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#34-伝説がまた1ページ-

皆様お待たせしました。新作ですよー。生きてますよー。

 気を取り直して、俺は早速大地を動かした。

 事前に通告はしておいたが、実際地面がぽっかり空いて移動するというのは慣れないらしく全員が唖然としている。


「ただこれの欠点って、魔力をかなり消費するってことなんだよな」


 そんな事を言っても全員が首を横に振っていた。おそらくこんなことができる時点でおかしいと言いたいのだろう。でもやっぱり人を集めて動いてもらいたいからな。建築作業を多いし。

 というのも俺の分身たちが作る建築物は魔石を使用したものが多いが地面に固定できないという大きな欠点がある。将来的には家一つ一つに浮き輪を付けていざという時の為に海上で浮かぶことができるようにすることができるよう、鋭意製作中なのだが、そんなものは数百年単位のレベルだろうと内心突っ込んでいるレベルだ。

 しばらくすると目的の場所に到着して俺はゆっくりと地面を下げる。周りは俺の見せた魔法を見て唖然としていたが、俺はもう一つの場所に向かって同じことをした。


「はぁ、流石に疲れた」

「本当にお前は恐ろしい奴だな。ここまでの人員や施設を運ぶなど前代未聞だ」

「やってみたらできた」


 オッサンにそう返した、正直なところかなりくたくただ。だが、残念ながら俺たちの仕事はこれからだったりする。

 まずはそれぞれの街の主要人物を呼んでダンジョンと思われる入り口の案内。そろそろ帰ればいいのに何故か付いて来るオッサンとその嫁2人。


「だがダンジョン都市をつくるにしても、強さの把握は必要だと思うが、その辺りはどうするつもりだ?」

「まぁ、俺がこのまま突入してどれくらい戦えるか――」

「ダメに決まっているでしょうが」


 シャロンに止められて少し泣きそうだ。


「良いじゃないか」

「ベイル君基準で選定すると、大体の人間がEランクになっちゃうでしょう。ちゃんとした適性を考えないと」

「でも俺だってダンジョンの中に入りたいんだけど」


 むしろそっちの方が本職なんだけど、もしかして俺はそれを忘れられているのだろうか?


「わかった。でも、その代わりと言っちゃなんだけど今日は絶対に休んでからね」

「……わかった」


 実際今日に関しては少しフラッとしているからその方が良いかと納得する。


「となれば、今日はその分の開発かしら?」

「ああ。ダンジョン自体はここから徒歩五分圏内。まずはそこから施工を始めるとするか」


 俺が指を鳴らすと俺に姿形が似ているが顔がところどころ違う奴らが現れた。


「よし、まずはここにモンスターがダンジョンから出てきた時の防衛施設の建設を開始する。悪いがみんな、協力してくれ!」


 俺の言葉に全員が答えてくれる。意外と気持ちが良かった。






 ■■■






 ベイルが指揮をしてダンジョンの周辺に防衛施設の建設がスタート。その間にベイルが昨日出した温泉施設の移動などをしていた。

 その光景を見ていたアイリーン。彼女は今もなおシャロンにばかり靡いているベイルを見てヤキモキしている。しかし自分の娘のアリスはベイルに懐いているようだがあくまで憧れの範疇で積極的になっていない。それが余計に彼女を苛立たせていた。


(一体何をしているのよ、あの子は)


 アイリーンは常にある事を懸念している。それはベイルがシャロンと協力して王位を簒奪しようと目論むことだ。

 そもそもシャロンは過去に何度か彼女の息子であるサイラスに対して毒を持っている。その事に対しては確かに重い罰を与えていたが、それでも最終的にシャロンを解放していた。彼女は何よりもそれが気に入らなかった。だからこそベイルを寝取って主導権を握ってシャロンを亡き者に、できなくとも幽閉してやろうと考えている。


(そうよ。あの女もまとめて酷い目に遭わせて――)

