魔術実用篇Ⅱ
・・・本編より長くなった・・・いいのかな・・・まあいいや。
人間の視覚野に関しては点字の読み取りに代用されるなど、その柔軟性に謎が深まるだけですが・・・4原色については女性のみって言われてるけど・・・どうなんだろう?男性にもいるような気がするんですよね。・・・経験的に
「作者以外は待ち望んでる人がいないと思っていた魔術講座、実用篇Ⅱの開講です。」
「しかし姫様・・・すっかり変わったなー。」
「そんなに変わった?」
「ああ、昔は神殿に住み着いていた座敷童子みたいでかわいかったんだが・・・」
「今は?」
「その釘バットをしまったら教えてやる。」
「では今回は時間魔法でできることです。」
時間魔法は以前にも話したようにΩボーア粒子と光子の間に発生する、潮汐力を利用することで事象改変させる魔法です。
具体的には、時間を長くしたり(潮汐力大)短くしたり(潮汐力小)するのですが、これ自体ではたぶんピンと来ないと思います。
よく用いられるのは光の波長改変と、加速度の変更です。
光の波長改変は、空間魔術師のいうところのスギ花粉光子が、何回角を生やすか変化させるだけですので、変換効率が良いです。
しかしこれから得られる効果は魔術師の想像次第で無限に広がります。
例えば初歩として、光の波長をそろえスクイーズド光を超えたコヒーレント光を作ることができます。
つまり、真空空間なら減衰のないレーザー光ができます・・・?
実際には、1日1発の射程で12億km程度になるとは思います・・・発射から着弾の光景が光で帰ってくるのに丸一日かかります・・・あまり意味はありませんが。
でも標的に打ち込んでも原子よりはるかに細い穴があくだけです。
つまり生体に影響が出くことはほとんどありません。
しかし通信用に変換したりできるなら・・・大容量のデータ通信が可能です。
「思ったよりしょぼいな。」
「フフフ、この後を聞いてもそう言えるかしら?」
光の波長を変えられる最大の利点は、視覚の欺瞞です。
色は特定の光の波長です。
それを他の波長に変えれば当然、別の色に見えます。
さらに変化させて視覚識別外の長波長や短波長に変えると・・・見えなくなります。
つまり光や色彩のすべてを変化させて、対象に思うままの景色を見せることが可能です。
ただし、対象は1個体に限ります。
いうまでもありませんが、色の認識は個人によって異なります。
あくまでも色は後天的な経験記憶ですので、他人の頭の中で認識される色は、自分で認識している色と異なることを理解しておく必要があります。
つまり「血は赤い」ということはわかっていても、他人の頭の中をテレビで映し出すと自分には緑に見える色で認識されているということが起こりえます。
一番簡単な例で言うなら光は3原色か、4原色かということがあります。
光を感じる錐体が3つの場合3原色、人類の中に25%いるといわれる4錐体の場合は4原色になります。
当然、頭の中の風景は変わりますよね。
これを反応を見ながら調整し、さらに錐体のみでなく桿体の調整まで行う場合には(明度の補正)すでに芸の領域に達します。
ここまでやって、やっと完全な幻影が作れるのですが・・・せいぜい神託の時に相手に神を確信させる程度の能力しかありません。
「自分で言ってても、やっぱ・・・なんかしょぼい。」
「自分で言うな・・・姫さん。これってものすごいことなんだぞ。」
「ほんとにそう思う?」
「うーん・・・たぶん、すごい使い道をアーシアなら思いつくんじゃないか?」
「そうね、今度、相談しよう。」
あと神託の時に使う音なのですが、実は空間魔術系の方が得意です。
これは音波などといわれているので勘違いするのですが、音は連続的な空気の密度変化により生じる、鼓膜の運動を認識するもので、あくまでも空間の重量変化に基づくものです。
このため音に関しては空間魔術で行った方が楽です。
これを時間魔法でやろうとすると、鼓膜の加減速運動を空間での時間流の調整による振動幅の制御などという面倒なことになります。
操作自体は簡単なので複数いけるでしょうが・・・実際に音を鳴らした方が楽です。
空間魔法なら・・・自分で喋ってそれをコピーした空間を目標の近くに置けば複数が勝手に聞き取ります。
どっちが簡単かは言うまでもないですよね。
「おかげで色素全損しました。」
「ニャア(右に同じ)」
「意外に空間魔法って使い勝手がいいんだな。」
「努力が足りないよ。弟子。」
「うるせい。正確には孫弟子だろう。」
「・・・まあ、そうだけど・・・」
「孫っていうと齢を感じるからって、弟子としかよばせないだけじゃないか。」
=バシュ=
「おっと、どこからか釘バットが飛んできたーーー」
「・・・てめぇ・・・」
「大丈夫グリップからあて・・・あたったから」
このように単一の物質なら自由に操作できるのは時間系魔術の特徴です。
基本は重力の加速度を利用します。
つまり重力を示す9.8kg/s2のsをいじることで思うままの結果が得られます。
例えばSを10倍にすれば100G、10分の1にすれば0.01Gになります。
これが地表に会った場合どうなるか・・・50kgの氷で考えてみます。
前者は頭上から突然5tのおもりが降ってきた場合・・・まあいうまでもありません。
後者は地面との反発を考えると99G相当の速度で上に打ち出されます。
・・・怖いですねー
一番怖いのは一つと認識できるものなら、大きさに関係なくやれちゃうとこです。
「姫さん、それってどんな大きさだ?」
「うーんとね、純度の高い化合物か元素で構成された連続する固体なら無制限かな。」
「・・・さっきの釘バットどうやって飛ばした!」
「あれは釘1本しか操作してないの。だから平気でしょ。」
「バットなら飛んでこなかったってことか・・・考えが怖い。」
「だから釘バットなのよ。」
えーとつまり簡単に超電磁砲ができます・・・レールガンって入力したら超電磁砲って変換したwww(作者驚愕中)
まあ本当はPPCの方が正しいのでしょうが。和名だと粒子加速砲か。
操作できる時間は個人の才能による部分が大きく、妾の場合には10の±3乗程度が可能だが、クレイステネスはせいぜい10~10分の1が限界だった。
「クレイステネス・・・何もかもがなつかしい・・・」
「そのセリフを言うとは・・・」
「そのうち銅像をバリバリと破って出てくるかもな。」
「いや、こっちメタだから・・・あり得るんだって・・・・」
「じゃあ、銅像を「アテナイが見える丘公園」にでも建てておくか。」
ということで魔術講座実用篇Ⅱを終わります。
お相手は妾レイチェルと、
「5回目にして、やっといえるな、ヘラ・・・ニャー・・・・です。おい」
「・・・・時間魔術だとこれが精いっぱい。ちゃんちゃん。」
「ニャア」