#26-ベイル・ヒドゥーブルのハーレム事情-
6月12日23時半頃に誤って投稿している分です。一部修正後投稿しています
ベイルが執務室を出てから浮かない顔をしているのを見てシャロンは不思議そうにしている。
「どうしてそんなに後悔しているの?」
「……まぁ、正直不安があるからな」
ベイルの言葉を聞いてシャロンはベイルの腕を組む。もはや彼女の隣はここだと言わんばかりだ。
「私はこの席を他の女に譲る気は無いわよ」
「いきなりどうした」
「別にあなたが女を作る事をとやかく言うつもりは無いわ。でも正室の座は誰にも渡さない」
「何でそうなるんだ」
「私があなたを好きだからよ」
心強い告白にベイルは心を揺さぶられる。だがと自分に言い聞かせた。
「だが俺はバケモノだ。下手すれば家族すら倒せない程のな」
「そうね。でも――」
シャロンはベイルを無理矢理引っ付いて唇にキスをした。それもただのキスではなく、ディープキス。
覆い被さるようにするそれをベイルは自分とシャロンを無重力状態にして身体の負担を減らしながらも「これ、どこかで見たな」と考える。そうしないとベイルの理性が持たなかったからだ。それもそのはず、ベイルがいなかった五年間でシャロンの体型は大きく変わった。
女性の平均身長である161㎝程だが出るとこは出て締まるところは締まっている。そんな体型で大抵の男ならばコロッと落ちそうな肉付きの女性。実際、彼女の姿を一目見た男たちは大半がコロッと言っており、幼い頃懇意にしていたベイルがいなくなったことで喜んでいた者が多かったのだ。
「私はそんなあなたと一緒になりたいって思ったんだから仕方ないのよ」
もう一度キスをするシャロン。ベイルもなされるがままになっているが内心嬉しかった。
「あ、そうだ。ベイル君、ヒューリット領に戻りましょう」
「……ああ、そうだな」
シルヴィアやエステルが来ていた事を思い出したベイルは彼女らを送るためだと思って頷く。
少し離れたところでイチャイチャしている二人を見て、エステルは羨ましそうに見ている。
仲が良い二人を見ていずれ自分もと考えてしまうが、彼女の兄がしてしまった事を考えるとそんなことは難しいと考えてしまう。
「……そんなにアレが良いならさっさとアピールすればいいのに」
「え?」
まさかシルヴィアが話しかけて来るとは思わなかったので慌てて振り向く。
「……ちなみに、アレは自分がモテるという事を知らないから初手キスでも良いと思う」
「え? 良いの?」
「……今更だし」
むしろ自分の兄と結婚したい。ハーレムでも全然良いと言い出す相手があと何人いるのだろうかとワクワクしている程だ。一人二人増えたところで大した量じゃない。
「おまたせ。話は終わったわよ」
「……あれ? シルヴィア衰弱してる?」
シルヴィアの顔がまだ青い事に気付いたベイル。シルヴィアは「そこには気付くのか」と呆れながら答えた。
「……誰かさんのせいでここまで飛んでくる事になったから」
「……あれはその、色々と急ぎだったし」
バツが悪そうに顔を逸らしたシャロン。ベイルは不思議そうにエステルを見るがエステルも顔を逸らした。
「とりあえず四人だけで良いのか?」
「……うん。私は無理」
「調子乗って魔法を連発するからだ」
「……誰のせいだと思っているの」
と睨みを利かせるがベイル相手にその効果は薄かった。
「久々に顔を見せたというのにまともな挨拶もないのか、お前は」
そう声をかけたのはラルドだった。その後ろにレイラやロビン、ユーグもいる。
「挨拶ならしただろう……剣で」
「普通に言葉をかわせ、馬鹿息子」
ため息を吐くラルド。気が付くとレイラがシャロンのところに移動して何かを渡している。
「ところでいつ子どもを作るんだよ。あの二人が相手だろ?」
