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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
終章
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終章 ~さて、おわらそう~

「あぁぁあぁあ長っ。はは。どうだろう1つの可能性としての話はよ。何かもう飽きたけど。」

一人は地面に倒れ意識を手放しかけて。一柱は足を砕かれたのか仰向けに倒れながら空を睨んで。一匹は口内を全て切り裂かれ血を流し。一柱は腕ねじ曲げられ大きな鎖が巻き付いて地面へと縫い付けられていた。


まざまざと見え体感し現実のようなもの全てが目の前にいる一人の語りに過ぎず。

一体、何時からが幻で現実なのか。あやふやで混乱している。

確実に理解していることは、まだ切り離された空間に居る。という現実。

対して。

「ふはほ。っほほほほ。さあてねぇ何時から何処から何から。なあ何をして現実とする。何をもって夢幻とするのかね。」

確かに命を絶った感触が手に残っている。

現実だと解っている。

だからこそこの状況は理解できない。

「全てを物語るのは簡単だが、まあ単純には説明しようもないけど。」

拘束していた物を外していく。

「なんて面白い表情してんだろうかな。あぁあ、心配するなよ心は疲労してるだろうが、肉体的な疲れは無いだろう。」

その言葉のとおりに解かれた直後に身体を動かすことができた。

「ぐうぅう。」

力は入らず崩れるように地面へと倒れかけた。

「お、持ちこたえたか二人は。まあ獣と普通の人じゃあ相当に鍛えてないとそうなるよな。」

一人は立っても糸に見放されたように倒れ、一匹は口の傷の影響か立ち上がりながら気絶した。

「ではだ。貴殿方。と呼んだらいいのか。若しくは、あんた等と、呼ぶのがいいのか。それともお前ら。と言ったらいいのかね。他にもまざまざあるけどよ。何がいい。」

「その、前に聞かせて、もらえるか。」

「え、駄目だよ。話が進まなくなるでしょうよ。ほら、呼ばれ方を決めてくださいなと。」

「ふほはほほほ。なら好きに呼べば良かろうよ。のう。」

「ん。そうだな。今さら貴方に敬語は不要だね。まあ呼べと言われて呼ばないけど。さて、貴殿はどうする。好きに呼ばせるのか。それとも」

「な、なら私には様を付けよ。」

「ん。そうてずか。解りました。さて、倒れている貴方は何と呼びますか。無言は引き延ばしと受け取って壊しますよ。」

「は、はは僕は好きに呼んでください。それとこの子も同じ様に。」

「解りました。では好きにしてが三に要望ありが一。ではそれで話を進めましょうか。さて何時からという最も知りたい事からですけど。」

首を軽く鳴らす。意味はない。

「さぁ何時からでしょうね。初めから。それか出会う前に仕掛けているのかな。いやいや、それとも戦争の時にか。はは捻って自分以外の誰かかもしれないねぇ。まだまだあるよ。仕込む方法は。」

答える気はなさそうだ。


質問を変える。

「あの語り部は何のために。必要ないだろう。」

「ん、んん。そうだねぇ、1つの、可能性というかまあ妄想。のようなものかね。この場面的な行動全てが終わったとして、まだ先は長いよな。残ったとして。はは相手にしないといけないのが残ってるよね。それも最低で四。ならさこんな未来もあり得ますよ。という選択の1つかね。」

確かに。納得した。

「したが、だからどうしたのだ。」

「さぁどうもしねぇよ。言ったろう妄想だし。何がどうなるかてのは選択次第でどうにでもなる。誰かの選択が世界に影響なんてのは無限にあるし、それでも迫られる時は確実に遣ってくるものだよ。じゃあ最後の解放をしようか。何時までも同じ姿勢てのは疲れるからな。」

解放され再び地面へと。

違う。

「ほはははは。上に座す存在だけあるな。簡単には折れない。精神も器さえも。拍手を送ろう。侮蔑を込めて。それと全ての負傷を解放と同時に無かったことに。俺たちの質問に答えてもらおうか。拒絶は滅びと理解しような。」

精神のその奥を捲ったように二柱は砕けるように膝を折った。

それは一人と一匹を困惑させた。

「ああ字巻器二点人(あざまきふてひと)。それとケモノとしての入れ物を成した醸成した器。仮にウルレシア。」

睨みを向ける一人に一匹。

「さて工作した様々な事柄が全部消えて、何かはあるかね。」

「何が目的だ。」

「目的ときたか。そうだなぁ、じゃあ単純に嫌がらせにしとこうか。誰に。とは知らんけど。」

「では我々をどうにかしたとして、貴様はどうするのだ。」

「ん。さぁ。知らね。成るようになるし、成らないかもしれないし、さらには次が在るのかも不明だし、ま、選択次第だね。言えることは、この場で終わろうと続こうとも世界にとっては小さな些末だろ。」

