私の名前はサクラ・バートリッチ、 可愛くて最強のメイド剣士になる
とても可愛く華奢なイメージの女の子が、大切な人を守る為に武術の訓練に励みます。主人公のサクラが大好なのは「姉妹のマリー」と「ラーメン」というお茶目な子です。サクラが運命の相手と出会うまでの前日譚です。
主人公のサクラは『天才ラーメン王、全てを失い異世界で無双する』のメインキャラクターの一人です。その物語に本作品は繋がっています。そちらもお読みいただければ嬉しいです。
「サクラ、ふざけているのか!」
「真剣な覚悟を持った私達に失礼とは思わないのか」
「どう考えてもサクラがこの特別科に入れたのは変だろう」
「別にふざけていませんよ。私も真剣ですよ~」
「君たち、授業の初日から何を騒いでいる!」
ここは、グルンジ王国最高権威の学校『王立天海聖真校』の武術研究・実践武術特別科の教室だ。この学校の生徒は12歳になると優れた生徒のみが高級学年に進める。振り落とされた生徒は他の学校に転校することになる。
高級学年に進むと特別科を1科目以上選択することが必須だ。しかし、武術研究・実践武術特別科は、適正検査が厳しく、検査通過は難関を極める。今年は8人の生徒のみが入科を許可された。
「君、何を騒いでいるか言いなさい」
声を出したのは武術研究教師のサムラ・ゴードンだ。小柄で細身で眼鏡をかけている。この教師の仕事に就いて今日が初仕事だ。青髪の33歳だ。
「この弱々しいサクラが武術の適正検査を通ったのはおかしいと言いました」
答えた生徒は、ロック・ミュラーだ。
(ミュラー公爵家の親族で巨漢 長い茶色の髪がトレードマーク)
「私もそう思いました」「私も」
その答えに頷いたのは、ドス・マルタンだ。
(マルタン公爵家の親族で筋肉質の肉体が自慢 青髪)
もう1人頷いたのは、アラン・アディだ。
(宝石商の三男で巨漢 茶髪)
「3人の先生で手分けして適正検査をした。サクラ・バートリッチ嬢を検査したのは私だ」
「…」「…」「……」
「君たち3人は、私が何か不正をしてサクラ嬢を入れたと言いたげだな」
「いえ、そこまでは…」
「私はサムラ・ゴードンだ。私を甘く見るな」
サムラが木剣を軽く振った瞬間、教室に風が吹いた。
名前を聞いて生徒たちは驚いた。サムラはこの特別科の大先輩だ。彼の4回生最後の実践試験での活躍は伝説になっている。10人の相手に囲まれた時に、相手を何人か倒しながらどう逃げ切るかを競う試験だ。サムラは一瞬で10人同時に倒してしまった。その倒された10人の中には2人の教官も含まれていたのだ。
「授業に入る前に証明しよう」
ロック、ドス、アランに、後ろの壁に掛けてある木剣を手に取らせた。
「それでサクラを倒してみろ。3人同時で構わん」
「サクラは木剣を持つな。避けるだけでよい」
「先生、分かりました。でも、倒したいです」
そう言って笑顔を見せたサクラに、ロックは腹が立った。サクラに猛然と向かって木剣を振り下ろした。何度もひらりとかわされた。遅れて、ドスとアランも木剣を構えてサクラを取り囲んだ。
「えへっ」
また笑ったサクラに3人とも怒った。3人が木剣を振り下ろした。サクラはアランが振り下ろすより一瞬早くアラン足元に沈み込み足を払った。バランスを崩したアランが前のめりになって木剣を振り下ろしてしまった、3人は同士討ちの形になり倒れた。
「イテテテ」「何でアランが突っ込んできた!」「うー 痛いな」
… 全てサクラが誘導して3人を同士討ちにさせた。あのサクラの一瞬のスピードは私よりも上だ。恐ろしい子だ。だが教えるのがとても楽しみだ …
「余興は終わりだ。授業を始める。準備しなさい」
武術研究・実践武術特別科の教室は武術訓練をする為の広大な空間だ。ここでは、壁の大きな引き戸を開け、自分が使用する机と椅子を運んで武術研究の授業を受けるのが伝統だ。
サクラの特別科の同期生、他の4人。
カール・グルム (グルンジ王国第三王子 金銀髪)
エミ・ロッシ (ロッシ公爵家の養子 やや筋肉質 金髪)
セス・モーガン (モーガン公爵家の養子 長身 赤髪)
バリー・サリバン(サリバン公爵家の親戚 筋肉質 緑髪)
1回生~4回生まで同じメンバーで学ぶ。
「今日の授業はこれで終わりだ。先ほど課題を与えた素振りの練習しておくように」
10日後より、実践武術の授業が始まる。
…………
「いよいよ今日から実践武術だ」
武術研究のサムラ教師は、実践武術の授業も必ず立ち会うことになっている。
「4年間君たちを指導する先生を紹介する」
「実践武術指導教官長のクノ・イチラク先生だ」
みんなが溜め息をついた。グルンジ王国歴代最高と云われた女剣士ケイに続く強い女剣士と評判の先生だ。溜め息をついたのは、回級昇格試験が厳しいと評判だからだ。
「もう1人の指導教官は、デスラ・キングス先生だ」
今度はザワツキ出した。
「なんで…」
「デス・キングだ」