「捕らぬ狸の皮算用はただ醜いだけだから止めておくことをお勧めしておくよ」


 突然ベイルに声をかけられたアイリーンは自分の心臓が飛び出すのかと思った。それほどまでにいきなりすぎて驚いた。


「な、何の話で――」


 そこでアイリーンは言葉を切る。笑みを浮かべているベイルだが、その瞳は一切笑っていない。それどころか笑う事すら想像できない程で相手を品定めしているようにも思えた。


「俺は美少女とか美女が好きなんだ。少なくとも俺の物になるって宣言できるような女は特に。だから別にお前がメスガキを連れてこようが別にどうでも良かったけど――もし下らないことを企んでいるなら、例え城を吹き飛ばしても止めるから」


 そう宣言したベイルはそのまま振り返ってシャロンの所に戻る。アイリーンはベイルから放たれる圧力に怯み、立てなくなった。

 その様子を見ていたウォーレンは頭を抱える。


(……アレに本気で反旗を翻されたら、本当に王国は終わるかもしれないな)


 この五年、行方不明の間に確かに強くなっているベイル。その様子をどうにかしようともできない事は最早明白とも言える。そして同時にシャロンとくっつけさせたうえで他の娘たちを渡すのも間違いではないと確信できた。幸い、あの王女としても色々と問題があったアリスがあそこまでベイルに可愛がられ、またアリス自身も惚れているのか引っ付いて離れない様子を見てウォーレンは安堵していた。


(シャロンが嫁ぐから大公にしたが、今のところは問題あるまい)


 問題があるとすれば、ダンジョンを攻略しようとする姿勢だろうか。だがウォーレンはおそらく早々死なないだろうとは思っているので本当に安心していた。


(それはそれとして、だ)


 今度はウォーレンがアイリーンから話を聞き、そのすべてを聞いて盛大にため息を吐いた。





 ■■■






 翌日、俺はメイドエルフを召喚した後にダンジョンに潜った。だが今回の目的はあくまでダンジョンの視察。だが俺の親父が冒険者だったように、俺もダンジョンに潜るのはやはり憧れだった。何より楽しく、今もすれ違うたびにモンスターを狩って魔石を回収している。ちなみに何故か一部の兵士が俺に付いて来ると言い出したがそいつらは既に見当たらない。とっくの昔に置いてきた。


(それにしても、アイツらの性能やっぱり低すぎるな)


 だからこそ、防衛力として俺を大公にし、国同士の結束力を高めようと画策しているのかもしれない。昨日の夜、俺がいない間の情勢をアリスを撫でながらシャロンに聞いたが、やはり俺の家族はそこそこ重要な役職に就けているみたいだ。ロビン兄さんはある意味可哀想でもあるが。そもそもあの家の中だと兄さんが一番冒険者をしたがっていたからなぁ。いや、俺も大概だけど。そしてダンジョンがあるのに誘わなかった俺はかなり鬼畜だと思っている。

 ちなみに兵士らはグレアムを中心に自分たちのペースで攻略するように言ってあるのでおそらく自分たちのペースで来ることになるだろう。なにせ一部の頭のおかしい奴ら以外は本来ならばパーティを組んで互いの弱点を補い合い、攻略するものだ。そう考えればただの剣士だった親父が単独攻略とかやはり頭がおかしいのだろう。……どこからともなく「お前、人の事言えないだろ」とか聞こえてきたのは気のせいだと思いたい。


(意外と深いな)


 そろそろ二十階層まで降りたのだが、それでもまだ下があるという事はかなり奥が深いという事なのだろう。


「ブオオオオオオッ!!」


 ミノタウロスの軍団が現れたのですべて一撃でバッサバッサとぶった切る。正直気持ちいいという感情以外何もない。というか、今まで抑え込んでいた何かが解放されているみたいで面白い。


(……あ、そうだ)


 倒したミノタウロスをすべて回収し、俺はそのまま下へと下へと潜って行く。今の俺のメイン武器がトフサブレードで良かったとつくづく思う程だ。なにせこのブレードすべてに媒介として俺の血が使用されており、それによって自立して攻撃を加えることができる。それに加えて飛行能力でより早く攻略が可能となる。邪道すぎる上にRTAとか属性多すぎる攻略だが、ロマンって大事だよね。

 などと思いながら下に、さらに下にと移動し、ボス部屋に着いた。そこにいるのは灰色のドラゴンだが……灰色ってこれまでいたっけ?