「何も、しないと言うのかな君は。」

「何もしないかもなぁ。降り掛かる火の粉てきな事があるなら高火力で吹き飛ばすだけかな。」

「なあ、本当にあの人とは関係ないのか。」

「そのあの人が誰かも知らないし知っていたとしてそれは過去の事だろ。俺にゃあ関係ない。それに過去に縛られると見えないようになって気づいたら手遅れてのが良くある話だ。」

「そうか。なら僕からの質問はない。」

「さて獣。あや今は獸か。なあもう喋れよ普通に。」

『くふ。くひゃははははひゃ何故に気づいた。』

「おう本当に喋ったよ。適当に言ったんだけど。」

『こ、こいつ。』

「冗談は半分置いといて、何か聞きたいなら範囲内で答えるぞ。まあ聞きたいことなんて無いだろうけど。」

『ではお前は何処まで知っている。知っているからこそこの状況を造り出したのだろう。』

「なんだよ在るのか。まあ答えるけど。解らないね。この状況と聞かされてもな。成り行き任せで辿り着いただけだし、意味を理由を求められても正直、困る。」

「ふはっ困るだ、と。何を世迷い言のように放つか、この異常存在がっ。ぐ。」

「おいおい。一個人を前にして異常とは酷いな。面倒事に巻き込まれた俺に対しての物言いてのは普通なら許さないものだろうけどまあどうでもなるかな。理解しようと思うなよ、柱としてもそれは限界を見ていないだけだろ。面を見て点を見ていない。だから、あの結果。とこれは言ってはだめだよな。」

反応は直ぐに返ってくる。

「結果だと。なんだそれは。」

「あぁ失敗したかな。」

仕方なく説明した。

驚く柱と獣に人。

うんうんそれが反応だよなぁ。と何を言ってるんだろうかと疑問したが話を進める。

「さて進めるにしてもだこのままだと確実で停滞するよな。なら選択の道は向けない。向けても無意味だろ。なのでこのまま降れ。そうするなら無駄に体力を消費せずに終わらせられるだろ。」