この先生の指導は生徒にとっては恐怖でしかない。指導法の厳しさは先輩たちから聞いていた。
「お前たち、うるさいぞ!」
デスラの一喝で静かになった。実践武術の最初の授業はデスラが担当だ。彼が適正検査を通した生徒は、ロック、ドス、アラン、それにバリーの4人だ。巨漢や筋肉質の身体でいかにも強そうな人選をした。他の4人は彼の好みではない。
「課題の剣を振る練習の成果を見せてもらう。その前に、全員、俺に手を見せろ」
カール王子とサクラの手は豆も腫れもなかった。他の生徒は10日間しっかりと素振りをした努力が手に現れていた。カールは特殊な手袋をして練習したと、手袋をデスラに見せて納得させた。しかし、サクラは手袋もせず練習に励んだというが…
「サクラ、お前のその美しい手で本当に練習したとは誰が信じる! 嘘だな」
「デスラ先生! 私のこの手は豆ができません。良い手でしょう。うふっ」
「信じられるか!」
「私は信じますよ。やはり私が立ち会っていてよかった」
「サムラ先輩が言うなら、実際にやってもらいます」
広い空間の一角に生徒の背丈より高く大きな切株が置かれている。この世界で最も堅い木の〘黒ギガ木〙の切株で、回りに大小の枝が付いているままだ。木の繊維の密度は高く、金属のように堅く重いと言われている。
デスラの素振りの課題は、「右斜め上からの振りおろし」「左斜め上からの振りおろし」「正面から垂直の振りおろし」だ。最初の2振りで枝を落とし、最後の1振りで切株にどれだけ深く傷をつけられるかを試される。
枝といっても、この堅さだと普通では細い枝でも落とすことは難しい。使用する木剣は教室の中にあるものから好きに選んで使用できる。サクラ以外は黒ギガ木で作られた木剣を選んだ。サクラが木剣選びに迷っているとサムラがアドバイスをした。黒ギガ木より柔らかく軽くて小さな木剣を推薦した。
「まず、カール王子からだ。ここでは王子と言ってはダメだったな。カールやれ」
カールが選んだ黒ギガ木の木剣は比較的細目のものだ。左右の中太の枝を落とし、切株中央に深くしっかりと傷をつけた。カールに続いて、エミとセスも同じ成果だ。この3人は実践武術教官長のクノが適正検査を通した。腕力・体力・技量、そして思考力の優秀な生徒を選んだ。
「お前たち、なかなかやるな。予想以上だ!」
「ありがとうございます」
「次は、俺が選んだ生徒の番だ」
デスラが選んだ4人の生徒たちは、黒ギガ木の一番太く大きな木剣を選んだ。ロックは大きな声を上げて、左右の太い枝を1本ずつ落とした。最後に振り下ろした一撃は切株の広い面積に傷をつけたが深い傷はつかなかった。振り下ろした木剣が弾かれた感じだ。ドス、アラン、バリーも同じ成果だ。ただ、4人の木剣はボロボロになった。
「うーん、まずまずだな。気合は十分だった」
「はい!」「ありがとうございます」
「それでは、最後はサクラの番だ。その柔らかい小さな木剣で、少しでも傷をつけたら大目に見てやる。授業を受けるのを許す。ははは!」
切株の太い枝と中太の枝は、7人の生徒たちによって落とされている。残ったのは細い枝が左右に数本あるのみだ。
「その細い枝を1本でも落とせたら同期の生徒と認めてやる」
「むふふ、無理だな。これでサクラはこの教室とお別れだな」
「そうだ、お別れだ」
囃し立てるロックたちを無視してサクラは微笑んだ。
「デスラ先生、この切株、壊してもいいですね」
「ああ、う、何をバカなことを言っている? 速くやれ!」
サクラが軽く振ったように見えた。その木剣の2振りで左右の小枝は全て切り落とされた。次に大きくジャンプして真上から木剣を振り下ろした。着地して振り向き皆の方を見たサクラは笑った。
「あー、やってしまいました。えへっ!」
皆が笑った。傷一つ無い。
「やってしまったな。失敗だ、ははは!」
「小枝を落としただけでも褒めるよ」
「そうだな」
「さすがに切株本体は無理だったな」
「少しでも傷がついたか調べてやるよ」
「ふふ、そうだな」
「近づかないで! 危ないですよ」
「うわぁぁぁぁぁー」「びっくりした!」
「危ないって言ったでしょう えへっ」
ロックたち4人が近づく前に、大きな切株が真っ二つに割れ左右に倒れた。4人は驚いて尻餅をついた。
「なんてことだ。サクラ、あなたは何者だ」
ここまで、一言も発してなかった実践武術教官長のクノが声を上げた。サムラ先輩から今年指導してみたい生徒は、サクラ・バートリッチという娘一人だと聞いていた。しかしこれほどの逸材とは驚いた。今年の1回生の授業は面白くなりそうだ。
このサクラに驚かなかったのは2人だ。
カール王子は、この学校の小級学年に入る前からサクラと遊んでいた幼馴染みだ。サクラと木剣で戦い遊びをしたが、勝ったことはなかった。お城や公爵邸の庭園でサクラが剣を振って色々なモノを壊してしまい、カールはサクラの身代わりになって叱られる役を引き受けていた。あんな切株、サクラなら簡単にぶっ壊す!
