[1]一目惚れ
ピーッピーッピーッ
ケータイのアラームで目が覚めた。ちょうど9時だ。9時半から大学の講義が始まる。休もうか。いや今年こそは単位取んねーと。
俺の名前は山田亮、大学2年生だ。去年は遊びすぎたって訳でもないんだけど単位を落とし過ぎちゃって実家の親にこっぴどく叱らて今年はまじめに学校へいこうかと思ってんだ。ちなみに今日は初授業だから遅刻しないようにいそがなきゃ。校内を歩いてると前に待ち合わせをしていたであろう2人組の女の子がいた。
「あっ有紀!おはよう!」
「あっ聡美〜!!おはよう〜!遅れてゴメンネェ〜!」
「私も今きたとこだからいいよ!教室いこ。」
俺は教室に向かってく聡美っていう娘に釘付けになった。そして心臓がすごい大きな音でなっていることに気づいた。
「あんなかわいい娘いたんだ。」
ぼーっとしているうちに、‘キーンコーンカーンコーン’
ふと我にかえった。
「やっべっいそがねーと!」
俺は教室まで走った。教室に向かってる時もずっと“聡美”っていう娘が気になっていた。
「ハァハァ。やべっ先生きてるよ。こっそり入ってこ」
「ぉーぃ亮こっちこっち!」
と小声で呼ぶのは友達の小柳 翔平。
「おまえ今年も単位落とすか?」
「今日はちょっと理由があるんだよ!」
「理由って何だよ?」
「いっいや大したことじゃねえよ!」
「気になるじゃねーかよ!言えよ!」
「いやほんと大したことじゃ……っ!」
俺が言葉を発そうとした瞬間思いがけない人物が目に入った。今朝、校内にいた“聡美”本人だった。
「亮?どうしたんだよおまえ?さっきからほんと変だぞ。」
「あっわりぃわりぃ…」
(あの娘この授業とってたんだ…やっぱりかわいいな…)
「恋か?」
ぼそっと翔平がつぶやいた。
「えっ!?ちっちげーよ!!なんだよ急に!」
「おまえわかりやすいな。でどこの誰だよ?」
「ぃゃ、俺も詳しいことは……」
「はぁっ?それどういうこと?」
俺は翔平に“聡美”のことを話した。
「ふーん…その“聡美”って娘に一目惚れしたのか〜でどんな感じの娘なんだよ?」
「…この教室にいるんだ…」
「へぇ〜この教室にねぇ〜……ええぇっ!?ここにいんの?どこだよ!?」
「俺らが座ってる列の奥から3番目の娘だよ。」
「………あの娘か!かわいいじゃん!でも俺は一緒にしゃべってる娘の方がいいかな!」
それからちょっとして先生が
「それではみなさん今座ってる席の列ごとでグループになって環境について討論してください。」
「……マジ!?」
「おい亮!!チャンスだぞ!聡美ちゃんと一緒のグループだからな!」
「おっおう!」
それから俺達はグループ毎に分かれた。グループの人数は8人だった。
「それじゃひとまず自己紹介しますか!俺は小柳翔平っていいます!よろしくです!」
しきりたがりやの翔平。こういうときは本当にありがたい。
俺はこういうのはちょっと苦手だ。
「あっ山田亮です。よろしくお願いします。」
そしてほかの人達の自己紹介が終わった。
次は“聡美”と一緒にいた娘の番だ。
「じゃ次は私の番か。えっと私は二宮有紀っていいま〜す。よろしくお願いしま〜す♪」
(なんかこの子翔平と気が合いそうだな)
「私は夏山聡美っていいます。よろしくお願いします。」
夏山聡美、俺は改めてこの娘のことが好きなんだと感じた。