それが始まりになると賭けて
自分は面白い作品だと思ったので二次創作を書きました。是非「原作」を楽しんでください。
いつも通りザッピングしながら配信を眺めていた。
部屋に引きこもることが多いからか今が昼か夜かも分からない。だけれど俺はそれなりに仕事をして稼いでいるからそれ以外の休み時間を配信を見る時間に費やすことが出来た。なのだが。
「面白い奴はいないのかな」
どいつもこいつも何となくダンジョンのいつもどこかで見た事があるような階層を配信してはありきたりな感想や誰かの真似じゃないかと思う様な経験に一喜一憂している。
「もっと面白い奴はいないのか」
そんな風に流し見していた時にその配信にたどり着いた。それはただの偶然だと思う。
「こいつは……」
普段の俺ならすぐ配信を飛ばしていたと思う。だが、本能的に、色んな配信者を見てきた俺だからこそ、何となくこの配信者に注目するべきだと感じた。そしてその予感は当たった。
「やるなあ」
カースアイの壁に睨まれたのに全く動じず探索を続ける様。落下して死んだと思っていたのにビギナーズラックか生き残る。そしてなにより。
「剣をテイムした」
そんなバカみたいな光景が目の前で起きたが、それはもしかしたらこれまでの配信の常識を覆すかもしれない何かだと確信した。正しく情報を理解出来ていないコメント欄の奴らには悪いが、俺はすぐさま行動に移してこの配信を知り合いに共有した。
「これは爆発したら大変なことになるぞ」
俺はこれでも凄腕の発掘屋。数多ある情報を売って日銭を稼いでいる男だ。だからこそこういった情報の真価にいち早く気が付けたのだと思う。こんなのを安値で売るのは嫌だが。
「沢山儲けさせてくれよ」
そう思いながら、沢山の注目配信者の情報を欲する奴らに無作為に情報を売り渡すのだ。報道機関、まとめ情報を集める奴らや管理人、同業者の情報を知りたい配信者、他にも個人企業問わずだ。
「ああ、まだ今日配信始めたばかりみたいだが面白い奴だぞ」
そう言って思考も指も何もかもが加速していく。もちろん画面の中の展開もだ。
「ひひ、笑いが止まらねえ。面白いやつ見つけた」