サムラの本職は、王国軍の戦略研究と近衛兵団の防御技術向上の指導官だ。ある時、王城に呼び出しを受けた。国王から可愛がっているサクラという娘が武術研究・実践武術特別科に入科をしたいといっていると聞かされた。その娘は大切な人を守る為に剣士になりたいという。娘の力量は私が保証する。おまえなら会えば分かる。『自分の力を制御させる指導をするのはお前が適任だ』と国王の勅命を受けた。
まだ、納得していないのはデスラだ。一度は驚いて「凄い!」と大声を上げたが、二つになった切株を見ながら言った。
「俺が選んだ4人の生徒の一撃で切株の内部に亀裂がすでに入っていた。きっとそうだ」
4人の生徒が続いた。
「デスラ先生、そうですよね」
「その状態でサクラが斬っただけ」
「運が良かっただけだ」
「そうだ、そうだ」
◦◦◦◦◦◦◦◦◦
「サクラ、マリー こっちだ!」
カール第三王子に呼ばれてやって来た場所は、天井が高く無数の柱が建っている摩訶不思議な空間の建物だ。
「うわー! 驚きました」
「凄いわ、この建物」
「サクラ、悪いな、実践武術の授業の後に呼び出して」
「大丈夫ですよ」
「マリーも来てくれてありがとう」
「どういたしまして。いやカール、今日はかしこまって変よ」
マリーは、アントーニ公爵家の令嬢だ。養子に入ったサクラとは姉妹として育った。王子のカールにとって同い年のこの姉妹は気を許せる唯一の存在だ。
カールが頭を悩ませているのはこの建物だ。
国王の王子教育の方針で、高級学年に進級し12歳を超えると、ビジネスを実践という形で勉強させる。王族といえども経営感覚を持たなくてはならないという考えだ。
そしてカールに与えられたのがこの不思議な建物だ。ここで好きなビジネスを始めろという課題だ。難題だ…
この国の1年は480日だ。地球の1年365日と比較してみると、12歳は16歳の年齢相当だ。高級学年の最終年の15歳は約20歳、16歳成人は約21歳の計算だ。
兄のアーサー第一王子は、『アーサー第一ホテル』を成功させ、今は第三ホテルまであり海外の要人御用達の人気ホテルになっている。
もう1人の兄、アンリ第二王子は、『アンリのレストラン』を開業させて、常に行列が出来る店になった。店ごとに料理のタイプを変えたアンリのレストランは7店まで拡大し繁盛している。
兄たちの成功がカールには大きなプレツシャーとなっている。まして、好きに使えと与えられたこの建物はユニーク過ぎる。
「それでか~ 今日の実践武術の授業、カールが元気なかった理由はこれか」
「悩んでいたのさ。マリー、サクラ、何か良いアイディアを出して欲しい」
「まず、カールの案を教えて」
「それがマリー、全くアイディアが浮かばないんだ」
回転しながら建物の空間を眺めていたサクラが声を出した。
「私の大好きなラーメンのスープの中に居るみたい! ラーメン屋さんを始めよう!」
「またサクラは… 適当なことを言ってはダメでしょう」
「えへっ」
この建物は、サギラ・インギラを教祖とする〘愛を信じて幸せになる教〙という新興宗教団体が建てたものだ。しかし、この建物がある一等地を利用するには制約がある。ホテル、飲食店、物販店などに土地利用の許可が下りる。サギラは王国の担当官に大型飲食店として申請を出して認められた。実際は建物の一角に小さな飲食店を作り、建物の大部分は宗教団体本部と集会に使う計画で秘密裡に内部建築を進めていた。
しかし、教団員の内部告発によりこの事実が明るみになって宗教団体本部建設は破綻した。建物は王国が安く買い取った。
大空間の無数の柱は、信者たちの高額なお布施で作られている。柱にはお布施を出した信者の名前が刻まれる予定だった。柱に名前が刻まれると愛ある人生が約束されるとの触れ込みで沢山のお布施を集った。
「サクラに言われたら、神殿の内部のように見えていた空間が、ラーメンの麺の間に自分が居るように感じる」
「カールまで、何を…」
「店名も決まりですよ」
王子の名前を使うことが必須。神ラーメンの最高峰を目指す。神殿のような、そして麺のような空間。これらを合わせると、この店名は天名だわ。
「《 カールの神ラーメン 》です!」
