14話
誰にも受け入れてもらえないのってとてもつらいですよね。
現実ではそうあることではないけれど、実際に起こったらレイ君みたいになってしまうかも。
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『かあさーん!』
『レ、レイ?!その血はいったいどうしたの?!』
『こーえんであそんでたらねー、おっきないぬがおそってきたの!だからねー、やっつけた!』
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『ちょっと!お宅のお子さんどうなってるのよッ!三ヵ所も骨折させるなんて子供の喧嘩じゃないわよ!うちの子もしかしたら足に後遺症が残るかもしれないって言われたのよ?!どーしてくれるの?!』
『本当に申し訳ございません! ッ!!あんたがいけないんでしょう!もっと謝りなさい!!』
『ぐすっ....ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!』
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『おいおい、お前いいもん持ってるな。俺たちによこせよ!』
『ダ、ダメッ!それはお母さんに買ってもらったの!かえしてよぉ...う、うええぇぇん』
『レ、レイくん、どうしよう?みさきちゃん泣いちゃったよぉ。』
『....おい!お前ら!みさきのペンダントを返せよ!』
『なんだよっ?!俺らに逆らうのか?!』
............、
『うわぁぁ、やめてっ!ぎゃあああああああああああああああああああ』
............、
『ほら、みさき、取り返してやったぞ!』
『ひ、ひいっ。こっちに来ないでぇッ!!』
『え?ど、どうしたんだよ?!ま、待ってよ』
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『あなた、あの子やっぱりおかしいわ!この前だって近所の年上の子に大けがさせたって......もう私耐えられない!今度この子が生まれたら、あの子に殺されるかもしれないわ!』
『お前、それはさすがに....』
『無理だわ...もう無理よ..』
『....わかった』
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『レイ君、ここが君の新しいお家ですよ』
『どうして?おとうさんとおかあさんは?』
『これからはここの皆が家族なんですよ』
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『お前ぇっ、またやったのかぁっ!』
『ち、違うんだよ!街の奴らが施設の子たちに石を投げて......』
『言い訳なんてするんじゃねぇっ!てめえなんか両親の寄付金がなければ追い出してるっつーんだよ!』
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『みんな転入生の桐谷だ。仲良くしてやってくれ』
『なぁ、お前どっから来たんだよ?俺はたかし!よろしくな!』
『レイ君てかっこいいね!彼女とかいるの?』
..........。
『『ははははははっ。あっ』』
『んなにすんだこんガキゃあっ!』
『どない落とし前つけんねん?あぁ?』
『ひっ、ごめんなさい!ごめんなさ...ぐえっ』
『たかし、大丈夫っ?!ちょっ、やめて!離してください!いやぁあ!レイくんっ、レイくんっ、助けてッ!!』
『ん?なんじゃクソガキぃ!お前もぶっ殺されたいんかい?...なっ?!俺の腕がっ!うでがぁぁああ...ぐうぉえっ』
『お、おいっ!てめぇなにしやがる!おい、お前ら殺るぞ!...ぐぎゃああああ』
『や、やめてくれぇえ....がはぁっ』
『きゃああああああああああああ』
..........。
『二人とも...大丈夫?』
『な、なんなんだよお前っ?!』
『ひいっ、血がそんなにっ!嫌ぁ、来ないで!来るなぁああああああ!』
『...わかった...ごめんな』
.....。
............。
........................。
「ッ!!....はァ、はァ、はァ.......」
気づけば幾度も繰り返し繰り返し見るようになっていた夢から目覚める。
夢と言えばこの悪夢しか見ないようになってからいったいどれほどになるだろうか。
月の光だけが届く部屋。
真ん中に置かれたベッドに横たわっていた男はゆっくりと体を起し、傍の机に置かれた水差しに手を伸ばす。
ゴクゴク―、と水を飲み干し、顔を上げる。
月明かりにぼうっと白く照らされた男の顔は、未だ誰も見せたことがないほど弱々しく。
その口から紡がれる音の束は、聞き取るのも困難なほどか細く、震えていた。
「...誰かっ....俺を.............」
―いったい何がきっかけとなり、
―この男がいつから人に関心を持たなくなったのか、
―人と深く関わろうとするのを避けるようになったのか、
―そしてそれはいつまで続くのか、
.....答えを知る者はどこにもいない。
これからすこーしずつ明るくなっていきまーす