汚い夢
極彩色の空から降るのは胎児。
べチャべチャと音を立てて地面に落ちる。
そんな空を見て僕は呟く。
「ああ、いい天気だな」
そうして僕はバットをフルスイングする。目の前に座っていた酔っ払いの頭が破裂する。
「坊主、ありがとな」
「当然のことをしたまでです」
首から上を失くした酔っ払いが元気に歩いていく。いいことをした。
僕は帰りに墓地による。なんてことはない寄り道だ。
「いらっしゃいませ」
朽ち果てた死体が出迎える。今日の死体は粋がいい。
「水子と目玉の串焼きをお願いします」
「少々お待ち下さい」
そうして死体は墓を暴きだす。
「変態!」
突然の事に驚いた腐乱死体が喚きだす。
「うるせえ!黙ってろ!」
死体は腕をもぎ足をもぎ。四肢をもぐことで抵抗を出来なくする。
「私は芋虫です」
「よし、いい子だ」
そうして顔に16個あるうちの8個を抉りだす。
それから死体は自分の肋骨を取り出して串刺しにする。
「はい、さきに串焼きね」
「ありがとうございます」
僕は水子を待っている間に齧る。視神経の繋がった新鮮な目玉はとてもプリプリしていておいしい。水晶体を舌で転がして硝子体を啜る。少し硬い角膜は噛みきれないのでそのまま飲みこむ。
墓地の奥では妊婦が腹を殴られていた。
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
泣いて喜ぶ妊婦。暴行を加える死体たち。
妊婦の股から水が出る。羊水の匂いが立ち込めて食欲をそそる。
死んだ赤ん坊が動きだす。
「ケタケタケタケタ」
「はいはい」
そうして僕に差しだされる。
ぐにゃぐにゃした柔らかい身体にかぶりつく。
「ケタケタケタケタ」
「水子の踊り喰いだね」
僕は喜んで齧る。骨も柔らかいので残さず食べた。
「お代はいくら?」
「貴方の脳みそと睾丸を一つ」
「わあ安い!」
僕は頭をかち割った。どろりと赤い液体が溢れ出す。構わず掻きまわすと、豆腐みたいに柔らかい物体をそーっと取り出す。
「早くしろよ!」
「分かりました」
そうして僕は自分の脳を握りつぶした。
それからズボンを脱ぐ。解放感に踊りだす。
それからハサミを取り出して片方の睾丸を抉りだす。
「どうぞ」
「どうも」
僕は家路に着く。
家の前では大家さんが首をつっていた。
「大家さんただいま」
「やあ、御帰り」
擦れ違い様に大家さんの腹を殴る。大家さんの肛門から人の指が出てきた。
僕はそれを拾って自分の部屋まで行く。
僕は拾った指を扉の前にある頭蓋骨の眼窩に入れる。
「どうぞお入りください」
「ただいま」
僕は扉を開ける。
開いた先には見なれない空間が。
「なんて汚い世界だろう」
そうして僕は扉を閉める。
醒めない夢から覚めないように。