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1年後、サクラが冗談のように言い出したラーメン店のアイディアが実現して、王国で一番繁盛しているラーメン店になった。この成功には言い出したサクラが一番驚いている。
一方、実践武術の授業は、2回生への進級試験にサクラを含め全員の生徒が合格した。基礎練習授業が終了し、実際の対戦を想定した本格的な実践授業が始まった。
サクラのこれまでの1年間は、他の生徒とは別のカリキュラムが組まれ、サムラ先生とのマンツーマンの授業を受けた。それは切株を真っ二つに斬ったサクラの一撃を見てサムラが確信したからだ。もしあの時にサクラが他の生徒が使った黒ギガ木で作られた木剣を振るったら切株は粉々に飛び散り、その場にいた皆が怪我したかも知れなかった。
サムラは、「サクラ、このままでは誰かを守りたいどころか怪我をさせてしまうぞ」と言い聞かせて力を制御する方法を教えこんだ。サクラの筋肉は特別だ。普段はしっとり軟らかく美しく華奢に見えるが、気持ちが入ると鋼のような筋肉に変わり、握った剣までも変質して強くなってしまうのだ。
「もう完璧だ、サクラ。これからは皆と同じ授業を受けても構わない」
「やったぁー! サムラ先生ありがとうございます」
「やっと劣等生のサクラが戻って来たか。俺達の授業の足を引っ張るなよ」
嫌味を言ったロック・ミュラーは生徒のリーダーになっていた。デスラ・キングス教官の〘デス・キングのシゴキ〙と恐れられる訓練にも、ロックの励ましで全員が耐え抜いた。
「デスラ先生、今日の実践授業の課題は私が出しますが良いですか?」
この生徒たちはレベルが高い。4回生の卒業試験に近い内容の課題を出した。
自分達より強い1人の剣士に対して大勢で取り囲み、〔安全〕に〔確実〕に取り押さえるのが課題だ。取り押さえるまで木剣で相手を打っても構わない。しかし、味方の1人でも取り囲んだ相手に木剣で打たれたら失敗だ。
「サクラは中央の強い剣士役だ。他の生徒7人とデスラ先生の8人で取り囲め」
「やったぁー 面白い! えへっ」
「サムラ先輩、あっ先生、俺も必要ですか?」
不満なのはデスラだけではなく、生徒たちも一緒だ。辛いデスラのシゴキに耐え抜いて腕が上がった自信がある。別カリキュラムのサクラが強い剣士役とは納得がいかない。
「1年前の私達とは違いますよ」
「クレームは良い結果を出してから聞く。始めなさい!」
サクラを囲んだ8人の輪が徐々に小さくなり、逃げ場がない状況でサクラの姿が一瞬消えた。デスラ先生の足元に沈み込み、サクラが素早く振った木剣がデスラの向こう脛を軽く払うように打った。デスラは、つんのめるように前に倒れた。その上を軽くジャンプして輪の外に出て、軽く笑ったサクラを見た生徒たちは呆然としていた。
恥をかかされたデスラはムキになった。
「輪の中で教官の俺が攻撃をしてはいけないと自重していただけだ」
「そうですか、えへっ」
「今、一対一で対戦し、本当の武術とはどういうものか教えてやる!」
サクラはサムラ先生を見た。
「いいですよ、対戦して教えてもらいなさい」
「サクラ、手加減しないぞ。行くぞ!」
2回生相手に大人げないと思ったが、このままではデス・キングと恐れられていた自分の威厳が失われる。悪いが本気でやる。少し痛い目にあわせる。
パワーなら誰にも負けない。このパワーでサクラの木剣を叩き落とす。いや破壊してやる。デスラは渾身の力を込めて太く大きな木剣をサクラの細く短い木剣めがけて振り下ろした。しかし、何故か当たらない。何度も木剣を振ったが、あっさりとかわされた。
今度はフェイントかけた。やっと隙を見つけた! デスラは木剣を振るったが、サクラの木剣がデスラの手の甲に当たるのが一瞬早かった。思わずデスラは木剣を落とした。
「痛て!」
「隙ありですよ、デスラ先生」
「うー もう一回だ!」
「はい、お願いします」
嬉しそうなサクラの笑顔に腹が立った。木剣を破壊してサクラに傷を負わせないように考えたのが甘かった。今度こそ容赦しない。得意の上段斜め切りの技を使う。その威力の凄さからデス切りと恐れられた得意技だ。
