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小惑星とか周波数とか……混乱しちゃうんです!

蓄音機が宙に浮かんでいる。

昔ながらの木製の土台にラッパ口を携えたそれは俺の目の前まで来ると、音楽を奏ではじめた。


「……!?」


この曲は……どうして。


「ど、どないしたんや、そもそもなんで、そんなもん浮いとんねん、なんかの祟りか、お化けの仕業ちゃうやろな!」


西寺が大声で捲し立てるのをよそに、俺はただ呟いた。


「お兄……ちゃん?」


すると突然曲はある一部分のループを繰り返し始めた。


「たすけ……たすけ……たすけ……」


そしてぽとりと地面に落ちて、おとを奏でるのを止めた。

西寺が落ちていた棒を拾って、蓄音機を恐る恐るつつく。

俺がその様子を見ながらひとり考えていると後ろで声がした。


「ゆういち! 来てた!」


例の魔女がピョコピョコと軽い足取りで蓄音機まで歩みを進めるとラッパの口の部分を子どもをあやすようによしよしとなで始めた。

まるで周りの凄惨な状況など見えていないかのようだ。


「兄貴の声がした、ゆういちの」


俺が魔女にそう言うと、魔女は何度も頷いた。


「ゆういち、言ってた、しょーわくせいのしゅーはすうで滅びるって」


小惑星、周波数……。


「まあ、確かにな小学生はまだ声変わりまえやからな、しゃあないわ」


何か勘違いしている西寺はしきりに頷いている。


「小惑星だよ、小惑星スオーニ」


「あ……分かっとるで、ボケただけや」


「なんだよ、意外に余裕あるな」


「原因が分かればそないに恐い話ちゃうわな、惑星の発するなんかの電波でみんな頭おかしくなって、死んでもうたわけや! ハハハ! めちゃめちゃ恐いやないかい!!!」


二秒ごとに感情を右往左往させる西寺。

どうやら神経が相当参ってるようだ。


「でも、なんで俺たちだけ助かったんだ……まさか」


俺は魔女を自称するその女を見つめた。

女は蓄音機を背にこちらを見上げて言った。


「はやく! 三時間しかないっ!」


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