ロビンがニヤニヤしながらそういう間にユーグがシルヴィアを引き寄せる。
「シルヴィアはこちらで預かりましょう」
「……やっぱりそうするわ」
空気を読んだシルヴィアがそう言うのでベイルは特に反論しなかった。
「いや、まだ手を出す気はねえよ」
「まだって事はいつか手を出すのか。モテるなあ」
「……で、本音は?」
「腹上死したら盛大に爆笑してやろう」
とロビンの言葉にベイルはなんとも言えない顔をしている。
「……じゃあ、俺はあの二人を連れて帰るから」
「ああ。子どもの顔はちゃんと見せに来いよ」
ラルドの笑えない冗談でベイルはただただ顔を引き攣らせるのである。
■■■
二人を連れてヒューリット領に戻って来た俺はまずはエステル嬢を家に帰す為に移動する。そう言えば俺、なんだかんだで彼女の家に行ったことが無いなという事に気付いた。
そもそも行く必要はないが大体は冒険者ギルドでどうにかなっていたから問題視していなかったというのもある。
「貴族の家ってやっぱり大きいんだな」
「今の内に慣れておきなさい。あなたはこの三倍は大きい場所に住んでもらうんだから」
「……隠居する時は一般的な家にするわ」
そんな事を言ったが、正直城を彷彿とされる巨大屋敷の三倍は大きいとか想像できないししたくない。
「ここまで送ってくれてありが――」
「お嬢様!」
最後までお礼を言う前に見た事があるメイドが現れた。シェリーさんだと分かった瞬間、彼女のメイド服姿を見て心から思う。眼福、と。
「おかえりになられた――べ、ベイル君!? シャロン殿下まで⁈」
「お、落ち着いてシェリー。二人にはここまで送ってもらっただけで……送ってもらっただけで」
何故かエステル嬢が泣きそうになっている。そしてシャロンは何故かニヤニヤしているがなんだろう。正直知りたくない。
「……お嬢様、実は――」
「……そうね」
俺に改めて向き合ったエステル嬢がこちらに向き合って言った。
「ベイル・ヒドゥーブル様。今回の荷物の没収の件、実は―――私の兄が関わっていました」
それを聞かされた俺はカミングアウトが突然過ぎて俺の脳内処理が追い付いていない。
「え? どういうこと? あの子爵が関わっていたんじゃないの?」
「なるほど。正しくは二人で企んだことってところかしら?」
「はい。そういうことです」
「……ごめん。どういうこと?」
どうしよう。頭の処理が追い付いていない。
「簡単に言うと、今回の件で本来儲けられるはずだった王宮側と領土側が手を組んであなたを交渉のテーブルに着かせるために画策したのよ。そして今のヒューリット領の領主はエドガー・ヒューリット。彼の方ね」
「もしかして、その謝罪がしたいから来てほしいってこと?」
「本来ならば謝りに来るのが筋。だけど今回は近くに来たからって事でしょうね。どっちにしても礼を欠いているからここは無視するか、赴く代金としてエステル嬢を無理矢理襲っていい案件だと思うわ。向こうは私がいるなんて思っていないでしょうし」
「じゃあ行くか」
「良いの?」
「多分俺はそういう交渉には向いていないし、そもそも気に入らなかったら破壊がデフォルトな俺に交渉関係とか謝罪とかぶっちゃけどうでもいいし。あと、俺一人でやったらエステル嬢が無理矢理来ることになるだろうから、今回の件は全く関係ない彼女に関してはどうにかしてあげたい」
俺とシャロンはヒソヒソと話をする。最後に何故かシャロンは驚いた後に頭を抱えていたがそれはそれとしてという事だ。
「私を交渉のテーブルに着かせるなんて、これは夜は期待できそうね」
「安心してくれ。ベッドのストックはあるから」
とサムズアップすると背中を思いっきり抓られた。