「うぉー!」と気合を入れて技を繰り出した。しかし、またしても空振りだ。サクラに足元に潜られ足を木剣で払われ真後ろに倒れた。
「うううー もう一回だ!」
「はい」
結局何度やっても足や手を痛打されて完敗だ。10回目の「もう一回」に、サムラ先生から「それで最後にしましょう」と声がかかった。
今度は、初めてサクラから攻撃に出た、ジャンプして上段から攻撃を仕掛けた。そのスピードは木剣で受け止めるしかなかった。受け止めた木剣にヒビが入った。そして静かに崩れ落ちた。デスラも崩れ落ちるように膝を折った。
… 完璧だ … サムラは呟いた。サクラは力を制御する方法を完璧にマスターした。元々素質があったのだ。サクラはよく笑う。あの笑顔は力を制御するのに役立つ。
もう私はサクラに教えることは何もない。
「サクラ、素晴らしかった。完璧だった」
「ありがとうございます。えへっ」
「私の授業は卒業だ。そしてデスラ先生の授業も卒業だな」
「ええ~ まだ2回生の授業が始まったばかりですよ~」
◦◦◦◦◦◦◦◦◦
「2人の先生の授業から追い出されたと聞いたよ」
「違います!」
サクラと話しているのはアントーニ公爵邸で働いているサクラの教育係のセーラだ。厳しく、優しく、愛情たっぷりにお世話をしている。セーラの本当の名前はセリラ・カルミンという。サクラの祖母であるが事情があり偽名を使用している。その複雑な事情もサクラは聞かされて知っている。
サクラは赤子の時にアントーニ公爵夫妻の養女となり、長女のマリーと双子の姉妹のように大切に育てられた。しかし、セーラは常にサクラに厳しかった。それは秘密が発覚することを恐れたからだ。サクラが目立つことを極端に嫌がった。本当のサクラは優秀で学校の勉学でトップを取れる実力がある。マリーやカール第三王子より上の成績を取ってはいけないと釘を刺されている。
「何か悪戯をしたのだろう」
「卒業と言われました」
「卒業とは4回生になってからだろう。追い出されたと同じだよ」
「セリラおばぁちゃん、違うって」
「サクラ、おばぁちゃんと呼ぶな。その名前もダメだ。セーラと呼ぶのだ」
「呼ぶのは、このおばぁちゃんの部屋の中だけですよ」
「まったくサクラは… それと最近マリーお嬢様の部屋に入浸り過ぎです!」
アントーニ公爵夫妻は、実の娘とまったく同じ扱いをしてくれている。サクラは本当に幸せ者だ。しかし、それに甘えてはいけないと教育してきた。
「それだけは譲れません。私、マリーが大好きで一緒にいたいの。ふふ」
「マリーお嬢様に迷惑をかけないでね」
「はーい、もちろん。強くなってマリーを守るの。えへっ」
厳しいセーラもサクラの笑顔には勝てない。
「明日からの授業は一番受けたい内容で楽しみなの」
「目立たずにね。目立たずに頑張ってね」
◦◦◦◦◦◦◦◦◦
今日の実践武術の授業は教室ではなく外に出て行われる。毎年場所が変わる。今年は街の再開発予定地域で普段は立ち入り禁止になっている地区が選ばれた。
内容は、要人を守りながらこの地区の西端から東端にある円形の高い建物まで行くものだ。試験を受ける護衛役1名と要人役1名の2名一組で行動する。どちらかが傷ついたら失敗となる。
担当の先生はクノ・イチクラ教官長だ。もちろん立会人は教師のサムラ・ゴードンだ。
この要人警護授業は伝統がある。王国軍に配属された新人隊員が、要人や護衛を襲う賊役として派遣される。最後までたどり着いた生徒は過去に数名しかいない。失敗をさせるのが目的なのでそれでいいのだ。ここで、生徒の資質を確認して、生徒それぞれ個別の指導計画を作る。
「今日使用する剣は真剣だ。襲ってくる相手も木剣ではない、実戦用の剣だ」
生徒から少し離れた後からクノ先生とサムラ先生が見守りながら評価をする。そのさらに後にはもしもの時の医療救護隊が続く。
「自分だけ守るのと、誰かを守りながら自分も守るのは難易度が違う。特に2人で行動する場合の難易度は極めて高い」
「みんなルールは分かったな。どのルートを通っても構わない。頑張れ!」
この生徒たちは例年より優秀だ。前年までは目的の場所の半分までも進めず失格になる生徒が続出していた。今年は最後に残っているサクラを除いて全員が半分以上進んだ。
