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お姫様のガーディアン  作者: 河野 る宇
◆第5章
16/19

*レオン皇子

「やあ、こんにちは。ノエル王女はご機嫌麗しく」

「……レオン皇子」

 ランカーは絞り出すような声で、その青年の名を口にした。艶のある漆黒の髪をさらりと流し、切れ長の目でランカーを見たレオン皇子は、ベリルを一瞥する。

「君が雇ったその男、少し調べさせてもらったよ。まさか傭兵なんて使い物になるとでも思ったのかい?」

 フフン……と鼻で笑った。

「君たちの情報は筒抜けなんだよ。だから、先手を打たせてもらった」

「!」

 内通者がいるという事なのか? ランカーとアライアは驚いたが、彼が言っている情報はベリルがホテルに乗り込む事じゃなく「ガードを雇う」という部分なのだろう。

 その情報なら簡単に入手できる。

 王女の拉致に失敗した部下たちに業を煮やし、短気な皇子は先に仕掛けてきたのだ。

「ベリル、だっけ?」

 レオンはベリルをやや見下ろし、冷ややかに見つめる。

「いくら傭兵の間では『素晴らしき傭兵』と呼ばれてたって、こっちの世界の事はシロウトだろ」

 自分より少し背の低いベリルに警戒心すら湧かないのだろう、彼はそれに苦笑いを返した。

 そしてベリルは、自分たちに銃を構えている男たちをゆっくり一瞥していく。

「さあ、王女。俺の元に」

 レオンはニヤけた顔をノエルに向けた。

「い、嫌です!」

 皇子の片眉がピクリと動く。

 今は丁寧な対応をしている皇子だが、その本性をいつ現すのか解らない……アライアとランカーは王女が殴られはしないかとビクついた。

「ダグ、何を持っている」

 ベリルが小声で隣にいるダグラスに問いかける。

「今あるのはナイフ2本とハンドガン1丁」

「どちらが先だ」

 訊かれた青年は少し目線を上に向けた。

「先に出せるのはナイフ」

 次にアキトに問いかける。

「アキト、すぐに動けるか」

「まあなんとか」

 確認したベリルは、少し目を据わらせてレオン皇子を一瞥した。

「私は正面の3人。お前たちはそれぞれ左右で5人」

「残りのやつは?」

「大丈夫だよ。こっちが攻撃したら動揺するからその間に前をやって、後回しね」

 アキトの質問にダグラスが応えた。

「レオン皇子」

「!」

 声をかけられた皇子は鬱陶しそうにベリルに近寄り、顔を向ける。

「なんだ?」

「私の事を調べたと言っていたが。どうやってかな」

 その問いかけに、ああ……と小さく声を上げる。

「そんなもの、普通に調べれば出てくるだろう」

 レオンの言葉に、ベリルはクスッと笑みをこぼしダグラスは鼻で笑った。

「何がおかしい」

 2人の反応にカチンと来たレオンにダグラスが応える。

「だってねぇ。普通に調べただけじゃあ、俺たちのコトはほとんど解らないよ」

「なんだと?」

「そうそう。信用のおけない相手に、簡単に個人情報教えるほど、俺たちは甘くないワケ」

 アキトも同意するように口を開いた。

「それに……」

 ダグラスは付け加えるように続ける。

「ベリルのその名は、伊達じゃないよ」

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