には兵器が。

二柱が止めようと行動して遅く。

二人は存分にその力を使った。


散々たる現状に二柱は何もしなかった。

考えを尊重するため。という逃げを現して実は二人の有り得ない全ての動作に考えが追い付かなかった。

「ふふ。何処で止めれば良かったのでしょうか。」

「ふほほ。止める術を持っていたとしても無意味であったろうな。」

「そうですね。では、我々も歯向かいますか。無駄で命を散らすだけでしょうが。」

「そうだのう。では行くか。」

二柱が向かうは無限の命を散らす場所。

彼の者の足下には倒れ付した器。

荒い息を吐きながらも覇気は漲る。見ているのは何だろう。

相手ではないだろう。

その先を見据えているようだ。

がその先は無いだろう。

相手たるその者。

異常にして異様にあり異例。

走った二柱は次に倒れ赤の飛沫が噴水のように散っていく。

思考が遅れて理解する。

したくなくともしてしまう。

走って二歩目を踏み込むまでは理解して次に認識すると激しい痛みと全身を縛り付ける怠さ。

視線を迷わせ二柱は合わせた。

先ほどと全く同じ位置。足下には驚きを隠せない器。違いは、獸が太い一本で串刺しにされていた。

「んんんっ。くっはああぁぁ。ああ、まだ続けるかな。俺的には永遠に続けて貰ってもかまわないよ。疲れず眠らず減らず。動くことに制限なくまた際限もない。終わり無い生活が完全保証されている。まあ無限に命を散らす事も確定するけど。」

その先。体感にて数千年は経っているだろう。

もはやこの行いの始まりすら忘却して事務的に機械的に行っている。

忘れた。目的を。

「「飽きたな。正直。もうする事を遣り尽くしただろう。なあ。」」

柏手(かしわで)を1つ。


「ふはっ。」

回りを確認。獸。柱。相手。

自身に触れてみる。

戻っている。

「おう戻したからな全部。」

機械的思考しか出来なかった頭は戻り一定の動作しか受け付けないよう改造した身体までも戻っていた。

「本当は進んでもないんだけども。だってよう。この空間は切り離して進むことも戻ることもないてのを説明したよなしてなかったかも。まあいいわ。仮に永遠の停止場と名付けようか。そんで経年劣化なんて有り得ないよな。ああ、あれは俺が見せた訳じゃない。自分で停滞を拒絶して妄想へ逃げたんだよ。んでそれに乗っかっただけ。まあ飽きたからこうして壊したけど。あと序でに、獸も元に戻したからな。」

間を置いて。

「さてと。終わらそ。」

刹那。

全員の視界は塗りつぶされ動くことを否定した。

否定しても尚、意識は鮮明で目の前に立っているだろう存在には未だに底や頂点の片鱗すら見えてない。

届く距離にもない。同じでありながら別の場所を立っている。

そう理解して漸く深い理解し難い所で絶望を実感した。


キカイ心配しなくても消滅させないから。剥がすのはその熱く暑く厚い皮だけだからよ。」

四つの絶望しきった表情は、その振り下ろしと同時に粒となり霧散していった。

刀身に付着した粒を振り払い収納しながら大きく息を吐き出して内面へと潜った。

再びの虚ろなる空へと。

僅かに残ってた汚物で異物も同時に消失。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