「最後はサクラだ。どこまで進めるか楽しみだ」
サクラが組んだのはエミ・ロッシだ。ロッシ公爵家の養子として優秀と評判の娘だ。先にエミが護衛役、サクラが要人役で試験を受けた。私は逃げ切れるから自分のことに集中してねと言われたロッシは気が楽になった。目的の場所まで8割の距離に進んだのは今日一番の成績だ。
役を交替して試験の臨む最後の挑戦者サクラがスタートした。
サムラはこの試験に仕掛けを沢山仕込んでいた。新人隊員30人にサクラという私の教え子に剣を触れて失格にさせた者には優秀者と認める。軍での立場を上げてやる。15人ずつ交代で務める賊役を、サクラの時は30人全員で取り組め。さらに飛び道具を使っても構わない。隊員たちを煽った。
最初の角を曲がると、すぐに剣を構えた賊2人が現れた。後ろの建物の陰に3人の賊の気配を感じた。前の2人と戦わせて、後の3人が襲うという単純なトラップだ。しかしサクラは、「フフフ」と笑って、突っ込んだ。自分の短剣で2人の剣を持つ手を痛打した。すかさず、後ろから襲って来た3人の手も痛打した。
この時、2つの建物の2階の窓から小剣が飛んで来た。サクラは短剣で弾き、賊が落とした剣を2つの窓に投げ込んだ。「痛てぇー」と声がしたので当たったのだろう。
「飛び道具は使わない試験のはずなのに、投げて来たわ」
「ハハハハ、面白いです」
エミは驚いた。この状況でもサクラは楽しんでいるようだ。なんて子なの…
さらに進んだ2つの場所でも、サクラは、エミを守りながら簡単に賊を倒した。説明された15人の賊を倒しても、まだ賊が待ち構えていた。
「サクラには30人の隊員全員が賊役で立ち向かって来るみたいよ。異常よ」
「サムラ先生、やってくれましたね。フフフ」
サクラが振り返ると、後ろで立会人のサムラ先生が少し笑ったように見えた。
目的の円形の建物の手前の小さな広場で、残りの賊役12人が待ち構えていた。サクラは広場の手前の左右の建物の屋上を見て気付いた。洋弓銃で狙っている。途中で拾って懐に隠していた石を投げて2人の飛び道具を潰した。
残りの10人は、剣や槍で一斉に攻めて来たが、サクラの圧倒的な剣のスピードに要人役のエミに近づくことも出来なかった。全員が手や足をサクラの短剣で叩かれ一瞬で勝負がついた。サクラとエミは余裕で指定の建物に入って試験終了だ。
結果を見て呆然としていたクノは、やっと言葉を発した。
「ありえないわ。サムラ先生、あの子はいったい何なの?」
「私も驚いているよ。完璧過ぎだね」
サクラに教えたのは、力を制御すること。今回は要人1人を守りながら30人の敵を倒したが、全員かすり傷程度だ。相手に少しでも剣を当てれば倒したことにするルールだが意図的にそれをするのは不可能だ。普通なら、あの圧倒的なスピードで剣を振ったら相手に大怪我させてしまう。2倍の人数と飛び道具を用意させたが… サクラには完敗だ。
クノ教官長は覚悟を決めた。自分が教えるのは緊急時の身のこなしとスピード・洞察力・決断力などだ。しかし、サクラは全てが自分より上回っている。完敗だ。
「サクラ、私の授業も卒業だ。私が教えることは何もない」
「えーーー! まだ2回生になったばかりですよ」
サクラの後で他の生徒が「問題を起こしてまた授業を追い出された」と騒いでいる。エミが反論したが騒ぎは収まらない。
「君たち、静かにしなさい。私、クノ・イチラクがサクラは最高だと判断したのよ。言いたい事があるなら前に出なさい」
「いえ、大変失礼しました」「分かりました、もう騒ぎません」
「それから、サクラには来週、特別授業を受けてもらいます」
◦◦◦◦◦◦◦◦◦
毎年、王立天海聖真校は、この世界で一番の軍事力を誇るガーレル帝国から優秀で正義感の強い軍人を特別講師として派遣してもらっている。厳しい試験を通過して4回生まで上り詰めた生徒のみを指導する。
ローガン・マルキールはその特別講師団のリーダーだ。帰国後は帝国陸軍の長官職が約束されているエリート軍人で、美しい青髪の39歳。
彼はまだ2回生になったばかりの生徒を指導しろとは前代未聞だと納得がいかなかった。帝国にも優秀な剣豪だとその名が通っている王国の3人の教官たちが教えることがないとはどういうことだろう?