「ほう、一人か。他の奴は捨ておいたのか?」

「ああ、まぁ……え? もしかしてそんなにヤバい⁉ って言うか、ドラゴンなのにしゃべってる!? ……いや、いたな」


 大体五年くらい前に俺が人を捨てそうになった時の敵がしゃべっていた事を思い出した。


「我は長年生きておるのでな。それにダンジョンコアはこういう時便利で、様々な知識を授けてくれる」

「便利だな、ダンジョンコア」

「ああ。元々魔族がこの大陸に侵攻する時に使用する為に使っていた簡易陣地作成機構だからな」

「何それカッコいい」


 と、同時に俺の推論は当たっていたと確信する。そもそも魔王からもらった基地もダンジョンで作っていたからまさかとは思っていたが。


「久々の客だ。盛大にもてなしてやる」

「相手がドラゴンなら俺も不足ない。滅多に見せない本気モードを見せてやるよ」


 そう言って俺は、わかりやすく言うと気合を入れた。






 ■■■






 グレアム・ホーグラウスはウォーレンから借りた勇士らと共にダンジョンを駆ける。別に逃げているわけではない。ただ、敵がいないのだ。


(これだけの敵を一瞬で屠っている。義兄上は本当に凄いな……)


 グレアムの中ではベイルがシャロンと結婚するのは確定事項だった。

 元々、彼は王位に興味が無かった。武力に関しては突出しているがその分の知力は低く、戦うだけに生まれて来た戦闘機械とも言われていたが、こうして見ると自分など高が知れていると思わされる。

 彼らが十階層目に突入した時、地面が揺れる。ダンジョン内は異空間で実際起こるであろう地震なんて滅多に影響を受けないのに、だ。となれば、ダンジョンに影響を与える程の戦闘を誰かが行っているという事だ。


(そんな事ができる人間なんて……)


 たった一人しかいないと確信したグレアムは騎士たちに行った。


「先を急ぐぞ、みんな! もう既に義兄上がボスの部屋に着いているよう……」


 しかし一人の騎士が顔を青くしていた。


「どうした?」

「い、いえ、俺……いや、自分は冒険者上がりなんですけど……実は聞いたことがあるんです」

「何が?」

「ダンジョンのボスの部屋って、基本的にドアを閉めると異空間として分断され、他の攻略者に影響がないって。でも、もしボス部屋に入ってここまでって、あの男は一体どんな戦い方をしているんですか?」

「……わからない。僕も昨日手合わせをしてわかったが、正直義兄上との差はわからなかった」


 また、盛大にダンジョン内部が揺れる。その時グレアムの足元が崩落して彼はそのまま落下。二次災害を防ぐためにグレアムを助けようとした騎士も止められた。


 気が付けばグレアムはどことわからない場所にいた。辺りは半壊しているようで道として機能していない。


(ともかく、どこかで休まないと……)


 そう思って光がある方向を向かう。そこでは――ベイルが背筋どころか全身が凍る程不気味に笑い、ドラゴン相手に斬りかかっていた。


「ウォオオオッ!!」


 ドラゴンの方がむしろ苦戦している。ドラゴンも魔法を使用しているがベイルはそれらすべてを自分の武器で切り裂いているのだ。そんな芸当ができる騎士などこの世界に何人いるかという疑問を抱く。

 雄叫びを上げているドラゴンから繰り出される攻撃を次々といなし、切り捨て、ぶった切る。尻尾が舞ってベイルに血液がかかるが、そんな事を一切気にせずドラゴンを攻撃していく。


