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寝てもさめても猫だった!?

作者: 鮫島ミナミ
掲載日:2025/12/19

片思いOLがねこになるはなし

(どうしてこうなった…!?)

見上げると、大きすぎるベット。そこに横たわる憧れの先輩の姿。

姿見にうつる私の姿は、スマホ越しに何度も睨んだ、愛らしくて小さい白猫になっていた。


大好きだったあの人のSNSにときどきあがる瞳が青くて綺麗な白色の猫の写真。

無垢で、かわいくて、そして、大嫌いだった。


「他の投稿よりいいねついてる…」

3年前に交換したSNS。大学時代から片思いしている先輩のアカウントなんて、家で一人でやけ酒をしている時しか見れない。3割ほど残っている缶チューハイを一気飲みして、猫への嫉妬を誤魔化した。


「ほんっとすみません!」

「大丈夫大丈夫、おい!切原!助け合いなんだから、お前も手伝え!」

何度こちらが助けたか分からない助け合い。

助け合いという言葉の意味知ってるのかこの人。そんなこんなで、ミスのカバーをし、電車に揺られ、帰宅時間は日付を超えていた。


全力で謝る同僚の姿は真剣で、どこかいとおしかった。あの子は今頃彼氏に慰められてるのかなあ、なんて思いながら、見た目の可愛さに負けて買った度数の低い酒をあける。これじゃ酔えないけれど、パッケージが可愛いから仕方ない。人間といっしょですね。


ちょっと不貞腐れながら先輩の過去の投稿をスクロールする。元々白猫は保護猫だったようで。保護した直後の1月頃の写真は、こちらを見ていない。ぷいってしてる。かわいいな。日付が今に近づくほど、だんだん目に光が入ったり、カメラ目線をくれるようになっている。最新の写真なんて、ベットに丸まって青いキラキラした瞳をしている。随分懐いたようで!


「恋愛は疲れたからいいかな。それよりこれからは猫とかと暮らしたい。」

それが口癖だった先輩は、この子を撮る時にたいそうにこにこしているんだろう。そりゃそうですよね。猫は可愛いですから。うらやましくなんてないし。


うそ、めっちゃうらやましい。


「あ」

ケーブルを刺さず使っていたスマホの画面が暗くなる。しまった、もう充電切れたのか。ただの鉄の塊になってしまった5インチの画面を睨んでいたら、いかにも、つかれています!って表情の女がうつっていた。画面の反射にダメージをくらう。もうやだ。

コップに残った水を飲み、机によりかかる。この姿を先輩が見たら「相変わらず弱すぎだよ、水飲みな。」って言うんだろうな。最後に会った1年前のサシ飲みの記憶を思い出す。


眠過ぎて重い体をなんとか叩き起し、水をとりに台所に移動しようとする。よいしょ、っと。

「っ、いった!」

テーブルの足を睨みつけて右足のつま先を押さえる。

「わあ、とっ、とっ、きゃあ!」

バランスを崩し、後ろにたおれる。不運すぎる。ガシャン!っとコップが割れた音と、鈍く打った頭のジクジクした痛みを感じながら。意識を手放した。


(そうだ頭打ったんだ……!)

先輩の家の猫になっている現状と、心配になる仕事の状況。これって頭打って死んだやつ…?なんて考えていたら、ベットで人が動く気配がした。


「ん〜、おはよお、シロ。あれ?今日はいつもみたいにこないの?」


せ、せ、先輩の寝起きの声かわい〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「ニャ、ニャ〜」

と曖昧に鳴いて、キュンとした気持ちを誤魔化した。これは夢だ、夢なら、夢だとしたら多少先輩に甘えても大丈夫なはず……!


(えいっ……よし、いけた!)

なれない身体をつかい、なんとかベットの上に登る。この子から見る人間は、こんなに大きいのか。ねぐせのついた先輩は、いつもより無防備で、でも私を見る時より柔らかく、はちみつみたいな瞳でこちらを見た。

「おはよう、シロちゃん。今日も可愛いねえ。」

聞いた事のないくらいでれでれした甘い声で、私の頭をゆっくり撫でる。めっちゃ心地いいな……天国??


いい夢見れた、そう思いながら、撫でられている感触にうとうとしてきたので、ねることにする。べっとのうえでねるのはさいこうだあ!


「お、またねるの?おやすみ、切原(シロ)

先輩の声で、そう呼ばれた気がして、落ちるように眠りについた。

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