その生徒を指導するには、事前にテストをすることが条件とされた。本当の戦場で修羅場を経験しているガーレル帝国のエリート軍人相手にどこまで出来るか試される。ローガンを含め5人が相手をする。実戦を想定し、1週間前と同じ場所で円形の建物を目指す。違うのは、今回はサクラ1人で行動させること。そして先生の立ち合いも禁止だ。
「それでは、スタートします! えへっ」
今日のサクラも笑顔だ。力の制御が出来ているようだ。
さすがにガーレル帝国のエリート軍人は、前回の王国軍の新人隊員とは戦闘能力が格段に上だった。身のこなしも剣を振るスピードも速かった。さらに煙幕を使ったり、砂塵を撒いて一瞬目をつぶったところを狙ったり、尖がり石を撒いたりと、何でもありで攻めてきた。
しかし、相手が1人ずつ攻めて来たのでサクラにとっては簡単だった。次々と倒してしまった。残るは1人だ。
「私は、ローガン・マルキール。ガーレル帝国陸軍副長官だ」
「私は、サクラ・バートリッチです。愛しい方を守れる剣士を目指しています」
「最初の戦士と少しの間だけでも対等に戦えれば指導してもよいと考えていたが…」
「倒しちゃいました えへっ」
「うーむ、金属の鎧や防具を付けている4人を倒したのには驚いたぞ」
「ローガン様も私サクラと相手をしていただけるのでしょうか?」
「もちろんだ。本気で攻めてこい。これは丈夫な鎧だ。その剣では壊れない」
「本当にいいのですか?」
ローガンの剣士としての腕は、並みの兵士とは桁違いの差だ。実際の戦場でもスピードは誰にも負けないと思っている。サクラに、このテストは危険が伴うので防具を付けることを推奨したが、愛しい方の傍でいつも防具を付けていることは現実的でないと断られたと聞いていた。
まったく無防備な服装で、この私と戦うとは甘く見られたものだ。しかも、持っているのは短剣のみだ。私の身体に短剣が届くと思っているのか…?
少し痛い目にあわせることにする。
「覚悟してこい。救護班も待機させた」
「はじめ!」
ローガンの合図で、サクラは短剣を正面に構えた。ローガンはサクラの短剣を破壊しようと上段から凄いスピードで剣を振り下ろした。サクラは素早く左に避けたが、それは予想どおりで隙が出来たサクラに振り下ろした剣を水平に振った。
これで勝負ありと思ったが、サクラの短剣の方が一瞬早くローガンの右肩から右手まで線を引くように触れた。
「なに! 何をした!」
サクラの短剣が触れた鎧の部分が裂けてローガンは慌てた。さらにスピードを上げてサクラを攻撃したが、一瞬の差でサクラの短剣を鎧に当てられ続けた。ローガンが気付くと鎧全体がボロボロに裂けて身体から落ちた。剣を降ろし、尻もちをついた。
「降参だ! 完敗だ。指導前のテスト、失格だ」
「えええー そんな~」
「違う、私にサクラを指導する資質が無いということだ」
心底恐ろしいと感じた。サクラが本気で剣を振ったら最初の一撃で私は大怪我をしていただろう。頑丈な鎧が布のように裁断されている。それなのに私には傷一つ付いていない。武術研究家のサムラ先生が力を制御する技を会得したのでサクラを卒業させたと言った意味を理解した。自分にサクラに教えられることはない。
この国には、今日のように対戦して私をボロボロに負かしたあの女剣士がいる。指導出来るのは彼女しかいない。悔しいが、私では無理だと話して彼女を推薦しよう。
◦◦◦◦◦◦◦◦◦
王様に、命令でなく、あそこまで強くお願いされたら受けるしかなかった。サクラが小さい時から「ケイ、剣を教えてよ」とせがまれていた。しかし、王様お気に入りのサクラに怪我をさせたら大事になると断っていた。
「やったぁー! ついにケイが先生になってくれた」
赤毛のケイはグルンジ王国最強の女剣士だ。王国最強の剣士だがケイの拘りで女剣士と言ってもらっている。
「仕方ないね。すこし見せてもらうよ」
ケイは木剣をサクラの顔を狙って振った。顔から5mm程度外して振った。サクラは微動だにしなかった。次は顔にかする程度に振ると5mm顔を動かし木剣を避けた。
「いいね。次はその木剣を持って、あたいの木剣に打ち込んできな」
お互いの木剣をぶつけて衝撃に耐えられるかをみる。ケイも力を入れて木剣を振った。それに合わせるようにサクラが木剣を打ち込んだ。
サクラの木剣は真っ二つに折れた。一瞬の間があってケイの持つ木剣が粉々になって手から崩れ落ちた。
「ほほー いいね! 凄いね」
「分かった、サクラをちゃんと指導する。先生と呼ぶのは禁止だ」
「はい ケイ師匠! えへっ」
「あたいをケイと呼びな。そう呼ばないと指導しないよ」
「ケイ、よろしくお願いいたします」
「ああ、よろしく。あたいの初めての弟子だ」
この翌日、サクラは武術研究・実践武術特別科の先生たちに退科願いを出した。首席での特別科を卒業出来る特例待遇を断った。2回生で首席卒業などしたら注目されてしまう。目立つなと厳しく言われている祖母のセーラの怒った顔を見なくて済む。