勿論拒否と拒絶する。

「だよな。ならしょうがない。いや仕様がないか。ね。この後の本当を見せようか。納得したら降ってね。」

瞬にして全てを理解しても全てが拒否した。

溜め息と同時に。

「そうかいではどうするのかね。」

解答は滅ぼす事を内包した解決だった。


時間を置いて再び対峙した。

準備にも様々色々複数が必要だろうと話して取ったのだ。

まだ空間は継続している。

これは終わらなければ崩壊しないように組まれている。

終わりなければ持続する。

永久に。

「馬鹿な。可笑しいだろうが。」

「おいおい。翁よ。これは想定の外側だ。聞いていたより果てしない。何をもってこの状況ですか。命を代償としても足りませんよ。」

「神様達はあれをどう見ますか。」

「あれは世界の異物。排除せねば全ての願いが泡沫と消える。危険な存在だ。」

「してどう対処するのですか。簡単には行かないでしょう。」

「心配するでない。あれの内にて幾つもの仕掛けを施した。その発動には少しの時間を要するが。」

「どれ程の。」

「長くて十分。」

希望的な事であれそれは希望に違いなかった。


身体を解している。その余裕は何を物語っているのか計り知れないがこうして改めなくてもその存在の異常性を理解してしまう。

口を尖らせ高音を響かせた。

「ん。準備は整ったかな。まあ整ってなかったらこうして前に居ないわな。んんん。さて始めようか。存在とお前達の尊厳を掛けた戦いという遊びを。」

言って姿が消え獸が上方へと飛んだ。

「おぉ、避けるか。獸だけあるなぁ。」

獸が居た地点には相手。光魔が立っていた。

「さて他はどうかな。」

また消えて今度は神の一柱が轟音と共にその一撃を止めた。

「ほっほう。これを防ぐのな。堕ちて腐ったとしても神は神だな。続けるぞ。」

消えては攻撃し消えては、という行動を繰り返して全員を翻弄していた。がその速度は捕らえられない訳ではなく少しずつ慣れていった。

暫くしてその速さに全員が完全に慣れ攻勢に転じる。


転じても直ぐには攻勢に出なかった。

その余裕を長びかせて瞬間を狙っていた。


来たっ。

と二柱に一匹に一人が逃さず解放して攻撃に転換した。

避けられるだろう事を想定していたが全ての攻撃が当たった。

接触した部分から伝わる感触。

確実に内外へと大きな傷を負わせた事を物語っている。

全員が口端を上げた。

そのまま地面へと倒れ血を吐き出しながら目を回転させていた。

随分と捻りなく。感慨も感傷も感動もなく終わりを迎えてしまった。

いや、まだ油断は出来ない。

なぜならこれは幻ということもあり得るのだから。

が獸が本物と確定させた。

偽ろうともその嗅覚から逃れることは出来ない。

よって本物と確定した。

「油断しおったな。」

なのに全員が手足を切断され最後に首を飛ばされ破裂した。

沈んでいく落ちていく渇いていく。飲まれて呪って霧散して。

全員の意識は戻り、身体を其々が確認するも何もなく。

体液一滴すら流れていなかった。

代わりに呼吸は荒く心が早鐘を打つ。

何があったのか。

それすらも理解できないままに全員がその場を引いた。

何故なら倒した者が消えていたのだ。

周囲に隠れる要素はない。空間だ。なら何処に消えたのか。

「おいおい少しは加減てのをだな。」

すかさず攻撃を与えてくる。

「ぶふぉぅ。まてまて攻撃は待ちなされ。」

今度は簡単に止められた。衝撃で腕が吹き飛ぶほどの力を加えたのにだ。

「なぁ人の話は聞こうな。」

「う。」

咄嗟に手を引いた。

何か全身を走る感覚は間違いなく。

「距離を開けたか。都合がいいな。さて次だ。今度は避けることをお勧めするぞ。」

全員の全身ではなく存在の根幹から昇ってくる衝動。獸は一吠えしてから器を肥大させ複数の尾に二柱一人を取り込み回避した。

皆が居た場所には何かがあったのだろうと。そう解ってっているが、その何かが何だったのかが解らない。

嫌悪感が増殖していく。

「そこには何かが在った。確かに在ったけど何もなかったよ最初からお前達以外は存在していなかった。存在しているのは目に見えない存在。小さな命。僅かな命。だけどもよう。それ以外も存在してるよな。

その辺りには目に見えない、生物として当たり前で、無くてはならない物がある。さて何でしょう。」

距離は取った。取ったとして何になる。世界に固定された者に抗う術なく引き戻される。が影響は自身だけではないと相手を見る。

「ん。ああ俺はそれに含まれないよ。ん、何だよ」

気を取られた隙に獸が腕を食い千切る。

「うお、ととと。なんだ腹が、減っているのかい。まあ食わせるには勿体ない。返せ。」

小さく振り上げて含める。

嫌な笑みを見せる。

これ見よがしに噛み砕いて飲み下した。

「おいおいおぉぉい。大丈夫かよ。そんな有害の何物でもない物体を取り込んで。」

変化する。

表情は余裕から苦痛へ。苦痛に変わって絶望して内部を吐き出して末端から腐敗していった。

「ととっとと。困る困る。止め止め。」

問答無用で内蔵へ腕を肩まで突っ込んて液状な物を引きずり出してそのまま腕の切断面に付着させた。

すると生きているかのような動きをして元に戻った。

「うえ、マジかよ。てまたか。」

「何をしたんだ。貴様ああっ。」

「存在の恩人に対しての物言いとは戴けないな。」

目の横に傷を着けられた。

「それで許そう。では続きだ。」

獸が小さく鳴き声を上げながら腹を裂かれていた。

一人狂いかけながら近寄り抱き抱えた。

僅かな息しかなく。灯火である。

「なあ睨もうとするなよ。余裕あるなら攻撃に転じような。それと。さっきから煩いぞ。とでだ。これで終わりかな。まだ在るだろう。仕掛けがさ。」

「気づいたか。が、遅い。」

「ぐおっふ。これ、はあ。」

「ちまちまと1つずつなぞまどろっこしい。一息に全て発動させた。」

波打ち。捻り。飛び出し。潜り。放たれ。抉られ。渇き。

濡れ。盛り。減り。栄え。滅ぶ。

凡そ、世界の歴史を表すように全身が変化していく。元など無くなるように人としての形を無くしていく。

最後に残されたのはたった1つの目。

が人の目ではなく、何か得体の知れない目。周囲に呑み込まれて何かの塊と化した。


「ど、どうですか。今度こそ本当に倒したのですか。」

「倒す。とは違う。これは奴を完全無力化とするための仕掛けよ。1つずつを作動させておれば間違いなく対処されておったろう。が、まさか同時に全てを作動させるとは思ってもいなかったようだのぅ。まだまだ若い。」

獸はあの後、何事も無かったように回復し異常なまでの活力に溢れている。

二柱一人一匹の中心には塊。色無き無色でもない塊が鎮座して、が僅かに命の鼓動のように脈動している。

生きてはいるのだろう。

「では無限の鎖と楔と膜をもって深く深い何処でもない地点へ封印といこうか。」

二柱が手を翳す。

塊の縁を切り取り鎖が覆い、楔が穿ち厚みの違う膜が更に覆う。

「さて、おわらそう。二度と戻らぬように。」

人の赤を一滴。獸の赤を三滴。二柱は一部を。

「では、媒介として完全なる封印をこの名も無き存在に。」

封印。と述べれば終わりである。

だが気づいていなかった。

いや気づけなかったが正しいのか。どうなのか。

しかしそれは。

「誰が封印を許可シタ。我は許しテ、おらぬぞ。覆ル存在。」

瞬きなどしていない。周囲には充分に気を配っていた。がその存在は前触れなく現れて塊の上に立っていた。全員を冷めた眼で見下しながら。

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