エステル嬢とシェリーさんの案内で屋敷に移動。応接室に通されるとそこには顔を青くする冒険者ギルドのマスターを務めるデリックさんとその息子と思われるたぶんエドガーさんがいた。二人とも俺が暴れたという事を知っているだろうし、何よりもシャロンの登場によって絶望している様子だ。
「私の夫に対してそんな事をするとは良い度胸ね。この男がどんなバケモノかわかった上での行動かしら?」
「それは……」
「どんな賠償も受け入れるつもりです。差し当たって、我が妹エステルを奴隷登録してあなたに差し出すつもりです」
その時、俺は奴隷になったエステル嬢を何でも好きにできると考えてしまい色々な事を考えてしまったので却下した。
「そもそも、今回の件にあなたの妹は関係ないはずだが」
「しかし、今回は我々ヒューリットの人間が――」
「生憎妹や娘を差し出して手法は気に入らないのでな……というか俺の認識が間違っていなければ王国って奴隷にはそう簡単になれないんじゃなかったっけ?」
「そうね。まぁ、奴隷紋とかあるにはあるけど、それはあくまで重罪を課した人にされるものよ。少なくとも今回の件で彼女が奴隷にされたらそれこそこの家に対する信用問題になって最悪領土没収にもなると思うわ」
「それは――」
「それでもなお、あなたはその責任をすべて妹に押し付けるつもりかしら?」
頑張れシャロン。そもそも俺は今の段階で何人かに強襲されそうになっているのにこれ以上女を連れられるかと思う程だ。まぁ、すり寄られたらギャップで致命傷を負うのが俺だが。
「別に今回の件、俺としてはどうだって良いと思っている」
「……それは」
「元々俺がお前たちの儲けの邪魔をしたのが始まりだ。だからと言って俺の実験物を奪うという手法は気に入らないが、とりあえず俺としては今回の件で賠償云々は考えていない」
「それは少し温くないかしら?」
「良いんだよ。俺としてはああも冒険者として頑張っている奴を不当な理由で止めさせた上にバケモノの慰みものになる方が大問題だ。あと、ハーレムとか俺にはできない」
「……ベイル君、これだけは言っておくわ」
少し呆れた様子を見せたシャロンは堂々ととんでもない事を言った。
「父やサイラスが王家だからという理由で複数の女を囲ったり囲えるのに、実績を多く残しているあなたが複数残しているのに囲わない方が問題なのよ」
「……え、えぇ……」
「できれば私の妹もそれに入れてもらえるとありがたいのだが……」
エドガーさんがそんな事を言ってきた。
「……そういうことね。あなたがこの話に乗った本質はそこか」
「ええ、そういうことです。そうじゃなければ敗北確定の話に何て乗れませんよ」
何の話か理解できていないが周りは理解できているらしい。たぶん俺は人としての感性も消えているのかもしれない。
「たぶんベイルは一切気付いていないから言っておくけど、この人たちにとってエステル嬢があなたの嫁にさせるのが目的だったのよ」
「なるほど。エステル嬢を俺の嫁に……何で?」
「別に不思議な事じゃないわ。前にあなたはヒューリット領を守ったのだし、その時に私と懇意だった上に周りからの警戒度が凄かったから出せなかっただけで当時からその働きかけはするつもりだったと思うけど」
「……その通りです」
ギルドマスターがそう答える。
「実はベイル君がエステルを救ってくれたあの日、私はベイル・ヒドゥーブルという人間に詳しく調べた。ヒドゥーブル家自体がバルバッサ家の後ろ盾でできた新興貴族である事は知っていたが、同じ傘下貴族ではあったがそれ以上の情報は無かったからね」
「まぁ、当時十歳の子供が活躍しすぎるのは色々と問題があるということで抑制されていたし、仕方ないわ。ましてや魔族複数相手に子どもが大立ち回りして王女を救出後殲滅ってじゃあ騎士団はどうなるんだって話だし」
