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◆ エピローグ ◆
自分の事を理解している人なんて、そうそういないだろうけど…
僕には唯一解っていることがある。
他人を理解するのに時間がかかるように、恋愛においても僕の中には「ひとめぼれ」と言う感情は有り得ない。
相手を理解し、好きという感情を認めるまでに時間が必要なのである。
そう…
彼女に逢うまでは…
僕の意識は彼女に全て向けられていた…
目と目が合ったその瞬間の恍惚感を思い出す。
僕はひとめで恋に落ちた…
この世に「ひとめぼれ」が有り得ると知った初めての瞬間だった。
僕は30歳になっていた…
そう…
あれからずっと…
これからもずっと…
僕は恋に落ちている。
ー fin ー