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早朝、18歳になったサクラは、メイドの衣装に短剣を忍ばせて、大好きな義姉妹のマリーと一緒に街中を歩いている。待ちきれず早く出かけ過ぎた2人は港のベンチに座った。静かに海を眺めて昨晩からの興奮を沈めている。
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3年程前、サクラは義母に、マリーといつも一緒にいたい。だから「大好きなマリーの専属メイドになる」と言って困らせていた。後に、この衣装を着るなら認めると義母から数種類のメイド服を渡された。
メイド服といっても屋敷のメイド服とは別モノだ。どのデザインも光沢のある黒生地とレースを基調として気品がある。ドレスのように見える作りだ。しかし動きやすいように丈は膝までだ。この義母がデザインした豪華なメイド衣装はサクラのお気に入りだ。
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昨晩、ケイのご主人のベンから緊急のメモ書きが届いた。サクラはマリーと何度もそのメモ書きを見た。
『マリーの探し人かもしれない青年をケイが発見した…… 気になるようなら明日にでも来て確認されたし ベン』
王家の近衛兵団長と副団長を勇退したベンとケイが営んでいる魚屋にその青年がいる。朝、《魚屋ベン&ケイ》に向かった。先にマリーがその青年を見に行き、サクラは港のベンチで待つことになった。
「サクラ、サクラ、会って来た!」
マリーがスキップしながら戻って来た。
「どうだった!」
「間違いない、探し人だわ!」
「どんな青年だった?」
「私、一目惚れしたかも? 恋をしたかも?」
「うわー!」
「いや違う、運命の人よ。血が湧き踊り、どうしようもないほどに惹かれたわ」
「マリーがそんなこと言うとは驚き」
「会えば分かるわ。おそらくサクラも運命の人と感じるわ。絶対!」
「マリーと私の運命の人? 早く会いたい」
この後、マリーは腕の良い服職人と靴職人の店に向った。店から職人を連れ出して青年の体型と足型を採寸させ、仕立てた服と靴を青年にプレゼントすると笑顔で話し走って行った。
一方、サクラはこの王国で一番有名な書店の前で開店の時間まで待った。マリーの提案で、ラグール観光ガイドやグルメ本、経済誌、王国広報誌などを買って青年に渡す為だ。
本屋から魚屋ベン&ケイまで、サクラもいつの間にか走っていた。青年に早く会いたくて気持ちが高ぶっていた。
「ケイ、おはよう!」
「サクラ、来たね。おはよう」
「早かったね、サクラも選ぶのを手伝って」
「あの~ 青年は?」
「今、服と靴の採寸をするために2階に上がったところよ」
3人で、服と靴のイラストと生地見本を見ながら青年が着る衣装を選んでいた。程なくして、青年が2階から2人の職人と一緒に階段を下りて来た。
マリーが椅子から立ち上がったので、サクラも立ち上がった。
サクラを紹介しているマリーがいつもより早口だ。緊張しているのがサクラには分かる。
「ゴウ、紹介するね。 サクラよ」
「小さい時から一緒に育ったから姉妹のようなものね。一応、屋敷では私専用のメイドなの。と言ってもただ一緒にいるだけよ。屋敷の外では護衛役も務めてくれるわ。こんなに可愛いのに、とても強いのよ」
「それとこの可愛いサクラにも、さん付け禁止ね」
「ええ、サクラ、よろしくお願いします」
青年の声に緊張してしまった。
「ゴウさん、あっ ゴウ、よろしくお願いします」
…青年と目が合った! どうしよう! マリーが言った「一目惚れしたかも? 恋をしたかも? 運命の人よ!」その感覚だ。どうしようもなく惹かれる。身体が熱い、頬がピンク色に染まっているのも自分で分かる。身体が震えそうだ…
「ゴウ、可愛いからってボーッとしてないの! ははは!」
このケイの声に、サクラの頬のピンク色はさらに濃くなった。
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サクラはマリーと一緒にケイの店を出て港の公園に来て、気持ちの良い浜風を受けていた。興奮の熱がまだ冷めない。
ゴウという青年に惹かれる気持ちは、単純な恋愛感情を超えた得体の知れないものだ。身体全体が反応した。これは運命、ゴウは私の愛しき人になる。そしてマリーも大切で愛しい… 覚悟を決めた。 ゴウとマリーを守るのが天命だ!
突然、サクラが短剣を鞘から抜き、天に突き上げた!
「天に誓う!
私の名前はサクラ・バートリッチ
大切で愛しいゴウとマリーを守るため
可愛くて
最強のメイド剣士になる!」
…完…
お読みいただきありがとうございます。
運命の人、ゴウと出会ったサクラはマリーと共に王国の運命を左右する戦争に巻き込まれます。
このサクラの物語は『天才ラーメン王、全てを失い異世界で無双する』に繋がります。
そちらもお読みいただければ幸いです。