「え? 俺、子どもの頃にシャロンを救ってたのか?」
「その意見に関して少し話し合う必要があるようね」
あ、シャロンの怒りのボルテージが上がった気がする。
「話を戻させてもらいますが、それらの事を踏まえて我々は「ベイル・ヒドゥーブルは絶大な力を持つが暴君ではなく"人として"話が分からない人間ではない」という判断をした」
「……貴族としてはどうなんだろうという自覚はある」
「確かに貴族としては欠点だらけでしょう。しかし君は冒険者としては話がわかる。我々はそう判断しました」
ま、まぁ、そう言われて悪い気がしないわけではないが。でも歴史だけで敵を穿てるかと言われれば否定するよ、俺は。
「今回、私が来たのはあなた方にとっても僥倖だったわけね」
「さようでございます」
「エステル・ヒューリット、あなたはどうなの?」
言われてエステル嬢は驚いていた。
「私は……」
「あなたがベイルに対して恋愛感情を抱いている事には気付いているわ。私に手紙を送っていたのもあわよくば彼のハーレムに入れてほしいってところかしら」
「それは……」
これは阻止した方が良いのだろうと思い、止めようとする前にシャロンが俺に沈黙は魔法を使って口を利けないようにした。これ以上言って交渉を壊してほしくないということかもしれないので黙っておくことにしよう。
「私はベイルの事が好き。だから私が彼のハーレムを仕切る以上は心体共に彼に捧げられる女じゃないと受け入れないつもりよ」
心体共にって……まぁ、愛するとはそういうものか。
「まぁ、私の妹たちはこれから調教するんだけど」
それひどすぎるだろ!? そもそも俺、君の妹に手を出すつもりは無いんだけど!?
なんて思っている間にシャロンは立ち上がってエステル嬢に迫る。なんだろう。百合の花が咲く気がした。
「何を躊躇っているの? そういえばあなた、身長が女性の平均よりも随分と高いわね」
「それは……」
「知ってて? 実はベイルったらあなたが奴隷になって奉仕する事を一瞬想像していたのよ」
その言葉に三人が俺の方を見る。ちょ、その言い方は語弊があると……まぁ想像していたけど。
「確かに世の男共は身長が低い女性を求めることが多いわ。所謂これは支配欲を満たす為と言われているらしいけど、ベイルにそんな常識が通じると思っているのかしら?」
あれ? もしかして俺の性癖が特殊扱いされてる? 俺の性癖はたぶん一般的だと思うけど……。
「正直なところ、私としては別に奴隷がもう一人増えようが別に大した事無いわ。でもベイルが危惧しているのは「奴隷になった後」のあなたの未来。ああ見えて欲望には忠実ではあるけれどある程度の許容を持っているし、大願を持っているから私は彼と一緒になろうと思えた。同時に彼のハーレムができる事は自然と理解できたわ。考えてみて? 普通、あそこまでの力を持てば暴虐の限りを尽くすわ。並大抵の人間しかいない今では他の国を攻め込んで一極化するなんて可能だしね。でも彼はそれを「面倒」と一蹴して冒険者になる事を選んだ。そして当時十一歳の私を妊娠させろと言った私の父相手に切れたのよ」
今度は周りから「信じられない」という顔を向けられた。でも仕方ないじゃん! 俺だって言い分あるし!
「そう。言わば支配者に立つには優しすぎる。そして強い。たかが身長の事でその心を諦めるなんてもったいないと思うけど」
「でも私は……そういう気持ちでベイル君と一緒にいたいわけじゃないです」
「あら、そうなの?」
「私はただ……何も考えずにベイル君に愛されたいだけなんです。貴族とかそういうしがらみなしで、ただ私の事を夢中で愛してくれればそれで……」
そう言われて俺は顔を赤くした。え? 何これ? 公開処刑?