「少しは運動しないからこうなるんだよ!!」


 そう叫びながらベイルは鈍器の様に自分のブレードを振り回し、切ると言うより殴り始めた。そしてベイルは大きく黒い翼を広げた後にたくさんの影分身を生み出して強襲する。


「や、やめ、ま、こ、こうさ――」


 影分身たちがトフサブレードを振るい、空を飛ぶベイルからさらに影分身が産み出されていく。それらが全員ドラゴンに取り付いて影の鎖となりドラゴンを拘束した。


「エクスキュゥウウトォオオオ――」

「降参するからちょっと待ってくれ!!」

「ストラ……え?」


 ドラゴンがそう叫ぶとベイルは拘束は解かない状態で地面に降りる。


「降参? お前、ダンジョンの主だろ?」

「うるせぇ! こっちだって数千年規模で放置されていたダンジョンに人が現れたと思ったら、お前混じってるだろ!? 人間とドラゴンが交じるなんて例外中の例外だろうが、交じってるだろ?!」

「いや、俺生まれは純人間だ」

「嘘つけええええ!」


 叫ぶドラゴンに対してベイルは平然としている。とりあえず声をやり過ごしたグレアムは姿を現した。


「よぉ、グレアム。早か……お前、大丈夫か?」

「え?」


 どういうことかと思って自分の身体を見ると、下手すれば致命傷になるほどの傷を負っていた。


「ぼ、僕は……」


 ベイルが近付いて瓶を口に突っ込む。同時に怪我をしているところを水で除去した後に異空庫から出したガーゼと包帯で処置を施して後に寝かせる。


「まさか俺が仕込んでおいた分霊符が壊れるとはな」

「ぶ、ブンレイフ?」

「わかりやすく言えばグレアムが死にそうな傷を負った時に死なない程度にしてくれる札だ。ちょっとした縁で教えてもらえてな」


 何故かそいつは懐いていたけど。俺、もしかしてシルヴィアもいるしお兄ちゃん体質なんだろうか?


「え? じゃあ僕は死にかけて……」

「さっき細胞活性薬を飲ましているから、とりあえず寝ろ」


 マットレスを出してグレアムを強制的に寝かせる。


「あ、ありがとうございます」

「気にするな。死なれた方が目覚めが悪い」

「い、いえ……」


 まるで姉上のようだと思うが、少ししてそこまでじゃないなと思ったグレアム。


「さてと、ダンジョンのヌシよ。お前が俺に降参するというのであれば、このダンジョンを明け渡してもらいたい」

「……良いだろう。今日からお前が――」

「いや、ダンジョンのヌシはお前がやれ」

「え?」


 ベイルがグレアムを周りをバリアで囲った後に言った。


「俺はこの辺りを仕切る事になったベイル・ヒドゥーブルだ。お前には俺と契約してダンジョンの主を務めてもらいたい。後ついでに代々の大公の座に就く者に試練を与えてやってほしい」

「……つまり我に、お前の子孫繁栄を手伝えというのか?」

「ああ」

「だが良いのか? お前は正直完全な人間とは言いにくい。それでもお前と契りを交わしてくれると、子を成してくれるメスががいるのか?」


 そう言われたベイルは暗い顔をする。


「……その時は考えるさ」


 どこか悲しそうな声でそう言ったベイル。グレアムは何か言おうとしたが、口を閉ざしている。


「それに、例え俺がまともな人間じゃなくて相手がいなくなっても、ドラゴンを使い魔にするのってロマンを感じない?」

「そ、そういうものか?」

「そういうものだ」


 笑っているベイルを見ているドラゴンとグレアムは奇しくも同じことを考えているが、どちらも声を出して指摘しない。その為ベイルはその事に一切気付かずにベイルは魔法陣を構築。ドラゴンとの間に回廊を繋いだ。

 お互い従魔契約が始めてということもあるが、何より今度はベイルがドラゴンを試しているのだ。最初はドラゴンの方も生意気とは思ったが、魔法から感じる質を見て屈服せざる得ないと判断した。


