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TO BE BORN
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明かりを落とした広々とした空間。其処には、祭壇が設けられていた。
祭壇の上には、死人の腹から取り出された、臍の緒を垂らした嬰児。
息をしている事は、幽かに上下する小さな躯が伝えている。
額に緋い液体を細く受け、貌は緋に染め上げられていた。
泣く事もしない。人形のようにただ在るだけ。
嬰児に血を垂らしているのは、黒いスータンを纏った祭司だ。
祭司は告げる。
「機が熟した曉には、我等が神は復活を遂げるであろう。」
静かだった部屋に、おおおっと云う、どよめきが沸き起こった。
そう、壇下の暗がりには、幾人もの人々が居たのだ。
人々、信者と云うべきだろうか、彼等は祭司の言葉に狂喜した。
――――我らが神に祈りを。
――――我らが神に御贄を。
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