「別に裕福じゃなくていい……でも、大公になればそんな事は言ってられなくて……」
「え? 大公……?」
親子は驚いて俺を見ているが正直期待しないでほしい。
「でも、死んだって聞いていたあの人が生きていて……本当は嬉しくて……」
「で、彼に妊娠させられたいの?」
それを聞いた俺は立ち上がってシャロンに軽くチョップした。
「痛い⁉」
「……いい加減にしろや」
「……え?」
「俺は別にお前の妹を娶るつもりは無いし、気持ちの整理ができていない女の子を無理矢理娶る趣味はねえんだよ。何でそんな暴君に成り下がらないといけないんだ、面倒くさい。というか言っておくけど、そもそも妊娠とかそういう話は十八歳以上が相場で今ここでやる事じゃねえだろ。ともかく、あなた方がするのはまずは家族で話し合う事。貴族の血筋がじゃなくて本当に彼女がそうしたいかを重きを置いて話し合ってください」
そう言って俺は紙を出してスラスラと書き、最後に自分の名前と拇印を押してコピーして渡した。その紙には「ベイル・ヒドゥーブルは今回の騒動に関わったヒューリット家の人間に責任追及は「面倒なので」いたしません」という事をストレートに書いている。
「とりあえず帰ります。一応確保したモンスターの素材は厳選して後ほど卸すのでそれまでお待ちを」
「あ、待ってくれ。君に返したい人がいるんだ」
ギルドマスターがそう言うと、タイミングを見計らっていたのかシェリーさんがある人物を連れて入って来た。
その女性は特徴的な紅い髪だがシャロンと同じで出るとこ出て締まっているところは締まっている。特徴的なのは彼女の首輪だった。
「もしかして奴隷?」
「そうだ。シャロン殿下が連れて来てからそのままだったので我が家で保護させてもらっているが……」
「ああ、この子、ベイル君に命運を握られているの」
サラッととんでもない事を言ってきたシャロンに笑みを浮かべて言った。
「説明しろ」
「こ、この子はメレディス・エクランド」
「エクランド⁉」
俺と同じくギルドマスターもエドガーさんも驚いている。
「ええ。あなたがさっき殺したブロン・エクランドの妹」
「……兄は死んだのですか?」
死にそうな顔をしていたメレディスは驚いていた。というか何故か今ので目に光が戻った感じだ。
「あ、ああ。ちゃんと死んだよ。妹のアンタにしちゃあ嫌がるだろうが、骨諸共灰にしたからな」
「ちなみにオービスは処刑済よ」
「……シャロン、それサラッと言ってやるなよ」
「ああ、大丈夫。彼女は――」
すると前から――メレディスから笑い声が漏れる。それはとても不気味だった。
「……やっぱりそうじゃない。何が最強よ。ただ運が良かっただけじゃない。清々したわ」
「え……?」
とんでもない事を漏らした彼女の様子がおかしい。そして彼女は俺の前に跪いて言った。
「ベイル・ヒドゥーブル様。どうかこの卑しいメス犬である私に慈悲をください。私をあなたの専属性奴隷にしていただきたいのです」
とんでもない語録が並べられて俺は唖然。女としてかなりマズい事を言っていたはずなのに、何故か彼女は俺にすり寄ってくる。胸はとても大きいようだが俺はまたこういうのが増えるのかと心の中で泣く。
「ちょっと待て。何でそうなる。俺は別にお前に対してそういう感情は抱いて……いないが」
「私にとって兄という存在は目障りだったんです。そんな兄二人を潰してくれたあなたに忠誠を誓うのは必然でしょう」
「いや、お家取り潰しになっているんですが⁉」
「私にとって家の事なんてどうでも良いですから。そんな事よりもあなたの子どもを作る方が私は良いです!」
と迫ってくるけど俺はなんとか引き剥がして言い聞かせた。
「ごめん。どう考えてもここの家の人に迷惑だから止めてくれない?」
「そ、それは……」
「ね?」
「……はい」
俺としては真面目に応対したつもりなんだけど、彼女としてはすぐに欲しいようだ。でも流石に他人の家で情事始めるとか鬼畜以前に人としての問題だと思うんだ。
「ほら、やっぱり人としては話が通じる人間だろ?」
「ええ。そうじゃなければあそこで始めますからね」
「俺にだって理性くらいは存在しますよ!」
というか俺としてはこんなところでやり始める方が迷惑だろうと思う。俺だったら絶対に男女平等ドロップキックを食らわせているところだ。
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