「我に名を与えよ。さすれば誓いは果たされる」

「……どっちにしようかと思ったが、やはりこれしかないと思ってな。ファブニール」


 するとドラゴンの身体が変色だけでなく、姿形すらも変えていく。それを見ていたグレアムは絶望した。


「あ……あ……」


 グレアムは従魔契約を安易なものと考えていた。しかし目の前のドラゴンを見て流石に考えを改めざる得ない。


「ど、どうしましょう義兄上! 流石にこれは――」

「いや、小童。これはどちらかと言うとそっちの男のせいだぞ」


 突然そんな事を言われたベイルが疑問符を浮かべているが、魔力をかなり消費したのか足を着いた。


「流石はドラゴンということか」

「……一つ聞いて良いか?」

「何だ?」


 ドラゴン――ファブニールに尋ねられてベイルが確認すると、ファブニールはとんでもない事を聞いた。


「貴様の魔力量、どうなっている。我の目論見通りならば軽く枯渇していると思うが」

「さぁ。昔から魔力を増やして来たからな」

「…………そういえば、先程貴様……いや、これからはマスターと呼ばせてもらおう。マスターが本気を出せばこの世界を自分の手中に収めるのは容易いと思うが?」


 それを聞いたベイルは全力で首を振った。


「面倒だから絶対にやらない」


 心から否定するベイルにグレアムはどこか安堵した。


(……というか、実質義兄上だけで世界征服できるよね)


 あの戦いの一端を見ていたグレアムはそう思った。

 自分は王族の生まれを誇りに思っていた。それ故に王族であること、その上で自分が助けになる事を精一杯やろうと。実際、ラルド・ヒドゥーブルに教わってメキメキ強くなった感触もある。

 だが実際はどうだ。その息子の一人であり、数々の栄誉を残したベイル・ヒドゥーブルは単身でドラゴンを倒すどころか下手すればまだまだ強いなど。そしてドラゴンすらも従わせるとなると下手すれば本気で国を取られて自分も殺される未来しか見えない。


(シャロン姉上なら、おそらく義兄上がバケモノと混ざっていると言われても平然と……押し倒しそうだ)


 グレアムもまた、ベイルがいなくなった時にシャロンを知っているのでそんな感想を抱く。


「さてと、ファブニール、分体を作れない?」

「それくらいは簡単だ」


 ファブニールは自分の前に小さな竜を出す。それを見てベイルの顔はにやけてしまう。


「これで良いか?」

「全然問題ない。じゃあ一回帰ろ……」


 ふと、ベイルは自分の左腕に妙な入れ墨がある事に気付く。


「それはダンジョンコアを操作するものに現れる証だな」

「凄いな。なんかどこかのマフィアのボス感あるわ」


 左手の甲から肘までにかけて伸びている証を見るベイル。


「これ、風呂に入れるのだろうか?」

「さぁ?」


 色々と不安になるベイルだが、ともかく今はと証の力を行使。騎士たちが既に外に出ているのを確認して自分たちも入り口に向かうためにグレアムのマットレスを自分が産み出した鎖で捕まえて転移した。


 ダンジョンの外に着いたベイルたち。そこには心配そうにする領民やウォーレンたちもいるが、その中からシャロンがベイルの方に移動して抱きしめる。


「ちょ、シャロン?」

「良かった。あなたが無事で本当に良かった」

「いや隣、お前の弟負傷しているんだけど」


 それでもシャロンはベイルから離れようとしない。それどころかこの場でディープキスする始末でベイルはなんとかシャロンを支える。


「マスターよ。これがお前のメスか?」

「え? この子誰?」

「ファブニール。ダンジョンのヌシと契約したんだ」


 あっさりと言うベイルだが、よほどベイルの行動が異常すぎて今更と言う感じだ。


「ベイルよ、お前は一体いくつ伝説を作るつもりだ」

「伝説って――」

「お前の親父さんですらここまでやっとらんわ! 全く、ヒドゥーブル家は本当に……」


 ウォーレンの後ろではジュリアナが笑っており、アイリーンは口をあんぐりと開けている隣で娘のアリスが目をキラキラと輝かせていた。


「あ、そうだ。悪いけど、少し深刻な話があるんだ。寝る前に良いか? もちろん、ここにいる王家全員で」


 ベイルが真剣な顔で言うと何があったのかと全員が何か嫌な予感がする。そのごたごたの中でシャロンはベイルのより引っ付くのだった。

次回、二章最終回


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