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一握りの距離  作者: コウ
10/12

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 翌日。

 俺は和也と姉貴を会わせるべく、二人で和也の家へと足を運んだ。

 姉貴に和也のことや、遊んだ内容を話して聞かせながら歩いていると、向かいから見慣れた姿が近づいてきた。

 ふらふらと頼りない足取りは、出会った頃のように。だが、治りかけていた傷とは別の傷が、和也の身体に新しく刻み込まれていた。

「何があったんだよ!」

 俺は声を張り上げながら和也に駆け寄った。と同時に、遠くからこちらを見つめていた数人の子供たち――おそらく和也と同世代だろう――が踵を返して走り去るのが見えた。

 あいつらだ。

 あいつらにやられたんだ。

 和也から詳しく問いたださなくとも、容易に理解出来た。

 俺の背後に、一足遅れで姉貴の気配を感じた。

 和也は、大丈夫だよと小さく呟くと、握り締めた左手を広げて見せた。

「見て、ほら。木の精霊を捕まえたんだ。初めて捕まえたから、亘にも早く見せたかったんだ」

 ざり、と後ろに立つ姉貴の足音が聞こえた。


「あんな変な子と一緒にいたら、亘までおかしくなっちゃうわ!」

 俺の腕を強引に引っ張り一緒に家に戻ると、すぐさま姉貴は両親に一部始終を話して聞かせた。両親の表情は、雲が落とした影のように暗い。

「ちょっと変わってはいるんだけどね、真奈ちゃん。和也くんはとってもいい子なんだよ」

 ばあちゃんが和也の言動をかばう。

「亘ちゃんも、和也くんとそりゃあ楽しそうに遊んでいたよ。友達になったんだもんねぇ」

 そう言いながら俺の顔を、気持ちを伺った。

 細められた瞳の奥に、鋭い光が輝いている。何故だか責められているようで、ぞわりと毛が逆立った。

「でも、私あんなこと言う子、気持ち悪い! だからいじめられてんじゃないの?」

「真奈ちゃん!」

 感情が高ぶった姉貴を、ばあちゃんが怒気を込めて制した。


 俺は、姉貴の言葉と両親の表情、そして、はにかんだ和也の笑顔が浮かんでは消え、様々な思考と感情がぐちゃぐちゃになって、頭の中が混乱していた。

 結局、「明日の昼前、みんなで家に帰ろう」と言う父さんの一言で話は終わった。




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